軽井沢は比較的地震の少ない地域だと思うが、ガラスショップを経営している関係で、やはり地震は気になるので地震関連情報には注意している。
阪神淡路大震災の際には、ガレの作品などのコレクションを持っていた兵庫県芦屋市在住の太田恵子さん(2020.8.7 公開当ブログ「彩蝶」参照)が被災し、これら貴重な作品を失ったと著書に書いているし、当ショップを訪れてくださるガラスのコレクターの方々の中にも、東日本大震災で多くのコレクションを失ってしまったと嘆いておられる方が結構いらっしゃる。
私も、ショップにある1000点以上のガラス器を、地震で失ってしまうといった事態は避けなければならないので、前回のブログ(2022.6.24 公開)でも紹介したように、いくつかの地震対策を行うと共に、地震発生に関する情報には気を配っている。
気象庁が発表している「震度階級関連解説表」には、地震の強さと被害状況の関係が次のように記されている。
気象庁が発表している「震度階級関連解説表」の一部
これによると、棚にある食器類は震度5弱以上で落下の危険性が増してくることになる。実際、これまで軽井沢で経験した震度3から4の地震では、自宅にある棚のこけしは倒れているが、自宅と店舗のガラス器類は無事であった。
この震度5弱以上の地震が、国内でどの程度発生しているかを気象庁が発表しているデータで見ると、昨年1年間だけでも10回、過去10年間に123回発生している。
気象庁発表の地震データベースから(2012/09/25~2022/09/24に発生した地震)
このうち長野県で発生した震度5弱以上の地震の発生状況をみると、次のようであり(直近2年間のデータはないが)、平均しておよそ年に1回ほどの発生である。
同上、長野県で発生した震度5弱以上の地震の発生状況
地震に関して、日本には安全といえる場所などはなく、いつどこで起きるかわからないので、常に備えをしておかなければならないといわれている。それはその通りで、震度5弱を含めて地震発生の確率を見ると、全国がほとんど同じようなレベルである。
しかし、震度5強になると状況は異なり、震度6弱以上でみればその地域差は一層明瞭になる。確率論的地震動予測地図 というデータが国立研究開発法人、防災科学技術研究所から公開されているが、これによると、例えば30年以内に震度5弱以上と、震度6弱以上の地震に襲われる全国各地の確率はそれぞれ次図のようである。ここでは色の濃さにより発生確率が100%まで5段階に塗り分けられている。
確率論的地震予測地図 今後30年間に 震度5弱以上の揺れに見舞われる確率(令和3年3月 地震調査研究推進本部 地震調査委員会公表「全国地震動予測地図2020年版」より)
確率論的地震予測地図 今後30年間に 震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(令和3年3月 地震調査研究推進本部 地震調査委員会公表「全国地震動予測地図2020年版」より)
地震発生のメカニズムは大きく2つに分けられる。内陸で発生する直下型地震と、海洋で発生する海溝型地震である。
上記の確率論的地震予測地図の場合には、これら2種の地震発生確率とそれらが国内各地でどの程度の強さの揺れを引き起こすかを重ね合わせて表示している。
地震発生メカニズム別の予測地図も同様に公表されている。まず活断層などの浅い地震による震度6弱以上の揺れの発生確率を見ると次のようである。長野県中北部から新潟県にかけての地域は、この直下型地震の影響が大きいことがわかる。
次いで、海溝型の地震による震度6弱以上の揺れの発生確率をみると次のようである。
両者を見比べて判るように、震度6弱以上の揺れに襲われる確率は、この海溝型の地震によるところがとても大きく、沿岸地帯だけではなく広く内陸部にまでその影響が及んでいることがわかる。こうした予測は、近い将来必ず発生すると考えられている、南海トラフ巨大地震と相模トラフ地震を考慮したものである。
当地軽井沢での地震被害を考える場合、比較的発生確率自体は低いものの、内陸型の直下型地震だけではなく、現在強く叫ばれている、南海トラフ巨大地震の影響を意識しておかなければならないことが理解される予測地図である。
30年以内に発生する確率が70%を超えると公表されている南海トラフ巨大地震と、首都直下地震、さらに最近その被害想定が公表された千島海溝での巨大地震。これらの地震による日本への影響のあまりの大きさに立ちすくんでしまいそうな状況であるが、その予測の根拠はどのようなものか、そして現状で対策はどのように進んでいるのか気になるところである。
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