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「6億人市場」へ一歩 ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも

2015年11月23日 | 国際政治
「6億人市場」へ一歩
ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも
2015/11/23 3:30 日経朝刊

 【クアラルンプール=京塚環】12月末に発足する東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)はすでに高水準の関税自由化を進めてきた。6億人の人口を抱えるASEAN域内で、経済発展の度合いに応じて生産工程の水平分業が進めば、「世界の工場」の新たなエンジンになるとの期待が高まる。一方でサービス分野などの自由化は遅々として進まず「見切り発車」も否めない。



「ASEAN経済共同体」発足式典に臨むナジブ首相(手前左)ら(22日、クアラルンプール)=共同




 22日にクアラルンプールで開いた署名式典。今年のASEAN議長国であるマレーシアのナジブ首相は、列席した安倍晋三首相や中国の李克強首相を前に「ASEAN発足から48年を経て、歴史的で最も重要な瞬間を迎えた」と胸を張った。
 AECの最大の成果はモノの自由化だ。タイやシンガポールなど先発6カ国間ではすでに99%の品目の関税がゼロだ。カンボジアなど後発4カ国も18年までにほぼ撤廃する計画で、多くの企業が恩恵を受けている。
 ただし抜け道もある。各国内の非関税障壁の存在だ。AECではその撤廃も掲げるが、現実にはインドネシアが鉄鋼製品への反ダンピング課税を発動するなど、新たに導入する事例がみられる。
 理想と現実の乖離(かいり)は、発足時点での達成が先送りとなったヒトの移動やサービス分野の自由化も同様だ。
 熟練労働者の移動自由化は建築士や医師などの8分野を対象とするが適用事例はまだない。物流などサービス分野で70%以上の外資出資を認める方針だが、複数の加盟国が同意していない。
 欧州連合(EU)と違いAECの合意事項の実施は各国に委ねられ、法的拘束力がない。また1人あたり国内総生産(GDP)で首位のシンガポールと最下位のカンボジアの差が50倍超あるように、域内格差が取り組み遅れの一因となっている。
 AEC構想は1997年のアジア通貨危機や、中国・インドの台頭への危機感から浮上した。外資の目を引くため「単一の市場・生産基地」など規模のメリットを前面に打ち出したが、各国の経済成長で外資の注目が高まったがゆえに、逆に保護主義的な考え方が強まっている面がある。
 環太平洋経済連携協定(TPP)のようなより自由化度合いの高い自由貿易圏の枠組みが始動する中で、ASEANの経済統合は後戻りが許されない状況にある。日本貿易振興機構の助川成也・東南アジア事業推進主幹は「TPPなど広域の自由貿易圏構想の進展がAECの進化へ背中を押すだろう」とみている。