寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

旅の教え…〓

2010年07月22日 09時07分50秒 | 日記
ヤクザに絡まれたところを助けた老人は大きなジェスチャーで右手をかざします。
『今度は何だよ』 老人の指差す意味が良く分からない臼井社長は指差す方向を見ました。 それは市場の東端で臼井社長が来た方向と逆です。
灰色のレンガ作りの古い小屋がありました。
戸が開いているのか入口が真っ暗に見えています。
その中でチラッと白い人影が動いていました。
老人はそこを指を指しているのです。もう一人の痩せた老人が肩を軽く叩いて促してきました。
『あそこへ行け』そう行っているのでしょう。
臼井社長は誰か知った顔がないか辺りを見回しますが地元の住民ばかりで知り合いはいません。祭りはいよいよ頂点に達して行くのか太鼓、銅鑼が激しく鳴ってそれに合わせた住民達が体をくねらせながら踊り出していました。そのとき鉦がひときわ高く連打されました。太鼓と銅鑼が合わせて乱打してきます。それからは益々エスカレートしていきました。臼井社長の側にも農民らしき老女達が口を大きく開いて何か叫んでいます。笑っている者もいます。踊る人の腕や足が臼井社長に当たるのもお構いなしです。 市場中がお祭り騒ぎと化していました。 そんななかで臼井社長だけがポツンと取り残されていました。臼井社長の肩を叩いた老人達もいつの間にか踊りの渦に見入っていました……今だ!臼井社長は老女達の踊りに紛れて騒ぎの中へ入り込みました。 踊りの流れは誰かに誘導されているかのように中へ中へと進んで行きます。右も左も周りがみんな踊り狂っています。太鼓、銅鑼や鉦はリズムを取りながら鳴り続けています。 踊りの渦に隠れながら臼井社長は逃れようとしますが、もの凄い踊りの渦に飲み込まれて出る事ができません。仕方なく身体を流
れに任せて臼井社長も腕を振りながら踊りの真似を始めました。
一人目立たないようにと老人達の目を欺くためでした。時々押されてか倒れる老女を避けながら前に進んで行きますと…大きな獅子の張りぼてが見えてきました。四五メートルはある巨大な獅子がまるで生き物のように左右に揺れています。
この獅子の周りには屈強な若者が竹竿を使って獅子を操っていました。 獅子の胴には竹竿に布を巻き付けていました。
獅子は胴を大きくうねらせ前に前に出て来ます。
踊りの群衆は獅子に依って左右に割れてしまいました。臼井社長も流れに沿って右にでました。
『このまま流れから抜け出せば上手いぞ!』
臼井社長の周りはまばらになってきました。獅子の後を追う者や後ろに下がって見物に回る者に分かれましたから…
臼井社長もそっと見物に回りました。獅子は相変わらず踊りくねって進んで行きます。大勢の群衆がそれを追って行きます。けたたましい銅鑼や鉦も追って行った様でここは少し落ち着いてきました。
臼井社長はまばらになった市場の隅をこっそり歩き始めました。帰り道は?周りを見回して気が付きました。ここはさっき老人達が指差した廃屋の辺りでした。 そこには薄汚れた灰色の小屋がポツリとありました。 遠くで見た通りの小さな小屋で入口がポッカリと口を開いています。
この周りには商店はいっぱいあるのにこの小屋はそんな店とは明らかに違った感じでした。『何のためにあるんだろうか?』 先程の怖い目に会った事を忘れて臼井社長は小屋に向かっていきました…
よせばいいのに…
コメント
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