Potential of aromatherapy

aromatherapy and golf and movie

何かいない?

2009年11月02日 | 雑記
深夜のナースステーションです。
住職さんに来ていただいて、精神的に落ち着きを取り戻しています。
でも、あれからもたくさん天に召されていきました。



昨夜も。

 「○○さん、いい人生だったね。2人で頑張ってきたよね。
  仕事もたくさんしたし、やりたいこともやれてきた。
  でも、これからやりたいこともたくさんあったんだよね?
  今年の目標は手帳に書いてあったけど、田舎に帰る事だったね、
  行けたね、良かった。
  診療所の事務長も一生懸命やってきたし、切り絵もやろうって。
  工房はどうするんだろう。
  カヌーはどうしようか。
  ね、何か言い残したことがたくさんあるんじゃないの?
  何か言って。
  ○○さん・・・・・・・・・・。
  あ、呼吸が止まったのかしら? ○○さん・・・・・・・・・・。」

奥様がご主人に話しかけながら、息が止まりました。
最後の一息はため息にも似たような一息でした。
癌の手術もして、抗がん剤で治療して、肌は浅黒くなっていました。
痩せて、痩せすぎて、目が閉じません。

  「どうしましょう? 目が閉じないです。」
  「目にね、脱脂綿を入れると閉じるのよ。まぶたの上と下に入れましょ」

奥様は若い頃看護師でした。
もう1人の看護師と、目に脱脂綿を入れて、目は何とか閉じました。
やせ細った頬にも、少し入れてみました。

無駄に点滴をしていなかったので、むくみはなく、ただ骨ばった体です。
その1時間前に、奥様が仮眠をとっている間に手を握って話しかけると
手を強く握り返してくれました。
わかっている、そんな気持ちが伝わってきました。

私達がケアをしている間、奥様は葬儀屋さんに電話して、片づけをします。

  「この人はお茶にうるさくてねー、こんなのも持ってきてたわ。」

急須も持ってきていたので、壊れないように片付けます。
外は土砂降りでしたから、傘をさして霊安室に送り届けました。
ご家族は奥様だけでしたから、私と2人でお線香をあげて、祈りました。

奥様はゴルフが大好きで、月に4回もラウンドしていました。
昨日も、日中は女子ゴルフをテレビで見ながら、話しかけていました。
患者さんは、「だめになったら、緩和ケアに行くからね。」と
話していました。外科にいらした時からの患者さんです。

本当は、奥様の介護疲れで、ちょっとだけの入院でした。
それが思いのほか具合が悪かったのでした。
さようなら、私達もいつかそこへ行くことになります。