軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

庭に来たチョウ(30)メスアカミドリシジミ

2024-09-13 00:00:00 | 
 久々にゼフィルスが我が家の庭にやってきた。夕方、帰宅時にブッドレアの花の上を活発に飛び回っている1個体を目撃し、目で後を追っていると、傍らのカツラの枝先に止まり動かなくなった。カメラを取りに2階に行って戻ってきてもまだそのままじっと止まっていたので、撮影することができた。
 高い場所に止まっていて、翅裏しか写すことができなかったが、図鑑で調べてみて、メスアカミドリシジミだろうと判定した。

 いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)には次のように紹介されている。

 「日本全土に産するがいずれの地にも多産せず、近縁種の雌は多く翅裏の黒褐色なO型のものが多いが、本種の雌は他種のB型に類する翅端の橙色紋が大型で色もあざやかで、その雌の翅紋に因る名が、和名として、定められている。しかしこの美しい翅紋も近畿以西のものは暖地に向かって次第に小さくなり、中にはほとんど消失して名に反するものもあるが、それとは逆に中部以北は次第に橙色紋が大きく、北海道に産するもののごときは前翅のなかばにも拡大しすばらしい。
 本種の特徴は前翅雌雄とも裏面中室に現れる『短帯は明らかな白線でくまどられる』ことである。・・・
 従来コナラ・カシワと推定されていた食樹はエゾザクラ・オオヤマザクラなどであることが知られ、発芽の早いサクラによって本種が他のゼフィルスにさきがけ6月末から7月中旬に現れることもうなずける。・・・
 北海道では平地・山地、いずれも広く産し、関東・中部では山地各所に、近畿では滋賀・京都の山地にまれながら産するが、大阪府下には未だ発見されたことを聞かない。・・・」
 
 種の同定にはこの解説に示されている裏面中室に見られる短帯の形状とそのくまどりを参考にしたが、これはアイノミドリシジミとよく似ているので、翅裏だけでは迷うところである。



自宅庭に来たメスアカミドリシジミ 1/2(2024.8.10 撮影)


自宅庭に来たメスアカミドリシジミ 2/2(2024.8.10 撮影)

 今年は、もう1度このメスアカミドリシジミを見ている。小諸のMさんのバタフライガーデンを訪ねた時で、ガーデンから少し離れた場所にある、やはりMさんの畑地に案内されたときである。ここにはチョウの食樹となる数種類の木が植えられているが、この日はスミナガシの幼虫がいるというアワブキの木を見に行った。

 この時、近くの大きな木の枝先にチョウがいると妻に教えられて、超望遠レンズ越しに眺めてみると、ゼフィルスらしい姿が認められた。撮影した画像を帰宅後確認して、メスアカミドリシジミではないかと判定したのであった。
 
小諸のMさんの畑で見たメスアカミドリシジミ1 /2(2024.6.19 撮影)

小諸のMさんの畑で見たメスアカミドリシジミ2 /2(2024.6.19 撮影)

 メスアカミドリシジミを初めて見たのは弘前にアカシジミの大発生を見に行った時で、この時は渓流に架かる橋の上から見下ろす形で枝先に止まって、テリトリーを張る数種類のゼフィルスを見ることができた。

 翅表を撮影することができたので、その内の1頭が、その太い後翅の外縁黒帯からメスアカミドリシジミと判定できた。

弘前の山間地の渓流で撮影したメスアカミドリシジミ♂(2013.7.6 撮影)

 義父のコレクションにもメスアカミドリシジミが含まれている。よく似たアイノミドリシジミ、ミドリシジミと比べてみると次のようである。

標本写真(上から ミドリシジミ、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミの♂)


同上裏(上から ミドリシジミ、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミの♂)





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