寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

さあ大変、異動だ…(45)

2012年03月16日 10時15分40秒 | 日記
東京駅のには二つの顔があります。八重洲と丸の内です。
丸の内方面は皇居があります。 江戸の時代から幕臣が多く住んでいました。今でも名残で官公庁が群集している地域です。
一方八重洲側は庶民の街ですね。
今でこそオフィスビルが立ち並んでいますが、戦前は飲食店がところ狭しとありました。現在もビルの合間に風情のあるお店ポツリと点在していますが、
河口…明治から続く料理屋です。
京都でもそうですが、こんな然り気無い店名を付けていながらなかなかの料理を食べさせるお店は今でもあちこちにありまして、 是非とも長続きできるよう心から祈っています。
話が横道になりましたが、ここの(河口です)二階の座敷にどかっとすわっていたのが、鬼塚専務と山形副社長でした。
「山形よ、俺は参ったよ」
好物の梅割りをチビチビやりながらため息まじりに話すと
「えらく弱気だなぁ」堅肥り(かたぶとり)した身体を窮屈にしている山形副社長は忙しく箸を動かせていました。
「よく喰うなぁ…」
二人っきりの場合同期生のよしみで鬼塚専務は言いたい放題です。
「俺は喰わないと知恵が沸かないんだよ」
屈託のない笑顔です。 「ところで、高辻君はああしかしょうがないだろう…」
鯛の白身を口に放り込みます。
高辻役員を食べてしまったよ!
態度には威厳がありました。
「俺はどうなるのよ!?」
鬼塚専務も負けじとテーブルの料理を選んでいますが、
「迷っているな~」
山形副社長は笑いながら、
「ほれ、迷い箸はエチケット違反だぜ」
邪魔だと言わんばかりに鬼塚専務の箸を払うしぐさで山形副社長は次から次と料理を摘まんでいきます。
鬼塚専務は諦めたように箸を下ろすと、
お湯割りのグラスを手に取りました。
「円山は一人でいけるかな…」
鬼塚専務と高辻役員の推薦で役員心得に上げていた手前弱音は吐かないつもりでした。
弱音を言えばそれは推薦した自らの墓穴を掘る訳ですから…
同期生の気安さでつい本音がでていたのです…
これには山形副社長も沈黙するしかありません。
肯定も否定も出来ないのは親友鬼塚に気を使っているからです。
しかしよければ、旨くいくんじゃあないか♪と気安く言える間柄で無言を通すことはある意味問題の深さを意味するものでしょう。
「ああ…」
思い出したように山形副社長は箸を止めました。
「なんだ?」
「いや、さっき臼井が帰ったけどあいつは給料前がったんだな… 」
役員…取締役になると一般社員と違い給料は年棒制に変わります。 まず給料が三倍になるのが普通で、
いきなり数千万円に年収が上がるのです。
臼井事業部長は山形副社長に冷やかされながらその報告をしていました。
コメント
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