軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ヒメギフチョウの羽化

2024-05-17 00:00:00 | 
 昨年、卵から飼育し、観察と撮影を続けてきたヒメギフチョウが、長い蛹の期間を経て、今春羽化にこぎつけた。

 今年4月になって、卵を採集した場所に近い東御地区にヒメギフチョウの発生状況を見に出かけた時は、やや時期的に遅かったためか、成虫の姿を見ることができなかった。

 周囲のウスバサイシンの株を丹念に見て回ると、20数株中2つの株に卵を見ることができた。2年前に同様の観察をしたときには、7~8株に産卵してあったので、今年はこれに比べると随分少ない。

 産み付けられた2か所の卵の間隔はだいぶ大きくなっているので、産卵から時間が過ぎていると思われた。一方1枚目の写真の右側の8個の卵は、間隔が接近していて、最近産み付けられたもののようで、ごく最近まで成虫が生きていたことを示している。

 この時、なぜか1枚のウスバサイシンの葉裏には、オオムラサキの幼虫ではないかと思えるものが見られ、辺りにはイカリソウの花も咲いていた。

ウスバサイシンの葉裏に産み付けられたヒメギフチョウの卵 1/2(2024.4.23 撮影)

ウスバサイシンの葉裏に産み付けられたヒメギフチョウの卵 2/2(2024.4.23 撮影)

ウスバサイシンの葉裏に潜んでいたオオムラサキの幼虫?(2024.4.23 撮影)

イカリソウの花(2024.4.23 撮影)

 軽井沢と東御地区とでは、サクラの開花時期が半月ほどずれている。我が家のヒメギフチョウの羽化もそろそろではないかと毎日のように様子を見ていたが、外観上は真っ黒で、ほとんど変化らしい変化が無く、軽井沢ではやはり越冬は無理なのかと諦めかけていたある朝、屋外に置いたスミレの鉢植えの根元にいた蛹の1つから、ヒメギフチョウが這い出しているところを見つけた。

 早速撮影に取り掛かかり、タイムラプス撮影した。次のようである。
 
ヒメギフチョウの羽化(2024.4.26, am 8:10~8:42  30倍タイムラプス撮影)

 続いて他の蛹からも羽化してくるのではと、その後も期待して様子を見ていたが、羽化してきたのは、この1頭だけで、他の蛹からの羽化は見られなかった。

 昨年、東御地方の山中で採取した卵を飼育し、今春の羽化を見届けようとしてきたが、16個の卵から10匹の蛹が得られ、その内1匹だけが羽化したという結果になった。

 蛹は、冬期間ずっと屋外に置いた。すぐ隣にはカラスアゲハの蛹も3匹置いてあった。そのカラスアゲハの蛹は5月になって2頭が順調に羽化している。残る1匹の蛹からは、驚いたことに寄生バチが生まれてきた。この顛末については別途まとめる予定である。

 さて、ヒメギフチョウが終齢になった時、1匹が飼育ケースから脱走して、行方が分からなくなっていた。その他の終齢幼虫は、蛹になった後飼育ケースごと屋外に置いたまま冬を越し、春を迎えたのであったが、行方不明の1匹は、冬を過ぎて、春先になってから、カーテンレールの溝に隠れるようにして蛹になっているのを見つけた。そしてこの1匹も他の仲間に後から加えておいた。

 従って、今回羽化した個体が、屋外に冬中置いてあった9匹中の1匹か、脱走し、室内で蛹化した1匹かは、残念なことに判らない。

 10匹の蛹の内、羽化したものが1匹だけであったので、確率的には室内で越冬した個体が羽化した可能性が高いと考えてはいるが。 

 もしそうだとすると、ヒメギフチョウの蛹は軽井沢の環境下では越冬できなかったということになる。また、ヒメギフチョウの蛹は通年20~25℃前後と、ほぼ一定の温度の室内にあっても、季節を間違えることなく、春になって羽化したことになる。

 どうしたものかと迷いながらも、ヒメギフチョウの蛹を室外の自然環境下に置いたのは、季節外れの時期に羽化してくることを恐れたからであった。

 実際、モンシロチョウなど、冬に室内で羽化させてしまった経験があったので、このようにしたのであったが、ヒメギフチョウの場合、これは間違いだったようである。


羽化したヒメギフチョウ (2024.4.26 am 9:05撮影) 
 

 

 
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カラスアゲハの終(5)齢幼虫と蛹化

2023-12-08 00:00:00 | 
 脱皮直後のA、B2匹の終齢幼虫の体長は22ー25mmほどであったが、その後キハダの葉をよく食べて3~4日後には体長は約2倍の40ー45mmほどに成長した。
 
 10月2日には後で加わった幼虫Cも脱皮して、終齢になっているのを目撃した。

カラスアゲハの終(5)齢幼虫ー1(2023.10.2 撮影動画のキャプチャー画像)

カラスアゲハの終(5)齢幼虫ー2(2023.10.2 撮影動画のキャプチャー画像)

カラスアゲハの終(5)齢幼虫ー3(2023.10.3 撮影動画のキャプチャー画像)
 
 脱皮後1週間ほどすると、終齢幼虫Aは餌のキハダの葉を食べなくなり、しばらくして液状の便を出した。これは蛹化へのサインであり、これまで飼育していたプラスチックケースから、いつも前蛹・蛹化時に使っている割りばしに移すことにした。

 脱走防止のため、ビニール袋をかけて様子を見ていたが、やがて終齢幼虫は割りばしに静止し、さらにしばらくして割りばしに入念に糸を吐き始めた。その後、今度は体をそらせて帯糸を掛ける。この個体の場合、11往復半して23本の糸を掛け、最後に体をくねらせて掛けた糸をくぐり、上手に体を固定した。

 カラスアゲハの終齢幼虫の糸掛け(2023.10.6, 11:25 ~ 15:37 30倍タイムラプス撮影後編集)

 前蛹になってから3日目に蛹化が始まった。ふっくらしていた体は蛹化が近づくと痩せてくる。幼虫の殻を脱ぐときに、しっぽの先を抜いて、割りばしに付けた糸玉にしっかりとしっぽの先を押し付けて固定している。このしっぽの先にはマジックテープのような構造があり、糸球に絡みつくので帯糸とあわせて蛹の体をしっかり固定できる。

 
カラスアゲハの蛹化(2023.10.6, 19:27 ~ 10.8, 16:59 30倍タイムラプスと通常撮影後編集)

 終齢幼虫Bも少し遅れて10月13日に蛹化した。幼虫Cもまた蛹になったが、終齢時の体長も、蛹の大きさもA、Bと比べるとやや小さめであった。

左からA、B、Cの3匹のカラスアゲハの蛹(2023.10.17 撮影)

 来春の羽化が期待される。


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カラスアゲハの4齢幼虫

2023-11-24 00:00:00 | 
 順調に脱皮を繰り返し、2匹の幼虫が4齢になったが、この頃庭のキハダの木で、妻がもう1匹別の幼虫を見つけた。いつ産卵し、いつ孵化したのかが判らないので、この幼虫の脱皮タイミングなどの詳しい観察と撮影は諦めたが、保護するために室内で他の2匹の幼虫と共に飼育することにした。新たに加わった幼虫は以下Cと呼ぶことにする。

 飼育ケースに入れたA、B、Cの3匹のカラスアゲハの幼虫の様子は次の様で、特にCはよく動き回る。4齢になったAとBの体長はほぼ同じで、共に26mmほどであるが、Cは約11mmとかなりの差がある。

 飼育環境の温度差はあるとはいうものの、CはA,Bとは明らかに産卵時期が異なっている。
  カラスアゲハの4齢幼虫2匹と3齢幼虫(2023.9.26, 6:33 ~ 19:03 30倍タイムラプス撮影後編集)

 この後、4齢幼虫は餌を食べなくなり、翌日夕方にまずAが脱皮し終齢幼虫になった。次のようである。 

 カラスアゲハの4齢幼虫Aの脱皮(2023.9.27, 19:42 ~ 23:43 30倍タイムラプス撮影後編集)

 続いて4齢幼虫Bも次の日の朝、脱皮して終齢になった。 

 
カラスアゲハの4齢幼虫Bの脱皮(2023.9.28, 9:41 ~ 13:02 30倍タイムラプス撮影後編集)カラスアゲハの4齢幼虫Bの脱皮

 このように、カラスアゲハの♀が産卵するのを目撃してから17-18日で無事2匹は終齢幼虫に成長した。飼育環境は22-24度Cの室内である。

 最終的には蛹になるところまで見届け、記録したが、これまでの様子をグラフにすると次のようである。




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カラスアゲハの3齢幼虫

2023-11-17 00:00:00 | 
 カラスアゲハの幼虫は9月20日、21日に相次いで2齢から3齢へと脱皮した。脱皮後、9月21日に測定した幼虫の体長は次のようで、幼虫Aは約13mm、幼虫Bは約11mmである。

カラスアゲハの3齢幼虫(A)の体長測定(2023.9.21 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

カラスアゲハの3齢幼虫(B)の体長測定(2023.9.21 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

カラスアゲハ2齢幼虫(B)の頭部抜け殻(2023.9.21 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 脱皮後の抜け殻は幼虫が食べてしまうが、頭部は食べないので近くに転がっていたものを撮影した。この2齢幼虫の頭部の脱皮殻の大きさは幅で1.5mm程度である。

 飼育ケースに新しいキハダの葉を入れてやると、3齢幼虫は、相変わらずキハダの葉を食べては30分から60分間隔で糞を出し続けた。糞をする時の行動もこれまでと同じで、後ずさりしてから糞を飛ばしている。

 2匹の幼虫はそれぞれ居場所を決めているようで、そこから移動して餌を食べ、再び元の場所にもどってくる。

   カラスアゲハの3齢幼虫(2023.9.21, 9:53 ~ 17:14 30倍タイムラプス撮影後編集)

 餌のキハダの葉を食べていた2匹の幼虫は、その後眠状態になり餌を食べるのを止める。この時の体長は幼虫Aが約17mm、幼虫Bが約15mmである。

カラスアゲハの3齢幼虫(A)の体長測定(2023.9.22 撮影ビデオからのキャプチャー画像)


カラスアゲハの3齢幼虫(B)の体長測定(2023.9.22 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 そして前回の脱皮から3日目の9月23日にはさらに脱皮して4齢になった。幼虫の行動は同じで、脱皮後の抜け殻をきれいに食べてしまう。次の映像は幼虫Aのものであるが、幼虫Bもこの日、少し遅れて19時頃に脱皮している。

 カラスアゲハ3齢幼虫Aの脱皮(2023.9.23, 7:54 ~ 9:26  30倍タイムラプス撮影後編集)

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カラスアゲハの2齢幼虫

2023-11-03 00:00:00 | 
 9月10日にキハダの木に産み付けられたカラスアゲハの卵を2個採集して飼育し、観察・撮影を行った。

 2個の卵は、それぞれ9月15日(A)と16日(B)に孵化し、その後18日(A)と19日(B)に2齢幼虫へと脱皮した。孵化した時点では約3mmほどの体長であったが、2齢になるころには約6mmに成長した。

カラスアゲハの孵化直後の1齢幼虫(A、2023.9.15 撮影)

2齢に脱皮する直前の幼虫(A左、 2023.9.17, 23:15 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 この後、先に2齢幼虫になったAとまだ1齢幼虫のBとは、近くに寄り添うようにしていて、1齢幼虫Bは眠状態で餌を食べず、糞も出さずにじっとしていたが、その傍らで2齢になったAの方は約1時間おきに規則的に糞をして、その後糞の後始末をして餌を食べに移動していった。

 カラスアゲハの1齢幼虫と2齢幼虫(2023.9.18, 21:49 ~ 9.19, 0:37  30倍タイムラプス撮影後編集)

 2匹の2齢幼虫は、それぞれおよそ2日後には3齢へと脱皮した。今回は予想したよりも脱皮タイミングが早く、2匹とも脱皮の瞬間を撮影することができなかった。

 気が付いた時にはAはすでに脱皮を終えており、Bは脱皮直後に発見し、その後抜け殻を食べる様子を撮影した。

 3齢への脱皮前日と思われる2齢幼虫(A)の体長は約9mmになっていて、次のようである。

3齢になる前日の2齢幼虫(A、2023.9.19, 6:27  撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 次はすでに3齢に脱皮していたAと、脱皮前のBと思われる映像である。体長は同じように見えるが、頭部の大きさの違いで2齢と3齢とを見分けることができる。2匹はこの頃も相変わらず一緒に寄り添って行動している。
 この2齢幼虫(B)は、翌日脱皮し3齢になった。
   カラスアゲハの2齢幼虫と3齢幼虫(2023.9.20,   11:41~11:43 撮影後編集)

 次は3齢への脱皮直後に発見してタイムラプス撮影した幼虫Bの様子である。これまで同様、脱皮後の抜け殻をきれいに食べてしまう。
 脱皮後のカラスアゲハの3齢幼虫B(2023.9.21, 7:47~8:36  30倍タイムラプス撮影後編集)

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