天候も回復し始めた2日目の7月6日、我々3人は昨日下調べをしたスポットを順次回ることにしてレンタカーで宿を出発した。最初は、周辺の山並みを見通せる小高い場所にある展望台に向かった。
ここからは、天気が良ければ白神山地や岩木山などが見渡せる場所と思われたが、生憎当日は厚い雲に覆われて遠くまでは見ることができなかった。この日は朝方少し青空も見られたものの、その後は小雨が降ったり止んだりで終日天候は安定しなかった。しかし、昨日よりはだいぶ良い条件であった。
展望台からみた周辺の景色(2013.7.6 9:33 撮影)
この展望台周辺の木の梢の上にはすでにチラチラと飛ぶアカシジミの姿が見られた。ただ、数はそれほど多くはなかった。午前中の時間帯は、栗の花で吸蜜したり、コナラやミズナラの樹間を飛び回ることが多かった。また、あちらこちらで交尾中のアカシジミの姿も見られた。
ミズナラの樹の周辺を飛び回るアカシジミ。多くは葉の上に止まっている(2103.7.6 11:50 撮影)

栗の花に集まるアカシジミの群れ(2013.7.6 撮影)

葉上で交尾するアカシジミ(2013.7.6 撮影)
この周辺一帯では、圧倒的にアカシジミの姿が多く見られたが、そのほかにも数種類の蝶を見かけた。ヒオドシチョウ、シータテハ、ウスイロオナガシジミ、ウラクロシジミ、ヒメウラナミジャノメなどである。

ヒオドシチョウ1/2 (2013.7.6 撮影)

ヒオドシチョウ2/2 (2013.7.6 撮影)

シータテハ(2013.7.6 撮影)

ウスイロオナガシジミ(2013.7.6 撮影)

ウラクロシジミ(2013.7.6 撮影動画からのキャプチャー画像)

ヒメウラナミジャノメ(2013.7.6 撮影動画からのキャプチャー画像)
途中、昼食のため市街地に戻り、「弘前だんぶり池」でしばらくトンボの撮影をしてから再び林道に戻り、その後は終日山中をあちらこちら移動しながら、アカシジミやその他の蝶の姿を追った。
渓流にかかる橋から見下ろす木の枝先にはシータテハや、美しい構造色を持つミドリシジミの仲間の姿が数種類見られた。
渓流沿い樹上にとまるシータテハとミドリシジミの仲間(2013.7.6 15:03 撮影)

渓流沿いの樹上にとまりテリトリーを張るジョウザンミドリシジミ1/2 (2013.7.6 撮影)

渓流沿いの樹上にとまりテリトリーを張るジョウザンミドリシジミ2/2 (2013.7.6 撮影)

渓流沿いの樹上にとまりテリトリーを張るメスアカミドリシジミ(2013.7.6 撮影)
あちらこちらと車で移動しながら、大群飛の様子を追い求めたものの、事前にブログの現地報告で見ていた規模の大発生は見ることができなかった。それでもこれまでに見たことも無いような非常に多くのアカシジミを見ることができたので、そろそろ引き上げようかと思い始めていた夕方18時ころ、遠くの尾根の上に何やら黒い影を見つけた。
望遠レンズ越しに見ると、これがアカシジミの大群の飛翔であると気が付いた。Tさんに声を掛け、その尾根に行ってみることにした。昨日からこの近辺の林道はほとんど走っていたので、おおよその見当をつけ、さらにナビを参考にしながらしばらく行くと、アカシジミが群れ飛んでいる場所が近くなってきた。
山の稜線の上空が下の方から湧き上がってくるもので黒くかすんでいるように見える。しかしまだ遠すぎて、ビデオカメラの望遠を最大にしても小さすぎて個々の姿を捉えることはできず、点にしか見えない。
麓から遠望したアカシジミの大群(2013.7.6 18:11 撮影)
更に林道を進むと、ついにアカシジミの群飛している場所の真下にたどりついた。アカシジミは20mほど上空を飛び回っている。ここから撮影すると、先ほど麓からは点にしか見えなかったアカシジミの個体もはっきりと確認できる。
アカシジミが群飛している真下からの撮影(2013.7.6 18:33 撮影)
ようやく二日目の最終段階で、今回の目的であるアカシジミの大群飛を目撃し、ビデオカメラに収めることができた。しばらく撮影を続けた後、二度とこのような光景に出会うことは無いだろうと思いながら、次第に暮れてゆく夕方の空をいつまでも飛び続けるアカシジミに別れをつげた。