花屋から持ち帰った日は、ゴマの粒よりも小さかった薄緑の小粒たち。
次の日、ほとんどの小粒たちがまだ眠っている時間に、一人の妖精が白い花を咲かした。
そして、次から次へと妖精達は、目を覚ました。
目覚めた白い妖精達は、背中をこすり合わせ、まん丸の毬になるよう抱き合う。
エアコンの風に当てられ、白い毬が、ゆるやかに弓状に垂れた細枝ごとに、リズミカルに揺れ動く。
連日のコデマリ観察が楽しかった。
可憐に咲く白い妖精たちが、
今日は愛しく思った。
今ちょうど読んでいる天心の『茶の本』と重なる。
『茶の本』で天心は、情熱をもって「花」を語った。
そこに傾けた情愛は、「茶」にも劣らない。
春の東雲のふるえる薄明に、小鳥が木の間で、わけのありそうな調子でささやいている時、諸君は彼らがそのつれあいに花のことを語っているのだと感じたことはありませんか。
花鳥風月を心ゆくまで想像する天心
花を奪われた世界を考えてみても恐ろしい。
と語る天心は、偉大な思想家ばかりではないようだ。
格別なロマンチストに違いない。
天心のコトバと目の前のコデマリのおかげで、心が和んだ。