寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

使える奴・使えない奴(四)

2010年07月01日 08時53分00秒 | 日記
岩川さん…西日本の営業拠点で一番の成績を上げたのは偶然!でしたね。私が訊いた話によると新しい製品の受注が一番乗りになったため彼女に数字が集中したのでした。予算が低い為にその上乗せが利いて大幅アップしたのです。
しかし営業の世界は数字が何よりも優先されます。 会議では並み居る俊英を抑える活躍を鬼塚専務が絶賛しました。
普通四半期の会議は本部長が進行を担当します。コメントなども本部長から出ます。役員つまり高辻役員や鬼塚専務は最初のあいさつや全体の方針を述べるにとどまります。
ザックリ申しますと雑魚(平社員)とは直接会話するなど滅多にありません(笑)
役員さんと直接会話ができるのは課長クラスからであります。(役員さんは偉いのです(笑)内情を話しますと一々平社員の名前なんか覚えていらっしゃらないのでしょう(笑)そんな背景がありましたが、その日は違いました。
普段は大雑把な鬼塚専務ですが、数字には滅法強くて三十人以上の営業の中であの岩川さんの成績をいち早く見つけました。 『それでは始めにに鬼塚専務から今期方針をご説明頂きます』
『皆さんご苦労さん、と言いたいのだがまったく駄目や…しかし…』
こんな出始めの言葉に今までろくな話はありません(笑)皆身体を固くして次の言葉を待っていますと…
『四十人近くいる中で岩川は良くやった!うん』
シーンと水を打った静けさの中で鬼塚専務は言葉を続けました。
『岩川さんの努力が実ったようだ。次の四半期も期待しているぞ…』
岩川さんは突然のご指名にびっくりした様子でしたが少しも慌てず静かに頭を下げたのでした。
幹部連中も専務のお言葉に頷いたりまた成績不振の者は汗を拭いたりと様々でしたが、どうせ一過性の出来事と高を括っていたそうです。
そして翌月つまり単月で又々トップとなりました。まぁこれにも裏がありまして新規のお得意先を岩川さんに付いたからでした。そして翌月にも一位でした。この月はライバル社の納期滞納が流れてきました。そして三月目、社内が注目する中で堂々のトップを勝ち取りました。新しいお得意先や他社の納期トラブルなど偶然とは言えラッキーが続いたのでした。そして四半期(三か月)を締めて岩川さんは二期連続のトップとなりました。
二期…つまり半年間トップだった訳です。
これには役員さんも驚いたようで、 高辻役員と鬼塚専務が同乗されました私のクルマの中では岩川さんの噂で持ち切りとなりました。
『円ちゃん岩川の奴凄いじゃあないの』円山本部長の愛称なのですが、鬼塚専務は上機嫌で話しかけます。 円山本部長は元来が技術畑ですが、営業の大変さをよく知っていますから 『そうですね彼女は本当良くやっていますよ』
『彼女の頑張りが他の社員にもいい影響を与えていますね』辛口の高辻役員もべた褒めです(笑)
『あいつ女にしておくのは勿体ないなぁ…』鬼塚専務の饒舌はご機嫌と分かりやすいのですが(笑)少し斜めから見る高辻役員は『ラッキーもあったらしいけど、そこら辺りはどうなの…』さすがに辛口の批評です。 『はい、運がいいのも確かにありました』円山本部長は技術畑らしく客観的な分析をしていました。
『そうみたいだなぁ(笑)けどこれが他の奴の刺激になるだろう(笑)』
鬼塚専務もある程度は知っておられたらしく『上半期の珍事だよなぁ』 タバコをくゆらせ笑っていらっしゃいました。
また営業仲間からも注目を集めていました。社内ではことさら冷静な態度をとっていた連中はアフターファイブとなれば蜂の巣を突ついたような騒がしさと変わりました。今までの平凡な成績がこの半年間は驚異的な飛躍なのですから…この時『京都の奇跡』と本社でも呼ばれていたくらいですから…しかし当の岩川さんは全くの無頓着でした。鬼塚専務が褒めようが高辻役員がけなそうが少しも騒がず淡々と仕事をこなしていました。その姿は既にカリスマ営業マンの風格さえ漂わせているようでした…
コメント
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