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サウスライド

三浦アルプス(3) 遭難編

2012年02月11日 | MTB

 
その2より続く

 

しばらく進むと、橋が見えてきました。 

横浜横須賀道路を渡る橋です。 

なかなか立派です。

 

いつも車で通るときは、全く人を見ませんが、そりゃそうですね、

生活道路じゃなくて、ハイキングコースだったんですね。

 

橋を渡って階段を登ると、雰囲気のいい道が続きます。

こりゃ、かなり乗っていけるかもと期待しましたが・・・、

 

鎖場が出現しました。

ところどころが垂直に近く、トラロープが張られている20メートル程の急斜面です。

これが、さっきのおじいちゃんが言ってた鎖場ですか・・・。

 

冷静に考えればこの時点で引き返すのが賢明でした。

フルサスを担ぎあげてバランスを取りながら、

渾身のパワーで登ります。

ここを登れば後は楽に違いないと、思い込んで登り切りました。

振り返ると道というか、崖としか思えません。

案内板が無ければ、下ろうとは思わない様な場所です。

 

登り切りましたが、どうやら乗れる様な状況ではなさそうです。

尾根も太い木の根があちこちに張り巡らされて、押し歩きを強いられます。

そして・・・。

まだまだ続く強烈な鎖場。

ロッククライミングとまでは言いませんが、12kg以上の自転車を担ぎながら

登るのは相当キツイです。

ちょっとヤバイかなと思いはじめてました。

それに、腰が・・・。 

 

ここから何度も下りと登りを繰り返して、やっとピークに辿り着きました。 

ここはN山。

すこし休憩しましたが、500ccのペットボトル一本しか持ってきておらず、

チビチビと飲んで喉の渇きをごまかします。

GPSと方位磁石で自分の位置を確認します。

さて、行き先はさっき手書きの案内板にあった・・・S山方面でいいのかな?

この先で、来た時に通った道に続く分岐がきっと出てくるはず・・・。

 

・・・この時は携帯の電波が入っていたので、現在地が確実なこの場所で、

ハイキングコースのMAPをダウンロードしておくべきでした。 

 

N山からは港が見渡せます。

正面の山は、T浦の梅園です。

あそこも相当標高が高いと思ってましたが、遥かにここは高いです。

 

さっき渡った橋が見えます。

ここまでの道ですでに体力を消耗してしまいました。

 

遠くにランドマークタワーが見えます。 ここはすっかり山の中です。

自分の他は、リスしかいません。

 

日が傾いてきました。先を急がなくてはなりません。

しばらくすると少しだけ乗車出来る場所がありましたが、すぐに登りと下りで

押し歩きと担ぎあげになります。

体力がどんどん奪われていくのが分かります。

 

しばらく行くと分かれ道に出ました。 

左に行くと行きたい方角ではなく、南側に下ってしまいます。

右はS山に向かう道です。

ってちょっと待って、S山ってそもそも何Kmあるんだ・・・。

グーグルMAPで確認します。

と、遠い・・・。

 

本格的に焦って来ました。

焦りとは裏腹に、登りと下りが無数に繰り返されます。

おまけに足場は悪く、道も細く、

登りも下りも担ぎで、ほんの少し平坦な部分があっても、木の根があって

自転車を押すのさえ大変です。

 

しばらく行くと鉄網の階段になりました。

登りきると、鉄塔がありました。 一瞬、道を見失って呆然としましたが、

鉄塔の下をくぐる様に続いていました。

でも、踏み後はますます荒れていきます。 案内版も無くなってしまいました。

笹藪にハンドルの両側が引っかかる様な狭い道になってきました。

そのうち、何だか同じ場所を回っている様な感覚が・・・。

やばい・・・、これが「山で迷う」というやつか・・・?

 

時刻は16時30分を既に過ぎました。

山の向こうに太陽が隠れはじめました。

GPSで自分の位置は確認できても、分岐のどれが正しいのかが分かりません。

頭の中に「遭難」の二文字が浮かびます。

あと1時間もすれば恐らく真っ暗になってしまうでしょう。

ライトは持ってきていますが、自転車を抱えながら荒れた登山道を登り降りするのは

あまりにも危険です。

しまった・・・。 迂闊だった。

とにかく、下りの方向へ・・・と思いかけて、深呼吸です。

落ち着いて、次の案内板が出てくるまで歩き続けよう。

闇雲に下るのは危険です。携帯の電池も温存しよう。

焦る気持ちを押さえて歩き続けます。

そして、丁字路で本当に久しぶりに、手書きの標識が現れました。

 

「 ↓ M川林道終点 15分」

 

「15分??」

 

M川林道にさえたどり着けば帰れる。

た、助かるかも・・・。

 

手書きの案内板を信じて、荒れた怪しい小道を下ります。  

一気に谷底へ下る様な道なので、自転車を引きずる様に進みます。

担いで歩くなんてできません。

 

木の根っこの道をずりずりと下ります。

なかなか終わりが見えてきません。でも正面の山の斜面の景色が、そろそろ山裾に

近づいているのを教えてくれます。

その時、水の流れる音が聞こえた様な気がしました。

耳を澄ますと、確かに聞こえます。

 

そして、視界が開け、林道終点に到着しました。

よかった・・・。

 

林道終点は広場になっており、休憩できるベンチがあります。

ああよかったー。 ドリンクを飲みほします。

時刻は17時過ぎ。

日暮れまであと30分。 ギリギリでした。

 

林道って素晴らしい! 自転車に乗れるってもの凄く楽!

 

林道の水たまりは凍っていました。

 

小さな滝も凍りついていました。

 

川を眺めながら下っていきます。

 

しばらくすると、崖崩れの跡が出てきました。

 

その先にはパイプに囲まれた場所があります。

どうやら土砂崩れの現場らしいですが、崩れた土砂を取り除いた後も、

危険箇所な為、囲い続けているみたいです。

 

さらに進むと、ゲートが出てきました。

徒歩なら向かって左の通路を歩けばいいんですが、自転車は・・・。

最後の力を振り絞って、力ずくで持ち上げて、向こう側に降ろしました。

 

・・・疲れました。

危うく誰かに迷惑をかけてしまうところでした。 海より深く反省です。

三浦半島だという事で山を舐めてました。 次回からは事前調査と地図も装備もしっかりして、

入山時間ももっと早くしなければ。

それよりなにより、引き返す勇気を・・・。

 

<追記>

三浦アルプスは大まかに分けて北尾根と南尾根、そして中尾根で構成されます。

それぞれの尾根は分岐で繋がってますが、どうやら非常に道に迷いやすいそうです。

北尾根はともかく、今回迷い込んだ南尾根は案内板も少なく、枝道が多い為、

特に道を見失いやすいルートらしいです。

おまけにアップダウンの多さにはとても疲れます。今回を教訓として、山に対しては

きちんとしなければ・・・。

 

http://nezukou.blog.so-net.ne.jp/

 

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