NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#82 レイジー・レスター「If You Think I've Lost You」(I'm a Lover Not a Fighter/Ace)

2023-06-22 05:00:00 | Weblog
2009年6月21日(日)

#82 レイジー・レスター「If You Think I've Lost You」(I'm a Lover Not a Fighter/Ace)





レイジー・レスターの、エクセロ・レーベルにおける代表的ナンバーを。ジェリー・ウェストの作品。

レイジー・レスターは1933年、ルイジアナ州トーラス生まれ(存命中)。本名。レスリー・ジョンスン。

彼の郷里ルイジアナには、ルイジアナ・ブルースとよばれる独自のスタイルのブルースが育っている。アーティスト名でいえば、ライトニン・スリム、ロンサム・サンダウン、スリム・ハーポ、そしてこのレイジー・レスターが代表選手である。

彼らに共通していえるのは、独特の「ゆるさ」だ。陽性で、どこか白人のC&Wにも通じるところのある、のんびりした感覚。ルイジアナの気候、風土が生み出したカラーといえよう。

レスター自身は、ジミー・リード、リトル・ウォルターあたりのシカゴ・ブルースのハーピスト/シンガーの影響を受けたが、またそれらとも微妙に違った、地方色のある芸風だ。

レイジーの芸名通り、怠惰な感じが身上。歌は一本調子で音程も微妙、お世辞にもうまいとはいえないが、ハープはなかなか達者である。テクニックに走り過ぎず、味わいを大切にしているそのスタイルは、ハープ初心者にも結構参考になりそうだ。

きょうの曲のテーマは男女の「別れ」なんだが、深刻になったり湿っぽい感じになったりせず、どこかカラッとしている。レスターならではのユーモアが感じられるのだ。

レスターはこの「If You Think I've Lost You」のほか、全部で15枚のシングルをエクセロ時代に吹き込んでいる。これがいい曲揃いで、このアルバムでその大半を聴くことが出来る。

プロデューサー、J.D.ミラーの作品「I'm a Lover Not a Fighter」「Sugar Coated Love」「I Hear You Knockin'」あたりは必聴。ミラーは、ルイジアナの音楽シーンにおいて非常に広範囲の活躍をしたひとなので、ぜひその名を覚えておいて欲しい。

シカゴにはない、のどかな味わいのブルース。ぜひ、味わってみるべし。