寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

使える奴&使えない奴(七)

2010年07月06日 07時46分00秒 | 日記
帰り道は悲惨でした。とぼとぼと駅まで歩く距離の遠いこと(笑)
覆水盆に返らず! 長原部長はこの失態をどう隠すか、そればかり考えていました。
藤沢課長はもう一度お詫びに行き怒りを宥(なだ)める手を考えていました。岩川さんは私のミスが元でとんでもない事になった、と悔やんでいました。
三人はそれぞれ思惑を持ったまま歩き続けました。
『藤沢課長ここでお茶していこう』 駅の脇にちょうど喫茶店がありました。
『はい』『…』
藤沢課長ものどがカラカラで何か飲みたいなぁと思っていました。店に入ると空調がよく利いています。今の三人に相応(ふさわ)しくないくらい明るい雰囲気のお店です。『俺、レイコ♪』(これ関西ではアイスコーヒーのことです)『俺も…』 『…』
『岩川さんも何か頼みなさいよ』
岩川さんはとても飲む心境ではありませんでした。
『一緒でいいか?』藤沢課長は仕方なく『もう一つね』アイスコーヒーを注文しましたが、さて何と言って慰めるか考えました
『すみません…』しょげている岩川さんにどう言葉を掛けて言いものか…
部下のミスをサポートしてこそ上司なのに足を引っ張ってしまった。こっちが謝らなければいけないのに逆に謝られてしまい藤沢課長はなんとも味の悪い気分になりました。
『岩川さん今日は…』言いかけて長原部長を見ると悠然とスポーツ新聞を見ているじゃあないですか(笑) 『ちょっと部長…』岩川さんにフォローをするも何も長原部長の態度を見て言葉に詰まりました。
長原部長はひと仕事終えた後の悠然とした風でしたから(笑)本来なら土下座してお客様、いや岩川さんに謝るべきです。それ位の失態を犯していながらこの横柄な態度です。 藤沢課長は今更ながら長原部長の鈍に呆れた事はありませんでした。しかし何ごともないよう悠然と新聞を眺める長原部長の心中は穏やかではありませんでした。
勿論先程の失態についてでした。とても新聞の活字など目に入るはずもありません。
やばいぞ! 今評判の岩川さんのバックフォローに出掛けたまでは良かった…課長レベルで解決済みの件案に顔を見せるだけの業界用語の【据膳】状態だったはず…なのに♪
馬鹿だった、馬鹿だった、馬鹿だった、いくら考えても俺が悪い、俺が悪い、俺が悪い。長原部長は頭を抱え込みたいくらい悩んでいたのでした。
藤沢課長の呼び掛けも上の空でした。
『こりゃあヤバいぞ』
長原部長にはこれから先は見て来た様に分かりました。自分の失態が社内に知られ、やがて根本常務の耳に入ればまず軽くて左遷か…
怒りを表に表さず ニッコリ笑って
『長原部長北海道行った事ある?』根本常務の得意な必殺パターンです。(例の笑って切る)
これを食らった奴で生きて帰ってきたのはいません(笑)
段々と新聞を持つ手が震えてきました。
窮地に立った長原部長…
自らが招いたピンチです。
頭の中にはあの根本常務の笑い顔がグルグル舞い踊っています(笑)
『長原部長…』いくら呼んでも返事が無いはずです。長原部長は何かに取り付かれたように一点を見つめていました。(この人の窮地に立った時に見せる顔でした)
そして『そうか』突然長原部長は叫びました。 『な、何がですか』長い付き合いの藤沢課長はたまに突拍子もない発想を見せる長原部長を密かに宇宙人と呼んでいました(笑)
困りごとがあった時、万人の常識を超えた奇抜な発想がでてくるのです。 それは名案の時もありましたがほとんどが唯我独尊、それで あなた以外はどうするの!でした(笑)
それを知っている藤沢課長はこの奇声を聞いて嫌な予感がしました(笑)…
コメント
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