茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

ソメイヨシノの満開よりも早く届いた碧螺春

2015-03-28 08:30:38 | 中国茶・世界のお茶

今年手元に最初届いた緑茶は、碧螺春(bi4 luo2 chun1)。
清の康煕帝(こうきてい)が江南に訪れた時、色が緑で形が螺旋で春の風物という意味を込め、命名し直したと言われる緑茶。
中国語的には、意味合いも響きも、とても素敵なネーミング。

産地である洞庭山(dong4 ting2 shan1)は、江蘇省にある太湖(たいこ)の一つの島。
中国にいる家族は、清明節に、近くにある親族の墓参りの後、よく洞庭山へ碧螺春を買い求めていた。

一畝(mu3)の茶畑に、わずか二斤(jin1)しか採れない、と今年の明前洞庭碧螺春を譲ってくれた友人Bさんが言う。
ちなみに、中国大陸では、一畝は、約六六七平方メートル。二斤は、一キロになる。


碧螺春は、「先湯後茶(先にお湯を注いでから茶葉を投げ込む)」という意味の「上投法(じょうとうほう)」で淹れる。
その淹れ方について最初記載されたのは、中国明代の張源が書き残した『茶録』。
低温の湯にくねくねした細い碧螺春の茶葉を放り込むと、やがて一面の産毛が光りに変わる。
残された茶則の表面に、薄鶯色のうぶげが、薄らと残る。

舌の上に載せる淡白な茶湯を、口に軽くころがるよう、中国緑茶の繊細な滋味を探しあてる。
私の中国茶飲みの原点でもある。
ふと記憶にある子どもの頃の味覚が蘇る。

茶友に分けてあげたら、桜の満開よりも早く届いた今年の碧螺春、と喜んでくれたから良かった。

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2015常滑・多治見の旅-ギャルリ百草

2015-03-22 13:39:35 | 街散策・旅行

常滑・多治見の旅の最後に、多治見の山間に佇むギャルリ百草に訪れた。名古屋市内にあった取り壊し寸前の古民家を、人気陶芸作家 安藤雅信氏が、多治見の山間に移築し、ギャラリーとして活用している。



すっきりした数寄屋風の古民家は、素朴の美が漂う。
建物の周りをぐるりと囲む緑も、四季の移り変わりが伝わる。

ガラスの戸越しに差し込む光。
ここなら、一日の中にある光の変化も、容易に愉しめるのではないでしょうか。


庭に、企画展開催中の森北伸さんのユニークな彫刻。


伝統日本家屋の扉を開けると、土間になる。
そこで靴を脱ぎ、敷居に上がってからの観覧は、
忘れかけていた何かにふと気が付く。
ほかのギャラリーでは味わえない暮らしのなかの東洋文化は、
ここにはある。


普通のギャラリーにありがちの棚や照明は、ここにはない。
畳の床や仏間を使っての展示が、逆に新鮮で印象に残る。

一見簡素にみえる百草だけれども、
そこに、暮らしと芸術を垣根なく問う空間であった。


二階に展示された安藤さんの作品は、日常生活で使い込み、愛着がついていく生活食器がずらり。
ギャルリー百草の建物に通じた美学が感じ取れる。

暮らしに美を取り入れるのではなく、暮らしに本来ある美を見いだしてほしい。
そんなメッセージを受け取れた訪問だった。


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2015常滑・多治見の旅-多治見散策

2015-03-19 08:38:15 | 街散策・旅行

常滑の翌日、岐阜の多治見散策をスタートしました。
古民家が立ち並ぶオリベストリートは、ちょっとした散策には最適です。


多治見駅前のギャラリー陶林春窯は、作家さんの作品をたくさん観ることができて必見です。


ランチは、地元の方で人気のレストランを発見しました。外見ではちょっと想像できないほどファンタジックな店内-Cafe Zakka Hinatabocco。あまりにも人気で、三十分待ちました。逆に待ち時間がちょうどよい休憩タイムになりました。味も雰囲気も旅の疲れを癒してくれました。


多治見に入るまでは、美濃焼といえば、織部緑の釉薬しか思い浮かびませんでした。それ以外にも色々あるようには思うけれども、そのいろいろの中身は、ぼんやりしていました。

広くないけれど美濃焼ミュージアムで、ようやくその疑問が解けはじめました。その後、岐阜県現代陶芸美術館へ。駐車場から長かった通路の向こうでは、素晴らしい現代陶芸美術に沢山触れることができました。

釉彩豊富な美濃古陶を生み出したこの多治見の地では、きっと芸術家が集ったモンマルトルの丘のように、古くから自由な創作環境であったでしょう。今でも日本中から、若き陶芸家達がここに移り住む理由が、ようやく分かった気がいたしました。

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2015常滑・多治見の旅-浦山尚弥x村田益規コラボ

2015-03-16 11:15:03 | 街散策・旅行

甚秋陶苑の後、焼物散歩道の一角にある、器・暮らしの道具モリーナ(morrina)に行きました。一階には、日常の食卓で使える常滑焼の食器がいっぱいです。


常滑に発つ前に、大先輩の方々にモリーナをススメて頂きました。二階のギャラリーで、運よく台湾在住の烏龍茶職人浦山 尚弥さんと常滑の急須作家村田益規さんのコラボ企画展に、参加することができました。村田益規さんのどの作品も、急須職人のしっかりした技術と作家の芸術性が溢れ出ています。

台湾で製茶活動を続けながら、年に数ヶ月日本で活動する浦山さん。現地の茶事情に詳しい方です。

私がチョイスしましたのは、

龍眼六季 龍眼木炭で焙煎した四季春(2014年10月末) 南投県 名間郷

貴妃茶 品種 金萱 高発酵、中焙煎(2013年8月)南投県 仁愛郷 霧社高峰


作家村田益規さんの艶やかな黒蓋碗で、淹れて頂きました。

朱泥、黒、窯変の三色の蓋碗のなか、私は、この艶やかな黒が一番好きでした。

男前の感じが心をくすぐります。その上、丹念に叩かれた紋様が美しいです。写真に写っていない黒の建水、首と胴体に、それぞれ異なる叩きの紋様が施されています。目に焼き付けるほど印象に残りました。歯がゆい思いでした(笑)。

龍眼六季の清らかさ、貴妃茶の華やかさ、浦山さんがこの黒蓋碗を使ってどちらもうまく引き出しています。伊藤誠二さんの常滑急須は、私は老茶を淹れることにしています。釉や焼き方が一つ変われば、それぞれの常滑焼がどのお茶に合うか変わってくるだろうなーと検証したくなりました。建水は諦めても、この蓋碗は諦める理由が見つからなくなりました。

そして、浦山さんセレクト&命名したこの龍眼六季は、低地で機械摘みの四季春を、龍眼炭焙によるプレミアムバージョンです。雑味のなさ、はっきりした「回甘」(甘みが口に戻ってくること)、龍眼炭の力だと思い知らされました。


ネイティブほど中国語を話す浦山さん。藻掛けやら、飛天壺やら、焼き物にも詳しかったです。そして、茶にネーミングをつける心得まで、この日は沢山学んだ気がします(笑)。ありがとうございました。

好きなことをするため海外に飛び立つ、そして、こうやって地元愛知の作家さんと手を組み、常滑焼を広めていこうとする浦山さんです。これからのご活躍もご期待したいのです。

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2015年常滑・多治見の旅-甚秋陶苑

2015-03-14 14:58:03 | 街散策・旅行

焼き物の街、常滑・多治見に行ってきました。

常滑は、中国にもゆかりのある地で、前から行ってみたかったのです。明治初期、当時清の時代に金士恒という中国人が来日、中国式朱泥製法を常滑に伝えて以来、古い伝統のもつ常滑焼が更に花を咲かせたといわれます。

急須職人の伊藤誠二さんの甚秋陶苑に訪れました。日本茶急須の職人である伊藤さんですが、積極的に中国茶器の開発もされています。つい先月、伊藤さんの朱泥中国茶用急須を購入しました。自分の手にフィットしていて、使い勝手がとてもよいのです。

ギャラリーは伊藤さんの数々の作品でしつらえ、窓越しの坪庭の眺めも素晴らしいです。


ギャラリーのお向かいは、すぐ伊藤さんの工房です。その日は、轆轤を回して急須の蓋を集中的に仕上げていました。


ギャラリーに飾ってある茶入れの瓶は、ヨーロッパのみやげ物でもらったスコッチのグラスだそうです。そのグラスに、伊藤さんは蓋を合わせ、茶入れとして使っています。
轆轤を回し、なんでもご自分で作れるのが羨ましいです。


写真の左側の茶香炉からは、かすかに茶の香りが漂い、大変気に入りました。譲って頂くことになりました。東京の個展などでも茶香炉を持って行かれないようで、常滑に来た甲斐がありました。

奥様とともに、昨年台中に行かれ、台湾茶会を実際体験されたそうです。その時のアルバムや台中で出会ったお宝を見せて頂きました。

台中の旅から帰ってきた伊藤さんは、創作意欲が湧き、急須などの茶器以外、最近お仲間と常滑盤プロジェクトも立ち上げたそうです。色々使い勝手の良さそうな盤があります。常滑焼物散歩道にある「ともの世界」というギャラリーにもおかれているそうです。良かったら覗いてみてください。

伊藤さま、奥さま、温かいもてなし、ありがとうございました。

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