軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

庭にきた蝶(11)ジャノメチョウ

2017-08-25 00:00:00 | 
 今回はジャノメチョウ。前翅長が28-42mmの中型でタテハチョウ科の、ジャノメチョウ亜科ジャノメチョウ属に分類される種で、♀は♂よりも大きい。成虫は初夏から秋にかけて見られ、年に1回発生し、幼虫で越冬する。幼虫はイネ科のススキ、スズメノカタビラなどを食草とする。スズメノカタビラとは聞きなれない名前であるが、調べてみると空き地などで普通に見かける雑草であった。

 学生のころ購入して、参考にしていた原色日本蝶類図鑑(1964年 保育社発行)ではジャノメチョウ科は独立した科になっていたので、私などはこの蝶が今はタテハチョウ科に分類されていることは意外で、若干の違和感を覚える。このほかにも、50年ほど前と比べると分類や名前が変わっている蝶には、ウスバシロチョウ、スジグロチョウ、キチョウなど結構あるようだ。

 ジャノメチョウは、東アジアからヨーロッパに広く分布し、日本でも沖縄県を除いて、ほぼ全国に分布しているが、特に日本産のもののみ素晴らしく大型であることは珍しいとされる(原色日本蝶類図鑑)。
 
 名前の「ジャノメ」は「蛇の目」であり、褐色の翅に黒く丸い紋がありその中が美しい瑠璃色をしていることに由来する。ジャノメチョウ属の仲間の蝶はほとんどが翅の表面か裏面にこの「蛇の目」すなわち「眼状紋」をもっている。地味な蝶が多く、蛾と間違えられそうなジャノメチョウ属の中では、ジャノメチョウの大きさとこの眼状紋の中の瑠璃色が印象的であり、種の同定は容易である。

 雌雄の判別も、大きさのほか翅の色が♂では濃褐色であるのに対し、♀ではやや薄く、眼状紋が大型で目立つことなどから比較的容易に行える。

 自宅庭にもときどきふわふわと飛んでくるが、黒く大きめのこの蝶はわりによく目立つ。ジャノメチョウ属にはめずらしく我が家の庭のブッドレアの花に止まり、アカタテハ、ヒメアカテテハ、ツマグロヒョウモン、ミドリヒョウモンなどの常連客に混じって蜜を吸う。

 雌雄の大きさの差を実感していただくために、義父のコレクションにある標本で比較をしてみると次のとおりである。


ジャノメチョウ♀の翅表(左上)、同翅裏(右上)、ジャノメチョウ♂翅表(左下)、同翅裏(右下)

 上段の♀は下段の♂に比べると一回り大きいことがわかる。また翅の色も比較してみると♂の方が濃い。後翅裏面の白帯も♀で目立っている。

 我が家のブッドレアと日本ハッカの花には、昨年8月に続き今年も同じ時期にやって来ている。


庭のブッドレアの花で吸蜜するジャノメチョウ♂ (2016.8.2 撮影)


庭のブッドレアの花で吸蜜するジャノメチョウ♂ (2016.8.2 撮影)


庭のブッドレアの花で吸蜜するジャノメチョウ♀ (2017.8.18 撮影)


庭の日本ハッカの花で吸蜜するジャノメチョウ♀(2017.8.23 撮影)


庭のモミの木で休息するジャノメチョウ♀ (2017.8.23 撮影)


庭のモミの木で休息するジャノメチョウ♀ (2017.8.23 撮影)


コンフリーの葉上で休息するジャノメチョウ♀ (2017.8.13 撮影)


タンポポの葉上で休息するジャノメチョウ♂ (2016.8.1 撮影)



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