今の軽井沢は、外気温の最高温度が数度、夜はマイナス7度近くまで下がる日が続いていて、春から秋にかけて多くの蝶が訪れていた我が家のブッドレアも、今は数mm~1cmほどの小さな冬芽を残して葉を落としている。もう、だいぶ長い間蝶を見ていないななどと考えていて、蝶温室があるという、群馬県の「ぐんま昆虫の森」に蝶の観察と写真撮影に行ってみようと思い立った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/23/21b431ca6c5448adab538ea842ee48e3.jpg)
ブッドレアの冬芽(2019.1.16 撮影)
「ぐんま昆虫の森」へは、軽井沢からは上信越道・関越道・北関東道を利用することになるが、伊勢崎ICで降りると、そこから一般道を約25分ほど北に走ったところにある。夏には大勢の子供たちで賑わっていたと思われるが、この日は平日でもあり訪れる人もなく、駐車場に停められている車もまばらで、ひっそりとしていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/35/8cd76b3165bfa397fe5fa84d65e19c6a.jpg)
道路沿いにある「ぐんま昆虫の森」の案内標識(2019.1.11 撮影)
駐車場に車を停め、施設入り口横の自動券売機でチケットを購入して、広い園内に入った。この入り口から目指す蝶温室のある昆虫観察館までは、だらだら坂をしばらく歩くことになる。遊歩道沿いには、クヌギ、コナラなどの木が植えられているが、今は葉をほとんど落としてしまっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/c7/db18dfd10cb442ca9128ab27b89408be.jpg)
坂の途中から昆虫観察館の全体がよく見える(2019.1.11 撮影)
昆虫観察館は地上3階の作りになっていて、本館入り口は3階部分にあり、坂を上りきったところに設けられている。またこのほか道路を挟んで食草・育成温室と別館のミュージアムショップや地下1階に設けられたフォローアップ学習コーナーなどもある。この昆虫観察館をはじめとした、ぐんま昆虫の森の基本設計及びフィールドの実施設計は、安藤忠雄建築研究所によるもので、昆虫観察館本館は2002年に着工、2004年に竣工している。
ここまでくる遊歩道からは、このガラス張りの立派な「蝶温室=昆虫ふれあい温室」の外観がよく見通せるように、道がつけられているようだ。
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「昆虫ふれあい温室」のある昆虫観察館入り口(2019.1.11 撮影)
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玄関を入ったところには、入園者数が150万人を超えたことを示す掲示があり、入園者数不足で赤字経営との話を聞いていたが、改善傾向にあるのだろうか。
入園者数150万人を祝う掲示(2019.1.11 撮影)
途中、パネル展示や、飼育ケースに入れられたクワガタ類、カブトムシなどを見ながら、目的の「昆虫ふれあい温室」に向かった。この温室は1,100平方メートルの広さがあり、建物の2階部分から入り、緩やかなスロープを下り、1階から外に出るように設計されている。中央部分には大きな滝や渓流が作られている。
以前、伊丹市昆虫館(2017.4.7 公開本ブログ)や橿原市昆虫館(2018.8.17 公開本ブログ)を訪れたことがあるが、温室面積としてはこれらを若干上回る規模と思われた。内部は22℃程度に保たれ、湿度も高く持参したカメラのレンズは一瞬にして曇ってしまったので、しばらく撮影の方はお預けとなり、出迎えてくれた蝶を眺めることから始まった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/64/8658f1273c444d301951e14cde46dda6.jpg)
たくさんのオオゴマダラが出迎えてくれた(2019.1.11 撮影)
先の2か所の蝶温室でも同様であるが、オオゴマダラの数がここでも一番多く見られた。その他、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、シロオビアゲハ、タテハモドキ、タイワンキチョウなどが見られたが、今回美しいツマベニチョウとイシガケチョウを見ることができたことがいちばんの収穫であった。
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オオゴマダラ(2019.1.11 撮影)
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リュウキュウアサギマダラ(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/c7/17df7506d0ec7668d4d275111d28aff2.jpg)
ツマムラサキマダラ(2019.1.11 撮影)
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タテハモドキ(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/e7/51de6019ce5017edd61bfc2b50a06072.jpg)
タイワンキチョウ(2019.1.11 撮影)
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シロオビアゲハ(左♂、右♀ 2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/4b/056a773321f07dae5c2c4e211d93cb03.jpg)
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ツマベニチョウ(写真下:左♀、右♂ 2019.1.11 撮影)
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イシガケチョウ(2019.1.11 撮影)
中でも、イシガケチョウの生きている姿を見るのは初めてで、以前訪ねた伊丹、橿原の蝶温室でも見ることができなかったものであっただけに、ついつい夢中になってたくさんの写真を撮影した。
若いころ、「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)のイシガケチョウの項を見て、次のように書かれていたので、もしかしたら自分でも大阪でこの蝶を採集することができるのではと期待を持ち、箕面滝から勝尾寺の方まで採集に出かけたことを思い出す。
「いしがけちょう
印度から、台湾・沖縄を経てわが国の半ばに定住する本種は、北上する蝶類中新進の代表である。・・・関西では1929年9月9日大阪府下箕面において最初の記録がある。当時としては珍しい出来事であったが、近年大阪市内においてさえ、5頭も採集された事実があり、府下各地に採集せられている。・・・路上・岩石湿地などに翅を開いたまま展翅された標本のように静止する。・・・」
イシガケチョウの一番上の写真など、まさにここに書かれているとおりで、展翅標本そのままの開翅状態である。また、イシガケチョウの眼には中央に線が入っていて、半眼状態で眠そうに見える。このことは、今回ぐんま昆虫観察館の展示説明で知った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/2e/540d5849f4b6a939c37d1a49e257d351.jpg)
中央に線が走り、眠そうに見えるイシガケチョウの眼(2019.1.11 撮影、上下を逆さにしている)
この昆虫観察館を出ると別館と食草・育成温室に通じる道がある。別館内の地下1階部分には広いフォローアップ学習コーナーがあり、多くの関連書籍が利用できるようになっている。また、この施設設計をした安藤忠雄氏関連の書籍コーナーも見られた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/cd/4816a6f553cb164c8e79cb2bdac9c1f4.jpg)
別館の地下部分にあるフォローアップ学習コーナー(2019.1.11 撮影)
食草・育成温室の建物に入り廊下から室内に展示されている飼育箱や蛹を眺めていたら、中から職員の一人が出て来て、声をかけてくれた。自由に室内を見学してもいいとの誘いを受け、室内で飼育中のオオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、ツマベニチョウ、シロオビアゲハなどの幼虫の飼育の様子と、これらの蝶の蛹を見せていただいた。
ここでも、飼育している幼虫の食草は毎週石垣島から空輸しているという。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/fa/378bfb10fc0c19a3531fdf482b715860.jpg)
ホウライカガミを食べるオオゴマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/46/6d132caa361896bfe6237a2c4dbebcb5.jpg)
リュウキュウテイカカズラを食べるツマムラサキマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/33/3cbe2c755a6e0e174ce4051203a834fd.jpg)
ツルモウリンカを食べるリュウキュウアサギマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/04/ccbe8852f5335c80aaedb5e4a03e14e4.jpg)
ギョボクを食べるツマベニチョウの幼虫、蛇に擬態しているとされる(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/f7/1f7a5ee07718b2635a3115644355f734.jpg)
ミカンの葉を食べるシロオビアゲハの幼虫(2019.1.11 撮影)
前翅長60~75mmと、国内産の蝶では最大級とされるオオゴマダラだが、幼虫の大きさも大きく50mm以上あって、ツマムラサキマダラの幼虫と比べるとその違いが判る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/64/19673d4ee326829ad3d82708dd60e8fb.jpg)
オオゴマダラ〈左〉とツマムラサキマダラ〈右〉(2019.1.11 撮影)
オオゴマダラの蛹は羽化が近くなると金色の構造色が強くなり、とても美しい。次の写真では羽化直後の成虫の姿も見られる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/f2/1e70aec97d90c442e906bc3b35b527c0.jpg)
オオゴマダラの蛹(2019.1.11 撮影)
ツマベニチョウの蛹を見るのは初めてであったが、無造作に紙の上に置かれていた。羽化が近くなると、成虫(♂)の前翅先端の紅色が、蛹の殻を透して見えるようになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/af/98212f983062f9c5190b64f29e472e88.jpg)
ツマベニチョウの蛹(2019.1.11 撮影)
ところで、これまでにも温室内で通年蝶の姿を見ることのできる伊丹市昆虫館や橿原市昆虫館を訪ねてきた。開館時期は伊丹市昆虫館が1990年11月10日、橿原市昆虫館は1989年10月10日である。一方、今回訪問したぐんま昆虫の森の開館は2005年8月1日と、少し遅れてのスタートであった。
ぐんま昆虫の森沿革についてはホームページに「目的及び沿革」が掲載されているが、1997年に構想がスタートしている。現在名誉園長を務めている矢島 稔氏が構想段階から参加してきたことが、氏の著書「蝶を育てるアリ」(文春新書 2002年発行)の「あとがき」に記されていた。
「・・・(私の信条である)『実物を自然の中で自分で探す』ということと、ほとんど同じ発想で群馬県の小寺弘之知事が実体験のできる施設を提案された。私が設立委員会に招かれ、その『ぐんま昆虫の森』計画の立案を依頼されたのは、数年前のことであった。場所は勢多郡新里村で、広さは四十八ヘクタールある。・・・まさか理想としてきた夢の施設が現実になろうとは思ってもいなかった私は、これを半生のまとめにしたいという思いで、準備室のスタッフと計画を練っている。・・・これほどの規模の施設は日本にはもちろん、世界にもない。・・・つまり、ひと昔前の”昆虫少年”を一人でも多くつくりたいと思って、前例のない新しい施設をつくりつつある。・・・」
尚、この「蝶を育てるアリ」の著者のプロフィールによると、矢島 稔氏は、大学卒業後、東京都多摩動物公園に勤務し「昆虫園」を開設。1964年、月刊誌「インセクタリウム」創刊。1987年、多摩動物公園園長となり、翌年「昆虫生態園」をオープン。1999年より群馬県立「ぐんま昆虫の森」園長として今に至る。」とある。
最後に、この広大な「ぐんま昆虫の森」の全体像を、同館発行のパンフレットから引用させていただく。次回は、フィールドで昆虫をみることができる季節に訪問してみたいものと思っている。
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「ぐんま昆虫の森」フィールドマップ
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ブッドレアの冬芽(2019.1.16 撮影)
「ぐんま昆虫の森」へは、軽井沢からは上信越道・関越道・北関東道を利用することになるが、伊勢崎ICで降りると、そこから一般道を約25分ほど北に走ったところにある。夏には大勢の子供たちで賑わっていたと思われるが、この日は平日でもあり訪れる人もなく、駐車場に停められている車もまばらで、ひっそりとしていた。
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道路沿いにある「ぐんま昆虫の森」の案内標識(2019.1.11 撮影)
駐車場に車を停め、施設入り口横の自動券売機でチケットを購入して、広い園内に入った。この入り口から目指す蝶温室のある昆虫観察館までは、だらだら坂をしばらく歩くことになる。遊歩道沿いには、クヌギ、コナラなどの木が植えられているが、今は葉をほとんど落としてしまっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/c7/db18dfd10cb442ca9128ab27b89408be.jpg)
坂の途中から昆虫観察館の全体がよく見える(2019.1.11 撮影)
昆虫観察館は地上3階の作りになっていて、本館入り口は3階部分にあり、坂を上りきったところに設けられている。またこのほか道路を挟んで食草・育成温室と別館のミュージアムショップや地下1階に設けられたフォローアップ学習コーナーなどもある。この昆虫観察館をはじめとした、ぐんま昆虫の森の基本設計及びフィールドの実施設計は、安藤忠雄建築研究所によるもので、昆虫観察館本館は2002年に着工、2004年に竣工している。
ここまでくる遊歩道からは、このガラス張りの立派な「蝶温室=昆虫ふれあい温室」の外観がよく見通せるように、道がつけられているようだ。
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「昆虫ふれあい温室」のある昆虫観察館入り口(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/53/f1ad936d959790be7c41356710d80de3.jpg)
玄関を入ったところには、入園者数が150万人を超えたことを示す掲示があり、入園者数不足で赤字経営との話を聞いていたが、改善傾向にあるのだろうか。
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入園者数150万人を祝う掲示(2019.1.11 撮影)
途中、パネル展示や、飼育ケースに入れられたクワガタ類、カブトムシなどを見ながら、目的の「昆虫ふれあい温室」に向かった。この温室は1,100平方メートルの広さがあり、建物の2階部分から入り、緩やかなスロープを下り、1階から外に出るように設計されている。中央部分には大きな滝や渓流が作られている。
以前、伊丹市昆虫館(2017.4.7 公開本ブログ)や橿原市昆虫館(2018.8.17 公開本ブログ)を訪れたことがあるが、温室面積としてはこれらを若干上回る規模と思われた。内部は22℃程度に保たれ、湿度も高く持参したカメラのレンズは一瞬にして曇ってしまったので、しばらく撮影の方はお預けとなり、出迎えてくれた蝶を眺めることから始まった。
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たくさんのオオゴマダラが出迎えてくれた(2019.1.11 撮影)
先の2か所の蝶温室でも同様であるが、オオゴマダラの数がここでも一番多く見られた。その他、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、シロオビアゲハ、タテハモドキ、タイワンキチョウなどが見られたが、今回美しいツマベニチョウとイシガケチョウを見ることができたことがいちばんの収穫であった。
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オオゴマダラ(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/43/befe06d579a08744457e224d067781d8.jpg)
リュウキュウアサギマダラ(2019.1.11 撮影)
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ツマムラサキマダラ(2019.1.11 撮影)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/c9/9d6585b9b683e7265e0d308db1035159.jpg)
タテハモドキ(2019.1.11 撮影)
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タイワンキチョウ(2019.1.11 撮影)
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シロオビアゲハ(左♂、右♀ 2019.1.11 撮影)
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ツマベニチョウ(写真下:左♀、右♂ 2019.1.11 撮影)
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イシガケチョウ(2019.1.11 撮影)
中でも、イシガケチョウの生きている姿を見るのは初めてで、以前訪ねた伊丹、橿原の蝶温室でも見ることができなかったものであっただけに、ついつい夢中になってたくさんの写真を撮影した。
若いころ、「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)のイシガケチョウの項を見て、次のように書かれていたので、もしかしたら自分でも大阪でこの蝶を採集することができるのではと期待を持ち、箕面滝から勝尾寺の方まで採集に出かけたことを思い出す。
「いしがけちょう
印度から、台湾・沖縄を経てわが国の半ばに定住する本種は、北上する蝶類中新進の代表である。・・・関西では1929年9月9日大阪府下箕面において最初の記録がある。当時としては珍しい出来事であったが、近年大阪市内においてさえ、5頭も採集された事実があり、府下各地に採集せられている。・・・路上・岩石湿地などに翅を開いたまま展翅された標本のように静止する。・・・」
イシガケチョウの一番上の写真など、まさにここに書かれているとおりで、展翅標本そのままの開翅状態である。また、イシガケチョウの眼には中央に線が入っていて、半眼状態で眠そうに見える。このことは、今回ぐんま昆虫観察館の展示説明で知った。
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中央に線が走り、眠そうに見えるイシガケチョウの眼(2019.1.11 撮影、上下を逆さにしている)
この昆虫観察館を出ると別館と食草・育成温室に通じる道がある。別館内の地下1階部分には広いフォローアップ学習コーナーがあり、多くの関連書籍が利用できるようになっている。また、この施設設計をした安藤忠雄氏関連の書籍コーナーも見られた。
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別館の地下部分にあるフォローアップ学習コーナー(2019.1.11 撮影)
食草・育成温室の建物に入り廊下から室内に展示されている飼育箱や蛹を眺めていたら、中から職員の一人が出て来て、声をかけてくれた。自由に室内を見学してもいいとの誘いを受け、室内で飼育中のオオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、ツマベニチョウ、シロオビアゲハなどの幼虫の飼育の様子と、これらの蝶の蛹を見せていただいた。
ここでも、飼育している幼虫の食草は毎週石垣島から空輸しているという。
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ホウライカガミを食べるオオゴマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
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リュウキュウテイカカズラを食べるツマムラサキマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
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ツルモウリンカを食べるリュウキュウアサギマダラの幼虫(2019.1.11 撮影)
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ギョボクを食べるツマベニチョウの幼虫、蛇に擬態しているとされる(2019.1.11 撮影)
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ミカンの葉を食べるシロオビアゲハの幼虫(2019.1.11 撮影)
前翅長60~75mmと、国内産の蝶では最大級とされるオオゴマダラだが、幼虫の大きさも大きく50mm以上あって、ツマムラサキマダラの幼虫と比べるとその違いが判る。
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オオゴマダラ〈左〉とツマムラサキマダラ〈右〉(2019.1.11 撮影)
オオゴマダラの蛹は羽化が近くなると金色の構造色が強くなり、とても美しい。次の写真では羽化直後の成虫の姿も見られる。
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オオゴマダラの蛹(2019.1.11 撮影)
ツマベニチョウの蛹を見るのは初めてであったが、無造作に紙の上に置かれていた。羽化が近くなると、成虫(♂)の前翅先端の紅色が、蛹の殻を透して見えるようになる。
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ツマベニチョウの蛹(2019.1.11 撮影)
ところで、これまでにも温室内で通年蝶の姿を見ることのできる伊丹市昆虫館や橿原市昆虫館を訪ねてきた。開館時期は伊丹市昆虫館が1990年11月10日、橿原市昆虫館は1989年10月10日である。一方、今回訪問したぐんま昆虫の森の開館は2005年8月1日と、少し遅れてのスタートであった。
ぐんま昆虫の森沿革についてはホームページに「目的及び沿革」が掲載されているが、1997年に構想がスタートしている。現在名誉園長を務めている矢島 稔氏が構想段階から参加してきたことが、氏の著書「蝶を育てるアリ」(文春新書 2002年発行)の「あとがき」に記されていた。
「・・・(私の信条である)『実物を自然の中で自分で探す』ということと、ほとんど同じ発想で群馬県の小寺弘之知事が実体験のできる施設を提案された。私が設立委員会に招かれ、その『ぐんま昆虫の森』計画の立案を依頼されたのは、数年前のことであった。場所は勢多郡新里村で、広さは四十八ヘクタールある。・・・まさか理想としてきた夢の施設が現実になろうとは思ってもいなかった私は、これを半生のまとめにしたいという思いで、準備室のスタッフと計画を練っている。・・・これほどの規模の施設は日本にはもちろん、世界にもない。・・・つまり、ひと昔前の”昆虫少年”を一人でも多くつくりたいと思って、前例のない新しい施設をつくりつつある。・・・」
尚、この「蝶を育てるアリ」の著者のプロフィールによると、矢島 稔氏は、大学卒業後、東京都多摩動物公園に勤務し「昆虫園」を開設。1964年、月刊誌「インセクタリウム」創刊。1987年、多摩動物公園園長となり、翌年「昆虫生態園」をオープン。1999年より群馬県立「ぐんま昆虫の森」園長として今に至る。」とある。
最後に、この広大な「ぐんま昆虫の森」の全体像を、同館発行のパンフレットから引用させていただく。次回は、フィールドで昆虫をみることができる季節に訪問してみたいものと思っている。
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「ぐんま昆虫の森」フィールドマップ