舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

8月12日(金)のつぶやき

2016-08-13 02:55:36 | 徒然話

これからフラを始める方に: 指導者の上手な選び方

2016-08-13 01:01:04 | ダンス話&スタジオM
今日はいつもと趣旨を変えまして、これからどこかでフラを習おうと思っている方向けに、「どうやって教室/指導者を選ぶべきか」についてお話したいと思います。


新しい習い事を始めようとした時、「家から近い」「スケジュールが合う」など目先の理由だけで選んでしまいがちです。
しかしながら、フラを習う場合(もしかすると世の中のほとんどの習い事がそうかもしれませんが)、最初に習ったのがどのような先生で、最初に踊ったのがどのようなフラかによって、今後の運命が大きく変わると言っても過言ではありません。
ですから、最初の選択がものすごく重要なのです。


幸いにも良い師に出会えた場合。
フラはとても奥深い踊りです。優れた指導者であれば、フラがどれほど美しい踊りであるかを見せてくれるでしょうし、ハワイの豊かな自然や文化の素晴らしさも教えてくれるでしょう。
良い師のもとで学び続けるうちに、エレガントなフラの所作を身につける事が出来る上、言語や神話、歴史などのハワイ文化を深く知る事で、自分の内面もより一層豊かになります。
また、フラは決して健康の為の運動ではありませんが、正しい方法で正しい基礎を身につければ、姿勢が良くなり、足腰への負担も減って、健康寿命を延ばす効果もあります。


しかし逆に、最初の先生が「先生」に相応しくなかったらどうなるか?
一番心配なのは健康面です。間違った、あるいは未熟な方法でステップなどを練習させられると、膝や腰を痛めるおそれがあります。
これは正しい指導を受けていれば決してあり得ない事です。

さらに、自分達だけで踊っている分には良いのですが、人前で踊る場合、自分が踊っている曲の意味がまるでわかっていなかったり、フラのあるべき姿からかけ離れた代物を踊ったりすれば、自分自身が恥をかく事になります。
今日日、本物のフラをわかっている観客はとても多いです。また、フラは本来ハワイの伝統文化ですので、敬意を払う意味でも、正しく踊る事が本当に大切なのです。


このように書くと、フラはとても難しいように感じるかもしれません。
しかし、真に優れた指導者であれば、いきなり高いハードルを提示したりはせず、学び手一人ひとりの段階に合わせて指導を進めていきますので、最初から難しく考える必要はないのです。


フラの指導者の質がどんなに重要か、何となくお分りいただけたのではないでしょうか。
それでは、どうやって良い指導者を見つければいいか?
たしょうなりともフラを見る目が備わった人であれば、一曲観ればダンサーとしてのレベルがわかりますし、一度レッスンを受ければ指導者としてのレベルがわかるでしょう。
でもハワイで生まれ育ったのでもないかぎり、これから始めようという段階でそこまで見極める目を養うのは至難のワザです。

そこで、今日は指導者が公開している「経歴」に注目してみたいと思います。
残念ながら、経歴が偽装されている場合もありますし、そこまで悪質でないにせよ、都合の悪い部分を隠し、都合の良いところを最大限に引き伸ばした「ズルい書き方」も見受けられます。
これらの「ダウトな経歴」を見抜き、上手に指導者を選ぶにはどうすべきか、これからお話しして参ります。


経歴を書くのは何のため?

そもそも、経歴はなぜ重要なのか。
ここのところを勘違いしている人は結構多いです。

経歴は己の権威づけの為に利用するものではありません。
自分が何者かを正直に明かすため。「誠意」ゆえにする事です。



フラの場合、例えば社交ダンスのように統一されたステップはありません。
系統によって基本姿勢もステップ名も全く違ってきます。
これはどの系統が正しいとか、どの系統が優れているという事は一切なく(たしょう時代による流行というか変遷はありますが)、どんなスタイルであっても、それぞれの系統においてはそれこそが正しいものなのです。
もちろん誰しも個人的な好みはあるでしょうけれど、自分と異なるスタイルを否定したりはしないものです。

ですから、指導者が「自分のクムは誰々です」と言うのは、決してそのクムの威を借る狐だからではなく、「自分の教室ではこのクムのスタイルが学べますよ」と明示する意味があります。そうであるべきです。

見る目の肥えた人であれば、指導者の踊りを見る事で、本当にそのクムの流れを汲んでいるといえるのか、はたまた看板だけなのかを見抜く事ができます。
例えば、「おや? 看板にはアンティ・○○○系統とあるのに、こんなに重心が低くて前かがみで3ステップなのはどういうこっちゃ?」などと気づく事ができます。

本当にフラ未経験の方は、今の例を聞いても何を言ってるやらサッパリだと思いますが気にしなくて大丈夫です。要するに看板と実体がショーンKさんとホラッチョ川上さんなみに違ってるって事です。
つまり、フラを全く知らない段階では、看板にどんなにすごそうな名前が書いてあっても、それが本物かどうか見分ける事はほぼ不可能といえます。

おそろしい事ですね。神戸ビーフだと信じて食べたステーキが産地もわからぬ謎肉だったみたいな話です。
でも、看板のキラキラした部分に惑わされず、経歴の細部を見ていけばもっと真実が見えてくるはずです。
以下に具体的な注目ポイントを挙げていきます。


(1) 絶対的な検定や資格は存在しない。

これまでお話ししてきたように、フラはそれぞれの系統がそれぞれに守り伝えてきたものですので、ハワイだろうと日本だろうと、何か統一された検定なり資格なりは存在しません。決して存在し得ません。
つまり「この資格を持ってるんだから/この講習を修了したんだから私はホンモノだ」という喧伝の仕方をしている指導者はおしなべてダウトです。
ダウトどころじゃないわ。アウトと言ってもいいわ。

あちこちの個人または組織が独自に作った資格みたいなものは無数にあるでしょう。
でもそれらは医師免許や教員免許のようにどこでも通用する資格ではありません。
フラが経てきた歴史を鑑みれば、そういうものを作るのが絶対無理なのは明白なのに、まるでそういう資格の所有者であるかのごとく言いふらすのは「誠意」がない証。まさに「権威づけのために利用している」例ですね。
指導者としての実力がどうあれ、もうこれだけで信用できません(ホラッチョ川上さんだって、今までいくらテレビやラジオの仕事をちゃんとこなしていたって、偽称ゆえに消えてしまいましたね)。


そうそう、クムが弟子に授ける「ウニキ」は資格のようなものとはまた性質が異なります。
卒業と訳される事が多いですが、ウニキがそのハーラウにおいてどういう意味を持ち、どういう人にどういうプロセスを経て授けられ、授けられた人がどういう立場になるのかは実に多種多様ですので、「ウニキ=卒業」みたいに一緒くたに捉えずに、気になるハーラウに確認するのがよろしいかと思います。
ハワイでもウニキをせずにクムになった方は少なくないですし、逆にウニキを経てもクムにならない方もいらっしゃいます。また日本人もハワイでハワイアンと同じプロセスを経てしかウニキをさせないところもあれば、日本とハワイでウニキの在り方を変えている場合もあるでしょう。本当に定義が様々で例示も難しいほどです。
ただ一つだけ言えるのは、「ウニキさえすれば私も先生になれる!私にウニキをさせて下さーい‼︎」みたいなのはウニキの捉え方として甚だ不適切といえましょう(汗)。


(2) 「自分自身が何者か」も明示されているべし。

いくらハワイのクムの名が出ていても、教える本人は誰なのかが明示されていないのは問題です。
残念ながらハワイ在住のクムは毎回レッスンしてくれるわけではありません。全国規模の教室の主宰者先生も同じです。

では普段のレッスンを担う指導者は何者か。これ、ものすごく重要な事ですよ。だってその人から習ってる時間の方が遥かに長いんですもの。
衛生中継でハワイのクムや本部の大先生と繋いでレッスンしない限り、「ハワイ/主宰者と全く同じ指導」というのは物理的に無理です。

もちろんカリキュラムがしっかりしているところもあるでしょう、それでも現場では臨機応変の指導が求められます。
だから現場の指導者がどんな人かが問題なのです。

主宰者かインストラクターかに関わらず、「自分のクラスを教える先生」がフラ歴何年で、どこでどのように学んで来て、何年目で指導者になり、指導歴は何年なのか?
与えられたカリキュラムをなぞるだけでなく、自らも向上心を持ち続け、現在の地位に甘んじず学び続けているのか?

そういう事を聞いた時に「当校の指導内容は講師に関わらずみんな同じですよー(棒」みたいな返事が返ってきたらもう完璧アウトと思っていいでしょう(笑)。


(3) 多すぎる経歴に要注意!

例えば学歴なら、「A大学とB大学とC大学を卒業しました」というのもアリです。えらいエリートだ(というより一生でも大学に居たかったのに一箇所に4年しかいられなかった私には羨ましすぎる話ですが)。

しかしフラの場合、たくさんあればあるほどハクが付くってモノじゃないので注意が必要です。
クムの名や出身校、資格名などが2つも3つも並んでいるからといって、その指導者が優れている事を意味するわけじゃありません。
むしろ「実力が覚束ないのを下手な鉄砲数撃ちで誤魔化そうとしてる」おそれさえあります。


真っ当な指導者であれば、例えば「19○○年よりハワイ・○○島の○○系列のクム誰々に師事」の一言で十分です。
もちろん、最初のクムに先立たれるなどのやむを得ない理由で複数のクムに師事した場合は良いのですが、あたかも勲章のごとく「あっちでもこっちでもそっちでも習ったのよ!(ドヤァ」みたいに羅列しているのは考えもの、というか非常に胡散臭いです。


胡散臭いといえば、あまり頻繁に看板が掛け変わるのもマズイです。
それこそクムに先立たれたとか、どうしても方向性が食い違って袂を分つのはやむを得ない事ですが、そういった事情も無いのに1年2年スパンで「私のクム」が変わるのはいただけません。
それでは生徒さんが混乱します。何しろクムが変われば基本からガラッと変わっちゃうのですから。


これから入ろうとする教室があれば、ホームページなどの最新情報だけでなく、10年くらいは過去に遡って調べてみましょう。
そして、今現在とは異なるクムの名を挙げていた場合、「どうして変わったのか?」を聞く事をオススメします。
もし正当な理由あっての事ならば、直接聞いても決して気分を害する事なく、また言葉を濁す事もなく誠実に答えてくれるはずです。


【まとめ】

これまで長々と書いてきましたが、要約すると以下のようになります。

•経歴とは自分を大きく見せるためでなく、誠意をもって自分の正体を明らかにするためのものであるべき。
•フラにはスタイルの違いを超えて統一された資格や検定の類が無いので、「この資格を持っているから自分は本物だ」と主張する指導者はアヤシイ。
•ハワイのクムや本部の主宰者先生の名前だけでなく、インストラクターなど「普段現場で教える人」が何者かも重要。実際に習うのはほとんどこの人からである。
•真っ当な指導者であればフラ歴・指導歴も具体的に言える、はず。インストラクターであろうとこれは重要事項。
•自分のクムや所有資格等の「数」が多いのをあたかも偉い事のように喧伝する指導者は、フラを根本から誤解しているおそれが大きい。正当なクムなら1人いれば十分。多い事に意味は無い。
•本来クムは頻繁に変えるものではないが、やむなく変える事情があった場合、理由を隠したり誤魔化したりする必要はないはず。



こんな感じですかね。


今、日本でフラの先生がものすごく増えてますが、極端な話「自薦でも先生になれてしまう」ので、先生を自称しているからといって必ずしも一定以上のクオリティが期待できるわけでないのが残念なところです。

そして、もっと残念な事に、最初に指導者を選ぶ段階ではその人のクオリティを見抜く事はほぼ不可能です。
だからこそ、実力のない指導者ほど何とかして凄そうに見せようとしたり、後ろ暗い部分を隠そうとしたりしますし、肝心のフラはほっぽっといてそっちのスキルばかり巧みになりさえします。

でも、だからといってそういうアヤシイ指導者の思う壺になっている必要はありません。
今回の記事で言ってきた事を参考にしていただければ、きっと指導者として十分な技量をもち、誠実に正直に自らのキャリアを開示し、なおかつ真摯に学び続ける心を忘れない、立派な先生に出会えるはずです。




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あー、今日の記事は一晩かかっちゃった(笑)
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