Southride(サウスライド)

マウンテンバイクとダックス125

サウスライド

栗子隧道 探索 その1

2009年06月09日 | 廃道


磐梯吾妻スカイラインも走り終わって、休憩しながら蔵王までの道のりを確認しています。ここは「つばくろ谷」。さて、実はこの近くにあるのは分かってるんですが、非常に危険な物件があります。それは「栗子隧道」。現在は廃道となっている明治道の万世大路。その先にある廃トンネルです。

ちなみに万世大路は「ばんせいたいろ」と読みます。この読みができる人はは地元の人か、または廃道に造詣が深い(少しおかしな)人に違いありません。廃道探索は時間がかかるので、行くならツーリング全体の予定を大幅に変えないといけません。行ってしまうと探索に本気になってしまいそうでちょっと怖いですが・・・。それから、トラブルで帰ってこれなくなってしまうリスクもあります。



9:30 ここは国道13号線です。現代の万世大路ですね。旧道はこの先、標高1,216メートルの栗子山の山麓に、明治時代切り開かれた道です。どこから旧万世大路が始まるのかは手元にあるツーリングマップルだけが頼り。明治天皇が命名した万世大路とは、どんな道でしょうか。というか道がどう残っているのか、それとも残ってないのか・・・。



東栗子トンネルに到着しました。万世大路については、廃道系のサイトで知ったので、おぼろげなイメージは持ってます。確かバイクでこれ以上進むのは無理かも、という場所があったハズだし、荷物大量満載モタードなので、ある程度で止めておくことが大事ですよね。

東栗子トンネルの入口に向かって右側のスペースに、一見作業道の様な道がありました。これが万世大路へ続く道と思います。

いきなり急坂が始まります。いくらなんでも国道とは思えない、この急角度と急カーブ。それもそのはず、この道は本来の万世大路ではなく、かつてここにあったスキー場の中の道だったことを後で知りました。ただこの道がないと現在、万世大路へ行くのは不可能?と思われます。

路面も結構なガレ具合なので、時々エンストしてしまいました。

作業道の九十九折れを進むと、丁字路となり、万世大路へと合流します。素人(私)でも分かるくらい、路面というか雰囲気がそれまでの道と違います。ここからしばらくは路面が安定して走りやすいです。さすがに旧国道、車3台が並んでも大丈夫なくらい広い路盤です。途中ガレている場所も数か所ありましたが、ジムニーや軽トラなら全く問題ないと思われます。


ちょっと休憩。ここまでの路面には車の轍があって、道がまだ生きている雰囲気に満ちてます。立派な石垣もあって、きちんと造られていた事が伺えます。

路面がフラットになったと思ったら、右に緩やかに曲がった先に隧道が現れました。歴史を感じさせる重厚な造りは、二ッ小屋隧道です。

扁額には「昭和九年三月竣工」とあります。明治に開かれた万世大路は、昭和に大改修を受けたらしいです。



隧道を抜けると、軽四輪が停まってました。人の姿はありません。林道でもそうだけど、廃道に車が止まっていると、中で練炭でも焚いていたらどうしようと思ってしまいます。だいたいは山菜採りやキノコ採りの人だろうと思いますが、やっぱりねえ・・・。今回も車は全部で5台見ましたが(廃道では多い方かと思います)、人の姿はありませんでした。



二ッ小屋隧道には崩落が数か所あるし、出口はこんなんになっているし、



一部天井に穴が開いて、そこから滝の様な水が流れてます。この状況で閉鎖してない福島県ってすごいですね。



二ッ小屋隧道を抜けると烏川橋という橋が現れます。この橋、大きく立派な橋なんですがが、欄干のボロボロっぷりが凄い。



コンクリートの鉄筋がはみ出てるっていうか、鉄筋にコンクリがくっついてるというのが正しいです。触ってみましたが、ポロポロと簡単にコンクリが崩れました。ここにバイク止めてたらヤバイんちゃうかと本気で思いました。



烏川橋から先へ進みます。その先にジムニーが一台停まってました。この先もまだまだ車は十分通行可能で、天気の良さと相まって廃道とは思えないのどかさがあります。



と思ったとたんこの急坂。恥ずかしながらまたエンストしてしまいました。この排水溝とかに良く使われている蓋、補修の意味なんだろうけど、二輪には危ないです。


坂を上るとまた勾配は緩やかになりますが、道の雰囲気が少し変わったように感じました。緑の濃さが少し違います。つまり人の気配が少なくなってきたということでしょうか。



今まで乾いていた道が泥でぬたってきました。ピストン林道みたいに、通行量が減少すれば路面は草木で狭くなって、水たまりの泥は腐った様になっていきます。葉の無い灌木が路面にかぶさるように伸びてきました。雪の重みがそうさせるんでしょうか。



広場になっている場所に着きました。先に続く道はこれまでの道より細く荒れている様に見えまする。この広場にはジムニーとパジェロミニが止まっていましたが、やっぱり人の姿はありませんでした。前方には、ぬかるんだ道が、灌木と雑草に埋もれかけてます。灌木の間を抜けて視界が開けた時、思い出しました。ここだ、ここが一本橋です。



川の侵食で、30cmの幅まで道が削られてます・・・。正直、こんなに細いとは思いませんでした。バイクで渡るとしたら・・・と思った時に、不意にゾッしました。これはさすがに無理。行ってはいけないレベルです。ここで落ちたらホントに帰れなくなります。川側なら一瞬で終わり。バイクはサヨウナラ。かといって山側なら大丈夫かといえば、これも引き上げができるかどうか不明。ここから我が家までは、約400㎞もあるので何かあっても人が呼べない。

一応歩いて渡ってみます。バイクに乗って通った時に、もしふらついても、足を着く場所がありません。落ち着いて考えてみました。廃道に無理は厳禁です、しかもソロ。帰りましょう。それがまともな判断です。蔵王に向かいましょう。そう決めたら、さっき感じたゾッとした感覚が薄れました。いやーよかった。大人の判断ができました。


帰ろうとした時に、もう一度振り返って、一本橋の先を眺めてみます。でもバイクで行った人いるんですよね。あの先はどうなってるんでしょうか。福島、今度はいつ来れるかなあ。・・・たとえば、・・・バイクを押して渡ったら大丈夫とか?

その2へつづく

オフロードバイクに乗ってたら、「やまさいがねが」は必見ですね・・・。

廃道をゆく (イカロス・ムック)
 
イカロス出版