今回はヒメアカタテハ。前翅長25~33mmの中型の蝶。タテハチョウ科、アカタテハ属に属し、世界共通種として有名とされる。同属のアカタテハとはとてもよく似ているが、それ以外に近似種はいないので、他種との識別は容易である。
アカタテハとの区別は、後翅表の赤色部がほぼ全体に広がっているのがヒメアカタテハで、外縁に沿って帯状になっているのがアカタテハということで、比較的見分けやすい。一方、雌雄の区別はとても難しい。
食草は、ハハコグサ、ヨモギ(キク科)、カラムシ(イラクサ科)などで、都市部などでもよく見かけ、分布は全国に広がっている。
年3回程度の発生と推定されており、関東南部では幼虫で越冬しているが、西南日本の暖地では、成虫でも越冬するなど、決まった越冬態を持たない(「信州 浅間山麓と東信の蝶」鳩山邦夫・小川原辰雄 著 2014年4月30日 信州昆虫資料館 初版第一刷発行)。
名前の「ヒメ」はアカタテハに比べてやや小型ということでつけられたものと思われるが、次に示すようにその性質はアカタテハよりむしろ強いようである。
愛用の「原色日本蝶類図鑑」(【増補版】江崎悌三校閲・横山光夫著、昭和39(1964)年、保育社発行)のヒメアカタテハの項には次のような興味深い記述がある。
「本種は全世界を征し、世界いずれの国にも分布し、おびただしい大群をなしアフリカから遠く地中海を渡ってヨーロッパに移動する情景は、驚異的な壮観として多くの文献絵画に示されているのは、あまりにも有名である。・・・」
北米大陸のオオカバマダラやアジア・日本のアサギマダラとはまた違った形で、長距離の移動をする蝶ということになる。日本に生息しているヒメアカタテハはこの移動に関してどのような行動をとっているのか興味深いが、手元にある関連の図書にはそうした記述は見当たらない。
我が家の庭のブッドレアには毎年吸蜜にやってくるが、撮影できたのは今年3回であった。

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ1/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ2/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ3/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ4/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ5/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ6/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ7/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ8/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ9/9(2017.8.18 撮影)

木道上で翅を広げるヒメアカタテハ(2017.8.18 撮影)
ブッドレアで吸蜜しているヒメアカタテハを撮影している時に、キイロスズメバチがこのヒメアカタテハを襲うという事件が起きた。このキイロスズメバチはブッドレアの蜜を吸っているのではないようだが、次々と花を巡りながら、そこに蝶などがいると猛然と攻撃して追い払っていく。撮影にはとても邪魔な存在である。
ヒメアカタテハも同様に追い払われたわけであるが、後で写真を見ると羽ばたいてキイロスズメバチを一蹴しているようにも見え、なかなか気が強いのではと思う。







ブッドレアで吸蜜中に、キイロスズメバチに襲われるが、これを一蹴する(ようにみえる?)ヒメアカタテハ(2017.9.5 撮影)
ちょうどこの原稿を書いているときに、アメリカ・デンバーのレーダーにヒメアカタテハの幅110キロにも及ぶ大群が捕らえられたとの2017年10月10日付のニュースが入ってきた。上記の「原色日本蝶類図鑑」に書かれていたことが、ヨーロッパだけではなく北米大陸で現在も起きているのである。
以下にそのニュースの一部をを引用する(https://irorio.jp/sophokles/20171010/420923/より引用)。
「気象レーダーに映った『謎の雲』は幅110キロにわたる蝶の大群だった!
Text by Sophokles,US National Weather Service Denver/Boulder Colorado/Facebook
アメリカ国立気象局の発表によると、コロラド州デンバーの気象レーダーが、巨大な蝶の「雲」を観測したとのこと。・・・
専門家が誤解した謎の雲
アメリカ国立気象局(コロラド州ボルダー支局)が、その映像をGIF画像でTwitter上に公開している。
同局の専門家たちは当初、この「雲」を渡り鳥の大群だと誤解した。・・・
風に流された蝶の大群
気象局が蝶であると信じなかった理由は、謎の雲が動く方向だった。この季節に大移動する蝶は南に行く。だが、映像では北北東に動いている。
この件を報道した海外メディアによると、コロラド州デンバー地域に住む多くのTwitterユーザーがヒメアカタテハ蝶の大群を実際に目撃していたそうだ。」
一体、どれくらいの数のヒメアカタテハがこうして移動しているのであろうか。
アカタテハとの区別は、後翅表の赤色部がほぼ全体に広がっているのがヒメアカタテハで、外縁に沿って帯状になっているのがアカタテハということで、比較的見分けやすい。一方、雌雄の区別はとても難しい。
食草は、ハハコグサ、ヨモギ(キク科)、カラムシ(イラクサ科)などで、都市部などでもよく見かけ、分布は全国に広がっている。
年3回程度の発生と推定されており、関東南部では幼虫で越冬しているが、西南日本の暖地では、成虫でも越冬するなど、決まった越冬態を持たない(「信州 浅間山麓と東信の蝶」鳩山邦夫・小川原辰雄 著 2014年4月30日 信州昆虫資料館 初版第一刷発行)。
名前の「ヒメ」はアカタテハに比べてやや小型ということでつけられたものと思われるが、次に示すようにその性質はアカタテハよりむしろ強いようである。
愛用の「原色日本蝶類図鑑」(【増補版】江崎悌三校閲・横山光夫著、昭和39(1964)年、保育社発行)のヒメアカタテハの項には次のような興味深い記述がある。
「本種は全世界を征し、世界いずれの国にも分布し、おびただしい大群をなしアフリカから遠く地中海を渡ってヨーロッパに移動する情景は、驚異的な壮観として多くの文献絵画に示されているのは、あまりにも有名である。・・・」
北米大陸のオオカバマダラやアジア・日本のアサギマダラとはまた違った形で、長距離の移動をする蝶ということになる。日本に生息しているヒメアカタテハはこの移動に関してどのような行動をとっているのか興味深いが、手元にある関連の図書にはそうした記述は見当たらない。
我が家の庭のブッドレアには毎年吸蜜にやってくるが、撮影できたのは今年3回であった。

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ1/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ2/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ3/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ4/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ5/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ6/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ7/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ8/9(2017.8.18 撮影)

ブッドレアで吸蜜するヒメアカタテハ9/9(2017.8.18 撮影)

木道上で翅を広げるヒメアカタテハ(2017.8.18 撮影)
ブッドレアで吸蜜しているヒメアカタテハを撮影している時に、キイロスズメバチがこのヒメアカタテハを襲うという事件が起きた。このキイロスズメバチはブッドレアの蜜を吸っているのではないようだが、次々と花を巡りながら、そこに蝶などがいると猛然と攻撃して追い払っていく。撮影にはとても邪魔な存在である。
ヒメアカタテハも同様に追い払われたわけであるが、後で写真を見ると羽ばたいてキイロスズメバチを一蹴しているようにも見え、なかなか気が強いのではと思う。







ブッドレアで吸蜜中に、キイロスズメバチに襲われるが、これを一蹴する(ようにみえる?)ヒメアカタテハ(2017.9.5 撮影)
ちょうどこの原稿を書いているときに、アメリカ・デンバーのレーダーにヒメアカタテハの幅110キロにも及ぶ大群が捕らえられたとの2017年10月10日付のニュースが入ってきた。上記の「原色日本蝶類図鑑」に書かれていたことが、ヨーロッパだけではなく北米大陸で現在も起きているのである。
以下にそのニュースの一部をを引用する(https://irorio.jp/sophokles/20171010/420923/より引用)。
「気象レーダーに映った『謎の雲』は幅110キロにわたる蝶の大群だった!
Text by Sophokles,US National Weather Service Denver/Boulder Colorado/Facebook
アメリカ国立気象局の発表によると、コロラド州デンバーの気象レーダーが、巨大な蝶の「雲」を観測したとのこと。・・・
専門家が誤解した謎の雲
アメリカ国立気象局(コロラド州ボルダー支局)が、その映像をGIF画像でTwitter上に公開している。
同局の専門家たちは当初、この「雲」を渡り鳥の大群だと誤解した。・・・
風に流された蝶の大群
気象局が蝶であると信じなかった理由は、謎の雲が動く方向だった。この季節に大移動する蝶は南に行く。だが、映像では北北東に動いている。
この件を報道した海外メディアによると、コロラド州デンバー地域に住む多くのTwitterユーザーがヒメアカタテハ蝶の大群を実際に目撃していたそうだ。」
一体、どれくらいの数のヒメアカタテハがこうして移動しているのであろうか。