軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

大阪市立自然史博物館

2017-08-11 00:00:00 | 日記
 大阪の実家に定期的に出かけているので、その機会を利用して以前から行ってみたいと思っていたところに順次出かけるようにしている。藤田美術館、東洋陶磁美術館に続いて大阪市内の長居公園にある「大阪市立自然史博物館」に出かけた。

 長居公園は、私が3-4歳頃に住んでいた場所に近く、当時の記憶をたどると馬の姿がある。長居公園のウェッブサイトには次のような記述があり、確かに以前ここには競馬場と競輪場があったことが判る。

 『戦後から長居公園はめざましい発展をとげていくことになります。1948(昭和23)年、公園内に大阪競馬場が完成し市営競馬がスタート。その2年後には市営競輪場ができ、大阪中央競輪が開催されました。
 残念ながら競馬場は開始から11年目に幕を閉じ、競輪場もまた現在その姿を見ることはできませんが、戦後の時代を反映した取り組みだったことがうかがえます(http://www.nagaipark.com/history/index.html)。』

 その後は、東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年に長居陸上競技場が完成し、続いて長居プールやテニスコート、トレーニングセンター、長居相撲場などのスポーツ施設のほか、市立自然史博物館や長居植物園などの文化施設が続々とオープンして、市民憩いの場になっている。


現在の長居公園の様子(2017.7.19 撮影)

 1982(昭和57)年以降毎年1月には大阪女子マラソンが行われるようになり、TVでもその変貌ぶりを見ることができるようになった。


陸上競技場(2017.7.19 撮影)


長居公園の案内板(2017.7.19 撮影)

 さて、今回はこの長居公園の一角にある自然史博物館を訪れたが、その一番の理由はここがアサギマダラの渡りの調査で重要な役割を果たしてきたとされているからである。

 「アサギマダラの会(http://www.mus-nh.city.osaka.jp/kanazawa/asagi/asagi.html)」のウェッブサイトには次のように記されている。

 『アサギマダラの移動の謎を皆で調べよう!と、1983年6月に故日浦勇氏(当時大阪市立自然史博物館学芸課長)が、自然史博物館友の会会員に呼びかけて、「大阪のアサギマダラを調べる会」として発足しました。・・・その後、アサギマダラを調べている日本全国の同好者が入会したことから、1990年1月に現在の会名に変更しました。・・・
 活動内容は、毎年1~2月に前年のまとめ・調査計画立案会を自然史博物館で開催し、年数回の野外調査を行っています。冬~春はキジョランでの幼生期を、夏~秋にかけては成虫のマーキングを中心に、落葉性ガガイモ科植物での幼生期を調べています。

 当初は成虫の長距離再捕獲の成果が上がらず、泉佐野市犬鳴渓谷、桜井市長谷与喜山における幼生期の調査をねばり強く続けてきましたが、最近ではほとんどの再捕獲に当会が関係するようになってきて、非常に意気盛んです。』

 自然史博物館は、最寄りの地下鉄御堂筋線長居駅から徒歩10分ほどの距離にある。植物園と自然史博物館は有料で、共通の入り口でチケットを買って入る。


植物園と自然史博物館の共通の入り口(2017.7.19 撮影)


自然史博物館の前に広がる植物園の池(2017.7.19 撮影)


自然史博物館の前、植物園の池に咲くハスの花(2017.7.19 撮影)


自然史博物館前のポーチに展示されている巨大なナガスクジラの骨格標本(2017.7.19 撮影)


自然史博物館の玄関前(2017.7.19 撮影)

 目的のアサギマダラの渡りに関する展示は、2階の第3展示室にある。この展示室にはアサギマダラをはじめとして、「わたり」をする昆虫についての説明が詳しくなされている。


2階のレイアウト図

 先ずアサギマダラ。このコーナーでは次のように解説されている。

 『昆虫の長距離の移動にはふたつのタイプがある。ひとつは自分の意志と関係なく、台風や季節風により運ばれるもので、迷蝶、迷蛾、ウンカなどに見られる。・・・

 もうひとつのタイプは自発的な移動である。春~初夏に気温が高くなると高地・北方へ移動し、秋に寒くなると低地・南方へ移動する。

 アサギマダラがこのタイプであるが、他にも多くの蝶がこのタイプの移動を行うことがわかってきた。』


第3展示室のアサギマダラコーナーの説明展示・「旅をする蝶」(2017.7.19 撮影)


第3展示室のアサギマダラコーナーの説明展示・「アサギマダラの生活」(2017.7.19 撮影)

 次の展示図では台湾北部の陽明山でマーキングされたアサギマダラが北上し、日本の各地で再捕獲された様子が示されている。


第3展示室のアサギマダラコーナーの説明展示・「アサギマダラのわたり(北上)」(2017.7.19 撮影)

 その次の展示図では日本の各地でマーキングされたアサギマダラが南下し、台湾各地や中国で再捕獲された様子が示されている。


第3展示室のアサギマダラコーナーの説明展示・「あさぎまだらのわたり(南下)」(2017.7.19 撮影)

 このアサギマダラ、軽井沢でも6月頃から林地で見かけるようになっていたが、先日長野県の高峰高原で見かけ、撮影することができたので紹介する。


高峰高原で見かけた飛翔するアサギマダラ♂(2017.8.3 撮影)


高峰高原で見かけたヨツバヒヨドリで吸蜜するアサギマダラ♀(2017.8.3 撮影)

 続いて、この展示コーナーではアサギマダラのほかにも「わたり」をしている可能性がある昆虫が数種類紹介されている。その中に「イチモンジセセリ」が含まれていた。

 私は初めて知ったのだが、軽井沢でもよく見かけるこの「イチモンジセセリ」が「わたり」をする蝶の可能性があるとして、アサギマダラと共にマーキング調査の対象とされているということであった。


第3展示室のイチモンジセセリなどの渡りの説明展示・「秋に南へ移動する蝶」(2017.7.19 撮影)


第3展示室のイチモンジセセリなどの渡りの説明展示・「伊良湖岬とイチモンジセセリ」(2017.7.19 撮影)


第3展示室のイチモンジセセリなどの渡りの説明展示・「イチモンジセセリの生活」(2017.7.19 撮影)


第3展示室のイチモンジセセリなどの渡りの説明展示・「イチモンジセセリとチャバネセセリの地理的分布」(2017.7.19 撮影)

 イチモンジセセリの捕獲とマーキングに関しては、大和葛城山で、各地で黒や赤の油性ペンでマーキングされた個体を再捕獲する様子や、新たにマークングをする様子がビデオで流されていた。


大和葛城山でのイチモンジセセリの捕獲とマーキングの様子を紹介するビデオ(2017.7.19 撮影)


後翅の白い文様を油性ペンで塗りつぶしてマーキングをしたイチモンジセセリのビデオ(2017.7.19 撮影)

 このイチモンジセセリは軽井沢でも時に群を見かけることがある。次の写真は2~3年前に撮影したものだが数十頭が花に群がっていた。


軽井沢で見かけたイチモンジセセリ1/2(2015.9.2 撮影)


軽井沢で見かけたイチモンジセセリ2/2(2014.9.14 撮影)

 この2階第三展示室にはこのほか蝶に関する展示が多く、所変われば・・・として世界地図上に示された蝶の標本は見ているだけで楽しいものであった。


所変われば・・・世界の蝶1/2(2017.7.19 撮影)



所変われば・・・世界の蝶2/2(2017.7.19 撮影)



同、日本の蝶の部分拡大、オオムラサキ、ギフチョウなどが見える(2017.7.19 撮影)

 今回の訪問で新たにアサギマダラのほかにも数種類の蝶が「わたり」をしている可能性があると知り、ますますこの「わたり」に興味を持った。

 当博物館ではミニガイドという小冊子を発行している。そのN0.28に「バタフライガーデンとアサギマダラ」があった。この中にアサギマダラとそのわたりの習性、そしてマーキング調査についての説明がある。

 軽井沢にもアサギマダラの会があると聞いている。マーキング活動に参加してみようか・・・と思いながら、この冊子を購入して帰路についた。


自然史博物館発行ミニガイドN0.28「バタフライガーデンとアサギマダラ」の表紙




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