NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#150 J・J・ケール&エリック・クラプトン「Danger」(The Road to Escondido/Reprise)

2023-08-29 05:29:00 | Weblog
2010年12月4日(土)

#150 J・J・ケール&エリック・クラプトン「Danger」(The Road to Escondido/Reprise)





2006年リリース、J・J・ケールとエリック・クラプトンの共演アルバムより。ケールの作品。

大半の曲はケールの作品であることからわかるように、ケール名義のアルバムにクラプトンが客演しているというかたちなのだが、まるで古くからのコンビのように、息がぴったり合っている。

それもそのはず、彼らの親交は60年代末より40年の長きにわたって続いているのだ。

デラニー&ボニー・ブラムレットとともにアメリカ・ツアーを始めたころ、クラプトンはオクラホマ出身のシンガー、J・J・ケールの存在を知る。それまでクラプトンのやってきたハード・ロックとは全く違う、ブルース、R&B、ソウルに根ざしたアーシーな音にクラプトンは新鮮さを感じたのである。

クラプトンはケールの作品「After Midnight」を70年リリースのファースト・ソロ・アルバムで取り上げ、シングルカット 。クラプトンの初ヒットともなる。

でもケールの名前がより大きくクローズアップされたのは、クラプトンが78年のアルバム「Slowhand」で再びケールの「Cocaine」を取り上げたときだろうな。

ケールはそのボーカルスタイルにせよ、曲調にせよ、ドラマチックな感じはほとんどなく、実に淡々としており、素朴な味わいをもっている。

そういうところが、本来シャウトがあまり得意とはいえないクラプトンの気に入った理由かもしれないね。

この「Danger」も、何かヤバそうなタイトルとは裏腹に、曲調はあいかわらずマイペースなケール節。「Cocaine」をどこか彷彿とさせる。

オルガンをフィーチャーしたことで、スモール・フェイセズにも通じるところのある懐かしめのサウンドとなっている。

ボーカルは二人のユニゾン・コーラス。ギター・ソロは前半はクラプトン、後半はケール→クラプトンの順に演奏している。ケールのプレイのほうが断然シブかっこよく聴こえてしまうのだが、皆さんはどう思う?

いわゆる「いまどきのロック」とは明らかに違い、ゆったりまったりした「大人な」音なんだが、これが意外とイケる。

ボーカルにもさまざまなスタイルがあるが、シャウトをほとんど使わずにロックしてみせたJ・J・ケールの独創性は大いに評価していいんじゃないかな。それをまんま真似たクラプトンは、ただのミーハーって気もするが(笑)。

二人のミュージシャンの友情が、一枚のアルバムにあふれております。一聴を。