![]() | 損料屋喜八郎始末控え 山本一力 文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
損料屋ってのは、今で云うリース業ってことですな。
表向きの商売は損料屋だが、実はこの男、札差の米屋先代に頼まれて二代目を陰から支える凄腕の経営コンサルタント&私設探偵社みたいなことを遣っている。
札差ってえのは、武士の俸給である米を武士に代わって売りさばく役割だったが、次第に先付けの切米(きりまい)を担保に金を貸すようになり、武士にとっての金融機関のようになっていた。
武士の俸給は地方知行(じかたちぎょう)と云う、土地(給領地)から年貢を徴収する権利をもらう者(上級武士)と切米・扶持米(ふちまい)を貰う者(下級武士)が居た。
例えば百石の地方取でも百石全て自分のものになるわけではなく、所謂、四公六民とう場合は四十石が自分の取り分で、六十石は領地の農民のものと云うことだ。
下級武士で二十石五人扶持と云ったら一年間に切米二十石を3回に分けて支給され、扶持米は1人1日5合(0.5升)の割合で、毎月5人分支給された。
切米取りと呼ばれた彼らは、春夏冬のそのときがくると、御切米請取手形(おきりまいうけとりてがた)である札(ふだ)を支給される。切米取りはこの札の持ち主と云うことで札旦那とも呼ばれていた。
武士の中には手元不如意に陥り、一年先・二年先の切米を担保に札差から借金をするようになる者も増え、借金に応じようとしない札差に対して、借金の強談判役として蔵宿師(くらやどし)なる職業も登場してくる。
武士の窮乏を打開する策として、幕府は札差に対して武士への借金を棒引きにする棄捐令(きえんれい)と云う法律を発動する。
これもなんか最近大手企業の借金を棒引きにしたどっかの国で聴いたような話でありますな。
時代劇にはしばしば登場する札差ですが、こんなことになっていたとは、本書を通して当時の経済の様子が少しは理解できたようです。
それにしても喜八郎は仲々カッコイイですな。★★★★・(5★満点で星4です)
ブログランキングに参加中、気に入ったらクリックお願いします。
