寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

旅の教え…〓

2010年07月21日 09時24分28秒 | 日記
臼井社長の休日の過ごし方は名所巡りでした。主として部下の単身者を誘いあちらこちらと散策に耽(ふけ)ったのです。
たまにゴルフをしたりしましたがあまり上手とは言えずお付き合い程度の腕前でした。
ある休みの日いつもなら誰かを誘って出掛けるはずが あいにく誰も見当たりませんでした。
仕方ないから一人で近くの市場に出かけました。
早春の頃で台湾では一番爽やかな過ごしやすい季節でした。アパートを出てぶらぶらと歩いているといつもと違って大勢の人が出ていました。 『何かあるのかな~』あちらこちらの軒下に提灯が揺れていました。
行き交う人もどことなく賑やかな雰囲気でした。
市場の中心まで来た時には普通に歩けないほどの人々が出ていました。いつもは静かなこの市場がどこからこんなに集まってきたのかと思うほどです。
市場の中心では大人たちが色とりどりの衣装を身にまとい長い棒を振りかざしていました。
どうやらお祭りのようです。この辺りは農村が多くて稲の豊作を祈ってあちこちで 豊作祈願を行う風習がありました。
棒の先端には朱や紫・緑・黄色などとりどりの布を取り付けていました。それを二三人の大人が振りかざして豊作を祈るのです。周りには太鼓や銅鑼(ドラ)鉦(かね)が一斉に鳴り出しています。 その内に周りの見物していた人が踊り出します。物売りの掛け声・銅鑼の音・見物の歓声が上がり騒々しさが頂点に達してきました。日本の祭りはもっと理路整然としていますがここの祭りときたら何か祭りの源風景のようでした。臼井社長は見慣れないお祭りを興味深げに見物していました。側には老人や子供が大勢いてあまり大人はいません。それに気がついたのは大分してからでした。実は臼井社長が見物していた場所は老人専用の場所だったのでした。 そんな場所割りがあるとは知らなかったのは当たり前ですが、土地のゴロツキみたいのが 臼井社長に難癖を付けてきました。 無論現地語ですから臼井社長には理解できるはずもありません。言葉の激しさから『これは只事ではないぞ』と思ったそうです。
ヤクザはどの国にもいます。この田舎でさえヤクザがいたのでした。そして臼井社長の身なりからして金になると思いちょっかいを出したのでした。
なるほど…こざっぱりした身なりで一人歩きはヤクザにとって絶好のカモに見えた事でしょう。
酒臭い口からは激しい口調で罵声を浴びせてきます。周りの人々は何事かとただ遠巻きに見ているだけです。そんな周りを見渡す余裕も無くてどうしたものか、と思案に暮れる様子が貴公然とした態度に映ったのでしょうか。臼井社長にヤクザもためらった様ですがとにかく物陰に引っ張り込もうと臼井社長の肩に手を掛け出しました。 臼井社長のピンチです!
その時でした。後ろから数人の老人が出てきました。 老人は臼井社長とヤクザの間に割り込むと臼井社長を引き離しました。 そうしてヤクザに向かって猛烈に抗議しました。 その勢いに押されたヤクザは数度言い返していましたがやがて何処かに消えてしまいました。
何がなんだか分からないままにいざこざは終わりました…と臼井社長はそう思いました。 ところがそうではありませんでした。ヤクザを撃退した老人にお礼を述べようとした臼井社長に老人は大きく手を振り右手の方を指すのです…
コメント
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