前回、今年7月31日と8月3日に、池の平湿原に出かけたときにはまだ発生していなかったベニヒカゲを、今年も見たいと思っていたが、天候不順や来客の予定などが重なり果たせないでいた。天気がやや好転した8月29日、ようやく出かける機会が訪れた。
今回は、前2回とは逆に高峰高原側から入り、湯の丸高峰林道経由で池の平湿原に向かった。車坂峠にあるビジターセンター脇のお花畑では、さっそくベニヒカゲが飛び回っているところを見ることができた。
8月3日にはこの付近でもまったく姿を見かけなかったので、今回は訪問時期がちょうどよかったと思われ、池の平湿原での再会への期待が膨らんだ。
高峰高原のお花畑のヤナギランで吸蜜するベニヒカゲ♂(2017.8.29 撮影)
このベニヒカゲは、前翅長22~28㎜と小型で、タテハチョウ科、ジャノメチョウ亜科、ベニヒカゲ属に属する。長野県では1975年2月24日に県天然記念物に指定され、採集は禁止されている。
古い「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)での分類は、前回の「ジャノメチョウ」と同様、タテハチョウ科ではなくジャノメチョウ科である。
その後タテハチョウ科、ジャノメチョウ亜科に変更されているが、インターネット上の「コトバンク」ではベニヒカゲはジャノメチョウ科として扱われるなど、分類に関してはどこまで公式に認められているのか、素人には判りかねるところがある。
この「原色日本蝶類図鑑」にはベニヒカゲについて、次のように書かれている。
「高山蝶の一つで中部以北に産し、分布範囲は高山蝶のうち最も広い。棲息地は中部山岳地帯では、蓼科・八ヶ岳・赤石・木曽駒ケ岳・妙高・飛騨中部山脈一帯より次第に北に延び、関東西北山地にも多く燧岳・至仏の三国山脈から四阿山・浅間山にも産する。・・・発生は他の高山蝶に較べておそく、年1回、8月から9月に及び、日光の明るい花上に舞うさまは美しい。斑紋の変化が多く、北部に片寄るほど小型で、中には無紋のものさえあって、4つの亜種が認められている。卵はメヒシバ・ヌカボなどの食草の葉裏に1個ずつ産み付けられ、幼虫で越冬する。」
新しい本「フィールドガイド 日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)には、一部やや異なる内容で、次のように書かれている。
「【食草】ヒメノガリヤス・オニノガリヤス(イネ科)、ホンモンジスゲ・ミヤマカンスゲ・ヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)など。 【行動】日中、草原上を緩やかに飛翔し、クガイソウ・ハクサンフウロ・アザミ類など各種の花を訪れる。♂♀ともに湿った場所で吸水するほか、獣糞や人の汗などにもよく集まる。」
池の平湿原入口にある駐車場には12時を少し過ぎたころに到着したが、駐車場に車を止め、池の平三方歩道に沿ってゆるやかな坂道を歩き始めるとさっそくベニヒカゲが葉上に止まっているところに出会った。この後、湿原内では様々な高山植物の花で吸蜜していることろを撮影することができたので、以下に紹介する。
上記の「フィールドガイド 日本のチョウ」にもあったとおり、ベニヒカゲには人を恐れない個体もいて、撮影していると手や足に止まって汗を吸い、我々を喜ばせてくれた。
アキノキリンソウで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/2(2017.8.29 撮影)
アキノキリンソウで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 3/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀♀ 4/4(2017.8.29 撮影)
ハクサンフウロで吸蜜するベニヒカゲ♀ (2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 1/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 2/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 3/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♀♀♂ 4/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 5/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂♀ 6/6(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキで吸蜜するベニヒカゲ♂ 1/2(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
ヤナギランで吸蜜するベニヒカゲ♀ (2017.8.29 撮影)
ヤマハハコで吸蜜するベニヒカゲ♂ (2017.8.29 撮影)
ヨツバヒヨドリで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/2(2017.8.29 撮影)
ヨツバヒヨドリで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
この日は、途中から日が差してきて、ベニヒカゲは活発に飛び回るようになり、マルバダケブキとマツムシソウには多数のベニヒカゲが群がる様子が見られた。
マルバダケブキに群がって吸蜜するベニヒカゲ1/2(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキに群がって吸蜜するベニヒカゲ2/2(2017.8.29 撮影)
マツムシソウに群がって吸蜜するベニヒカゲとシータテハ(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで仲良く一緒に吸蜜するベニヒカゲとシータテハ(2017.8.29 撮影)
また、先に紹介したようにベニヒカゲは人の汗を吸う。写真撮影をしている妻の周りを飛び回っていたが、手を差し出すと指先に止まって汗を吸い始めた。この個体はその後もずっと我々の周りにまとわりつき、時にシャツの上やジーンズの上に止まっていたが、やがて飛び去っていった。
妻の指先に止まり、汗を吸うベニヒカゲ♂(2017.8.29 撮影)
この時期、ベニヒカゲは発生の真っ最中という感じで、新鮮な個体も多く見られたのだが、このベニヒカゲに混じって、コヒョウモンの姿も見られた。前回、8月3日に来たときには、この日のベニヒカゲと同じくらい多くの数が見られたコヒョウモンだが、今では翅がボロボロになっていた。
発生最盛期から約1ヶ月が過ぎ、翅がボロボロになっていたコヒョウモン(2017.8.29 撮影)
天候がいまひとつすっきりしない日であったが、駐車場はほぼ満車状態で、多くの観光客がそれぞれ思い思いに湿原やその周辺の山々の自然を楽しんでいた。我々も予想していた以上に多数のベニヒカゲを見、写真とビデオに収めることができ大満足の日となった。
ベニヒカゲの群がるマルバダケブキと背後に見える池の平湿原(2017.8.29 撮影)
今回は、前2回とは逆に高峰高原側から入り、湯の丸高峰林道経由で池の平湿原に向かった。車坂峠にあるビジターセンター脇のお花畑では、さっそくベニヒカゲが飛び回っているところを見ることができた。
8月3日にはこの付近でもまったく姿を見かけなかったので、今回は訪問時期がちょうどよかったと思われ、池の平湿原での再会への期待が膨らんだ。
高峰高原のお花畑のヤナギランで吸蜜するベニヒカゲ♂(2017.8.29 撮影)
このベニヒカゲは、前翅長22~28㎜と小型で、タテハチョウ科、ジャノメチョウ亜科、ベニヒカゲ属に属する。長野県では1975年2月24日に県天然記念物に指定され、採集は禁止されている。
古い「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)での分類は、前回の「ジャノメチョウ」と同様、タテハチョウ科ではなくジャノメチョウ科である。
その後タテハチョウ科、ジャノメチョウ亜科に変更されているが、インターネット上の「コトバンク」ではベニヒカゲはジャノメチョウ科として扱われるなど、分類に関してはどこまで公式に認められているのか、素人には判りかねるところがある。
この「原色日本蝶類図鑑」にはベニヒカゲについて、次のように書かれている。
「高山蝶の一つで中部以北に産し、分布範囲は高山蝶のうち最も広い。棲息地は中部山岳地帯では、蓼科・八ヶ岳・赤石・木曽駒ケ岳・妙高・飛騨中部山脈一帯より次第に北に延び、関東西北山地にも多く燧岳・至仏の三国山脈から四阿山・浅間山にも産する。・・・発生は他の高山蝶に較べておそく、年1回、8月から9月に及び、日光の明るい花上に舞うさまは美しい。斑紋の変化が多く、北部に片寄るほど小型で、中には無紋のものさえあって、4つの亜種が認められている。卵はメヒシバ・ヌカボなどの食草の葉裏に1個ずつ産み付けられ、幼虫で越冬する。」
新しい本「フィールドガイド 日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)には、一部やや異なる内容で、次のように書かれている。
「【食草】ヒメノガリヤス・オニノガリヤス(イネ科)、ホンモンジスゲ・ミヤマカンスゲ・ヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)など。 【行動】日中、草原上を緩やかに飛翔し、クガイソウ・ハクサンフウロ・アザミ類など各種の花を訪れる。♂♀ともに湿った場所で吸水するほか、獣糞や人の汗などにもよく集まる。」
池の平湿原入口にある駐車場には12時を少し過ぎたころに到着したが、駐車場に車を止め、池の平三方歩道に沿ってゆるやかな坂道を歩き始めるとさっそくベニヒカゲが葉上に止まっているところに出会った。この後、湿原内では様々な高山植物の花で吸蜜していることろを撮影することができたので、以下に紹介する。
上記の「フィールドガイド 日本のチョウ」にもあったとおり、ベニヒカゲには人を恐れない個体もいて、撮影していると手や足に止まって汗を吸い、我々を喜ばせてくれた。
アキノキリンソウで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/2(2017.8.29 撮影)
アキノキリンソウで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀ 3/4(2017.8.29 撮影)
ノアザミで吸蜜するベニヒカゲ♀♀ 4/4(2017.8.29 撮影)
ハクサンフウロで吸蜜するベニヒカゲ♀ (2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 1/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 2/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 3/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♀♀♂ 4/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂ 5/6(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで吸蜜するベニヒカゲ♂♀ 6/6(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキで吸蜜するベニヒカゲ♂ 1/2(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
ヤナギランで吸蜜するベニヒカゲ♀ (2017.8.29 撮影)
ヤマハハコで吸蜜するベニヒカゲ♂ (2017.8.29 撮影)
ヨツバヒヨドリで吸蜜するベニヒカゲ♀ 1/2(2017.8.29 撮影)
ヨツバヒヨドリで吸蜜するベニヒカゲ♀ 2/2(2017.8.29 撮影)
この日は、途中から日が差してきて、ベニヒカゲは活発に飛び回るようになり、マルバダケブキとマツムシソウには多数のベニヒカゲが群がる様子が見られた。
マルバダケブキに群がって吸蜜するベニヒカゲ1/2(2017.8.29 撮影)
マルバダケブキに群がって吸蜜するベニヒカゲ2/2(2017.8.29 撮影)
マツムシソウに群がって吸蜜するベニヒカゲとシータテハ(2017.8.29 撮影)
マツムシソウで仲良く一緒に吸蜜するベニヒカゲとシータテハ(2017.8.29 撮影)
また、先に紹介したようにベニヒカゲは人の汗を吸う。写真撮影をしている妻の周りを飛び回っていたが、手を差し出すと指先に止まって汗を吸い始めた。この個体はその後もずっと我々の周りにまとわりつき、時にシャツの上やジーンズの上に止まっていたが、やがて飛び去っていった。
妻の指先に止まり、汗を吸うベニヒカゲ♂(2017.8.29 撮影)
この時期、ベニヒカゲは発生の真っ最中という感じで、新鮮な個体も多く見られたのだが、このベニヒカゲに混じって、コヒョウモンの姿も見られた。前回、8月3日に来たときには、この日のベニヒカゲと同じくらい多くの数が見られたコヒョウモンだが、今では翅がボロボロになっていた。
発生最盛期から約1ヶ月が過ぎ、翅がボロボロになっていたコヒョウモン(2017.8.29 撮影)
天候がいまひとつすっきりしない日であったが、駐車場はほぼ満車状態で、多くの観光客がそれぞれ思い思いに湿原やその周辺の山々の自然を楽しんでいた。我々も予想していた以上に多数のベニヒカゲを見、写真とビデオに収めることができ大満足の日となった。
ベニヒカゲの群がるマルバダケブキと背後に見える池の平湿原(2017.8.29 撮影)
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