電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

成龍拳

2012-07-12 00:00:00 | 成龍的電影

今回は残念ながら来月発売のラインナップから外れてしまった「成龍拳」について。ちょっと残念ではありますが、またそのうちリリースされる機会もきっとあるでしょう。

最近台湾では古龍や金庸の小説もスマホなんかでも読めるそうで、武侠小説も手軽にスマホで楽しめるなんてなんとも羨ましい限りですね。 

映画と小説についてですが、当時、監督のローウェイが古龍の原作を費用が莫大となってもどうしても使いたいとかそんな話があったそうです。 
人気があるといっても映画化するとなると『風、雨、雙流星』のようにかなり複雑なシナリオだと本編の構成に失敗したり、解釈が難しくなって要するに安心して見ていられなくなりますね。原作に忠実にするか、多少のアレンジをしてみるかそこはスタッフの力にかかっていると思います。この「成龍拳」は前半部分はかなり原作に忠実に作られています。

『劍・花・煙雨江南』は一度映画化されてもその後全くリメイクなどされなかったりするところからみれば人気の高い小説という訳ではなかったのかも知れません。
何度もリメイクされているものとは違い、ポピュラーなものではないかも知れませんが
劇場公開当時、日本初登場だというシー・フォンの潔い演技!
彼女がこの映画で魅せた女盗賊・丁錢艶という女性はとても素晴らしい。 

ちょっと今回は、ストーリーをじっくりと観察、振り返ってみようと思います。

※以下、ネタバレします

三月には霧のような雨が降る江南地方。ここ奇峯山荘はここ一帯を治める総督・雷奇峯の屋敷である。人望の厚い総督は人々に親しまれ、今晩も還暦の祝いの席では沢山の人々が集まり、大広間で宴会が開かれていた。 

屋敷内の静かな庭園に一人大樹の下に横たわる青年がいた。何かを想って深く沈んでいるのか、その顔は険しい表情をしている。この青年は総督の一人息子、小雷(シャオレイ)であった。 
暗闇の中を駆けてきた一人の乙女が彼にそっと寄り添った。
侍女の役目を終え、抜け出してきた小雷の恋人の千千(チェンチェン)の美しく可憐な姿だった。
しかし、小雷の表情は少しも動かない。千千は愛する人の異様な様子に戸惑った。
よく見ると小雷の脇腹には血が滲んでいた。 
「また喧嘩したのね?」 
心配する千千を他所に小雷の言葉は冷たかった。
「女房気取りはよせ。召使いのくせに。おまえをどうしようと俺の勝手だ。」 
「でも私のおなかにはあなたの子が・・。」 
いきなり平手打ちを食わせる小雷。 
「誰の子だか分かるものか。」
小雷の酷い仕打ちに泣きながら走り去ってゆく千千。
その姿を見届けて大広間に戻った小雷は、暴言を吐いて客人たちを追い返してしまった。 
激怒する父の総督。その時、小雷は静かに言った。 
「父上、客人に巻き添えを食わせないためです。今晩、花蜂党が襲ってくるという情報を耳にしたのです。」 
証拠に取り出したのは人間の手首。小雷の服を血で染めていたのは蜂の入れ墨が彫られたこの手首から出たものだった。 

総督が花蜂党一味を壊滅させたのは今からちょうど15年前の今日であった。
一族の血を絶やすまいと一人息子を逃がそうとする総督。
しかし、小雷は意外なことを口にする。 
「私は逃げはしません。跡継ぎはすでに千千の体内にいます。わざと酷い仕打ちをして別れたのです。あとのことは親友の金川に頼みました。」 
そうとは知らない千千は泣きながら走り続けていた。
 
やがて山荘には不気味な風が吹き、夜空から5つの棺桶が舞い降りると中から盗賊たちが姿を現した。桃の花の仮面をつけているのが女首領の丁錢艶(ティン)である。 
仮面を取ったティン。
しかし、顔の半分は緑色のヴェールにつつまれている。

「15年前の恨みを思い知るがいい。」 
忽ち始まった大乱闘の中で小雷の父と母はティンに殺されてしまった。 
怒りに燃える小雷。 
ついにティンを追いつめて喉元に剣を突きつけた。
「両親の仇だ。覚悟しろ。」 
平然としているティン。その瞳は氷のように冷たい。 
「私も親の仇を討ったまでのことよ。」 
「おまえの父は盗賊の首領で、悪党じゃないか。」 
「おまえの父は何だと言うの。5つの時、切りつけられたのよ。見るがいいわ。」 
ヴェールを取ったティンの頬には無惨な傷跡があった。
一瞬、たじろいだ小雷の隙をついて、ティンの手刀を受けた小雷は気絶してしまう。

 
気を失った小雷をそっと安全な場所に移すティン。 
どうしてこの青年を殺すことが出来ないのか。こんな気持ちは初めてのことだった。
「復讐だけを生き甲斐にしてきた私。人を愛する心があったなんて・・。」
夜が明け目覚めた小雷は真っ先に千千の名を呼んだ。
「このまま生きて苦しむがいい。」と言うと、ティンは去っていった。 

一方、金川の家に向かう途中、千千は三人の男に襲われるが小雷にそっくりな男に助けられた。その男は金川であった。
山中の金川の家は身分の違いの恋に身を窶した小雷と千千が逢い引きを重ねた思い出の場所でもあった。千千は、そんな昔を思い出すのが辛かった。「どこか遠くへ連れて行ってください。」 小雷が金川の家に駆けつけたときには二人の姿はなかった。

もう何日も飲まず食わずでこうして金の家に横たわっているのか。 千千に会いたさの余り、体が衰弱していく小雷。
そこへティンが現れた。 
意識が朦朧としてティンと千千の見分けがつかない。
うわ言でさえも千千の名を呼び続ける小雷を見たティンはかなわぬ恋だと知る。 

しばらくして血雨党3人組の刺客が現れ小雷を襲う。敵の睡眠ガスを吸って気を失ってしまう小雷。
そこへ現れたのは、飛龍隊の隊長・龍四であった。
刺客を雇ったのは彼らだったが、人違いであることがわかって血雨党は引き上げた。

やがて小雷が目を覚ますと龍四がいた。龍四が自分の宿に連れて帰っていたのだった。
人違いを詫びた龍四は意外な事実を告げる。
彼らが追っているのは金川で、ある王族から預かった宝石を盗んだ犯人が、その金川だというのだ。
「そんなはずはない。親友だと信じていたのに。それでは千千はどうなる?」
荒れた野原を歩き一人泣く小雷。
遠くの木の上から降り立ったティンは言い放つ。
「両親の埋葬もせず、裏切り者も追わず、ただ泣いているだけ。千千だけが女じゃないわ。あなたは私の名前も知ろうとしない。」自分の名前を繰り返し叫ぶティン。
だが、千千を探しに立ち去った小雷の耳にはそのせつない声も届かない・・・。

その頃、千千は金川とともに町の宿に泊まっていた。
あんな酷い仕打ちをされても小雷を想う心に変わりは無かった。
翌日、小雷は龍四を訪ねると仲間に加えて欲しいと頼んだ。喜んだ龍四は小雷を兄弟と呼んで歓迎した。森の中の広場にたどり着いた龍四一行が休んでいると、一人の老人が近づいてきた。龍四に贈り物があるという。それは一枚の絵だった。
体を切断して苦しむ龍の血を老人が番傘で受ける奇妙な絵。
「江南の龍。ここに死す。わかるかね。」
老人のこの言葉を聞いて嘲り笑うと、七人の血雨党が襲って来た。
「ここは私にまかせて。」と進み出る小雷。
懸命に戦うが敵のからくり仕掛けの武器に振り回され、絶対絶命。
そこへ空を切って現れた人影。
愛する小雷の危機を察知して駆けつけたティンであった。
ひらりと飛びながら瞬く間に敵を全滅させ、凄まじい力を見せるティン。

何がなんでも小雷を助けるつもりだった。
息も絶え絶えの小雷。運び込まれたのは龍四の屋敷で小雷は生死を彷徨っていた。
「私は小雷を救える唯一の人間。彼を私に渡すか、ここで死なせるか、選ぶがよい。」ティンは龍四に決断を迫る。
龍四は彼女を信じて小雷を預けることにした。
彼を運ぶ馬車の中でお供の女が本当に治るのだろうかと聞いた。
「分からない。でも死ぬのなら、私のそばで死んでほしい。」
女盗賊は悲しく泣いていた。
それからしばらくして龍四は弟とともに盗まれた宝石の持ち主・小候のいる王宮を訪ねた。
「宝石は取り返したか?」
「いいえ。申し訳ありません。私の命に代えて償います。」
「人間の命にどれだけの値打ちがあるというのだ。」
そういって小候が振り返ると、この男はなんと金川だった。
「宝石の護送を依頼して自分でそれを盗む。さては図ったな。お前こそが血雨党の首領に違いない。」
「よく分かったな。我々が江南を手に入れるには総督と飛龍隊が邪魔なのだ。」
身構える龍四。しかし、金川は武芸の達人。たちまち隙をつかれ、殺されてしまった。

そして、金川は千千に悪い知らせと「小雷は死んだ。」と言ってしまう。
「生まれてくる子供のことを考えて私の妻になるといい。」
しかし、小雷は死んではいなかったのだ。
山にある小屋でティンの手厚い看護によって一命を取り留めた小雷。
だが小雷の目はウツロで生きる意志を失った抜け殻のようだった。
「龍四と弟の欧陽急が殺されたわ。犯人は血雨党の首領よ。」
小雷の表情が変わる。
「血雨党の首領と、その王族は同一人物。」
「同一人物?」
「親友の金川よ。」
執拗に小雷を引き止めるティンだったが、このままでは無駄死にしてしまう。
「私を倒せるようになったら行きなさい。」と厳しい修行が始まった。
最初の挑戦にあっさり負けを喫し、火鉢の中の炭を食べさせられる罰を与えられた。

2度目の挑戦でも到底敵わない。ティンは小雷の顔を焼いてしまった。
再び修行に戻る小雷。一日も早く復讐したい。
3度目の挑戦で「これが最後よ。」と言われ必死になる小雷。
しかし、この挑戦にも負けてしまうのだった。

するとティンは毒入りの葡萄酒を用意した。
復讐できないのなら生きている意味もない。
その酒を一気に飲む小雷。
「死をも恐れないその覚悟があるのなら望みを叶えてあげるわ。
それは毒じゃない。私の血よ。今までの罰は我が家に伝わる秘伝、成龍拳を会得するためのものだったのよ。」
差し出された秘伝書を持って先を急ぐ小雷。途中で戻って礼を言う。
「ご恩は一生忘れません。」
小雷の後ろ姿を見て一人泣くティンであった。

小雷は山を降り、金川の屋敷に忍び込んだ。
金川は千千と一緒にいた。
「よくも裏切ってくれたな。龍四の仇も討つ。」
こうして戦いは始まった。
千千が見守る中、二人の戦いは続く。 
すると小雷は金川の腰帯を使って首を絞め、ついに金川の息の根を止めた。
愛する千千が駆け寄ってくると二人は抱き合った。
そして一人、馬に乗って去っていく、ティンの姿があった。

 


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2 コメント

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素敵な小説風!><! (カンフーチェン)
2012-07-12 19:53:20
こんにちわ 醒龍さま


 こうやって読むと素敵な小説ですね!なぜか最初の流れでフランス版(成龍拳」を思い出しました。ピアノの旋律で始まり、カットが多い中にも日本版とは違う憂いのある映像、、、、、。

 何気にたまに(成龍拳」みたくなるんだなぁ~~!
OH! MY seiryustar!でね。

よさげな成龍拳と相成りました!チャンちゃん!
返信する
フランス・バージョン「成龍拳」 (醒龍)
2012-07-12 22:41:13
カンフーチェンさん

フランス盤、私も見ておりました。
最初とラストにさわやかな音楽が流れてちょっと雰囲気が違うんですよね~。ジュテーム!!
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