福岡市民劇場9月例会で前進座の公演「あなまどい」を観劇しました。
「あなまどい」とは俳句の秋の季語で、夏の間活動していた蛇は秋の彼岸頃になると穴に入って冬眠を始めますが、彼岸を過ぎても冬眠の穴を見つける事が出来ないで途惑っている蛇を「あなまどい」というのだそうです。
物語の発端はかたき討ちから始まります。かたき討ちは時代劇でもよく扱われるテーマですが、その決まりは今回初めて知りました。
①かたき討ちには申し立てが必要。 ②かたき討ちのかたき討ちは許されない。 ③かたき討ちを申し立てて受理されると、本懐を遂げるまで、あるいは相手の死が証明されるまで、帰る事は許されない。
上の様な決まりがあるので、そのほとんどは、かたき討ち出来ないまま、帰ることも出来ずに生涯を終えるのだそうです。
この物語の主人公「関蔵」は新婚の妻「喜代」を残し、親のかたき討ちの旅に出て帰ってきたのは34年後でした。この間の関蔵の人生観の変化、心模様、帰郷後の周りの人々のあり方などが、舞台上で演じられていました。
あまりにも多くの意味を含む事が演じられているからでしょうか、この間の事を文章にするのはとても難しいです。
帰郷後、かたき討ちに出る時に家禄を預けていた叔父から、それを返してもらい、新しい養子を迎え、家の問題を片付けた後、年老いた関蔵と喜代は江戸への旅に出るところで芝居は終わります。その旅の途中で見た蛇が、年老いた二人の様に見えたので「あなまどい」という題名になったことがわかりました。
観客の琴線に触れる物語で、暖かい余韻が残る幕切れでした。幕が下りた後、カーテンコールが鳴り止まず、関蔵役の嵐圭史さんと喜代役の浜名実貴さんは丁寧にそれに応え、緞帳が何度も上下しました。
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