広いテーブルウェアフェスティバル、今年もコーディネート部門の作品を中心に、観てきた。
モダンな作品が相変わらず多く、それはそれでどれもこれも素晴らしかった。
目が肥えてきたせいか(笑)、後日になっても記憶に残ったのは、
案外ちょっとしたユニークな工夫だった。
ヘチマスポンジを花器に見立てたセッティング。
その明るいカジュアル感とちょっとした遊び心が印象に残った。
「The jazz!」というタイトルのテーブル。目に止まったのは、手前のBud!のレコードではなく、
テーブル右奥に、マカロンを乗せた古いレコードだった。アイディアが素晴らしい。
「二人のバレンタインデー」の特集部門では、赤のバラやハート、ブラックのワインボトルとダーク色のチョコが飛び交う色調は、やはり圧倒的に多かった。
そんな中、落ち着いた和の代表抹茶色とチョコレート色のハーモニーが清々しかった。作者は、中国茶界でおなじみの外山ますみさん。タイトルは、「あえて和風に」。
このようなシノワズリのコーディネートを目にするとき、時々強くアンデンティティーを思い起こすことがある。
室礼は七言絶句の屏風を立てた。静かに水に浮かべた菊、月見団子にススキ。
しつらえが多いのかなとも思うけれど、この日中折衷の感じは、やはりしっくりくるものがある。
作品と合わせ、作品の横に立てられたコンセプトを読み込む。
「吟行の宴」には、行ってみたい。
俳句も五七五もちゃんと分かっているわけではないけれど、
NHKの俳句番組は時々観ている。
言葉になぞらえる和の心に興味深い。
「若手漆職人に送るエール」なんてかっこよすぎる。
そこに書かれた料理の味わいも想像してみた。
「信州サーモンと長いものゆずこしょう和え、イチジクのワイン煮、柿の白和え。。。」
どれも美味しそうではないか。
数々の料理を載せた写真。
器選びにセンスのある方は、お料理が上手の方も多い。
漆職人の作品にほれ込んで、セッティングや料理まで丹念に考える作者の真剣さ。
心に残る作品背景だった。
イワシのマリネ、モッツアレラチーズのオイル漬け、魚貝のカクテルサラダ、なると金時と紫芋のゆず煮、和牛ステーキ。。。
今年の自分は、料理のメニューばかり目が行ってしまう。
それから、ようやく小鳥とサンキライをモチーフしたテーブルクロスに目をつけた。
そして奥のサイドテーブルに、同じような小鳥のオブジェを発見した。
そして、今年もこの方の作品を見てきた。中国茶界でおなじみの鈴木香代さんの作品。
彼女の設定は、いつも仙人がいそうな場所ばかり(笑)。
その数々のインスピレーションは、いつ何処から降りかかったのかなと感心した。
正解は、ご本人に尋ねたい。
今年は、なんといっても濃淡渇潤な筆使いで描いた老木の藤はお見事。
強い生命力を感じ、人生を全う老人のような包容力と優しさもあった。
この風景を目にした瞬間、なぜか台北の歴史的茶館 紫藤盧を連想した。
何時間も藤棚の見える窓辺の席に腰を掛け、
庭を眺めながら、くつろいでいた時のことをふと思い出した。
素晴らしい作品、今年もありがとうございました。
この記事を書き、一年前に書いた同じテーマの記事を読み直した。
時々振り返り、その時自分の心境に立ち会うことも面白い。
そして、ちょっと変化した自分も、
ブログを書いているから気がつく。
作者といくティータイム2014
台湾旅行2014年ー紫藤盧