2010年7月18日(日)
#130 リッチー・サンボラ「The Wind Cries Mary」(Original Soundtrack Recording:The Adventure of Ford Fairlane/Elektra)
#130 リッチー・サンボラ「The Wind Cries Mary」(Original Soundtrack Recording:The Adventure of Ford Fairlane/Elektra)
リッチー・サンボラのソロ・デビュー曲。90年リリース。米映画「フォード・フェアレーンの冒険」のサントラより。
サントラ・アルバムを物色していると、収録曲の中に、たまにものすごい掘り出し物が見つかったりする。きょうの一曲もまさにそんな感じだ。
リッチー・サンボラといえば、83年のデビュー以来、ボン・ジョヴィのリード・ギタリストとして誰ひとり知らぬ者がない、そんな存在だが、普段はジョン・ボン・ジョヴィのバックでギターを黙々と弾く、そんなイメージの彼も、実は何枚かのソロCDを出している。
きょうの一曲はその口火となったわけだが、彼のソロ・アルバムには未収録なので、なかなか聴く機会がない。おおかたの皆さんは、今回が初聴であろう。
ボン・ジョヴィはアメリカのバンドだが、先輩格のエアロスミス、キッスなどと同様、ブリティッシュ・ハード・ロックの影響を強く受けている。クリーム、レッド・ツェッぺリン、そしてジミ・ヘンドリクス(ジミはアメリカ人だが、英国デビューなので入れておく)。
リッチー・サンボラは特にエリック・クラプトンに憧れてギターを弾き始めたようだ。91年にリリースしたソロ・デビュー・アルバム「Stranger in This Town」中の「Mr. Blues Man」という曲ではリッチーの熱烈ラブコールに応えて、ECがゲスト参加しているほど。
ECとともに、リッチーにとって神のような存在のギタリストが、ジミヘン。というわけで、彼の初ソロ・レコーディングはこの「風の中のマリー」となった。
この曲は、ジミの英国デビュー盤「Are You Experienced?」収録のナンバー。静謐なイントロから始まり、ゆったりしたテンポながら、次第にギタープレイがエキサイティングしていく様子が鮮烈なバラード。
ここでは、歌、ギターともにリッチーがえらくカッコいいのだ。
ボン・ジョヴィでの見事なコーラス・ワークから察せられるように、彼もなかなかの歌い手。
ジョンの陽性でやんちゃな感じの歌声とはまた違った、ちょいシブめといいますか、ブルーズィな声が印象的であります。
そしてもちろん、ギターのほうもパーフェクト。ワウなどのエフェクターを巧みにあやつり、トリッキーでエモーショナルなフレーズを繰り出すさまは、まさにジミの霊が降りてきた、というイメージ。
ジミのもつカラーをそこなうことなく、リッチー自身の個性も加味した、見事なトリビュート版となっとります。
ジミへンがもっともモダンなブルースマンであったように、リッチーも最高に素晴らしいブルースマンなのだということがわかるナンバー。
リズム・セクションのタイトなノリも相まって、ジミへン・カバーとして出色の一曲なんで、ぜひ聴いて欲しいです。