すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 18/19 第1節】未完のチェルシー 〜ハダースフィールド 0-3 チェルシー

2018-08-16 13:55:03 | イングランド・プレミアリーグ
点差ほどの差はなかった

 ナポリからサッリ監督が就任して間もないチェルシーは苦しみながらも勝ち切った。ハダースフィールドの激しいハイプレスの前にビルドアップを寸断され、前半は苦しい展開に。それでも3点を取る地力はさすがだが、彼らはチーム作りにもう少し時間がかかりそうだ。

 チェルシーのフォーメーションは4-3-3。GKは移籍したクルトワの後釜にビルバオから新加入したスペイン代表のケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ルイス、アロンソ。中盤はアンカーにナポリから新加入のジョルジーニョ。右インサイドMFはフランス代表のカンテ。左インサイドMFにバークリー。3トップは右からペドロ、モラタ、ウィリアンだ。

 チェルシーのビルドアップはCBやSBからセントラルMF経由が多い。中央重視だ。時おり左インサイドMFのバークリーがCBとSBの間に下りてくる。サイドに低い位置で基点は作っても、SBを高く上げるようなサイド攻撃はあまりしない。むしろビルドアップ時には両WGがサイドに開き、パスの受け皿を作っている。

 ただこのゲームでは、チェルシーのビルドアップの局面でハダースフィールドが猛烈なハイプレスをかけてきたため組み立てが混沌とした。スペースがないのでパスを受ける際には繊細なファーストタッチが要求されるが、そこでチェルシーの選手たちは前を向かせてもらえず四苦八苦した。

 かたやハダースフィールドを指揮するワグナー監督は、ドルトムントでクロップのアシスタントをしていただけあって智将の雰囲気が漂う。ハイプレスをあやつり前から圧力をかけるゲームプランが奏功し、特に前半は33分に失点するまで完全にハダースフィールドのゲームだった。

 彼らは3バック(5バック)でウイングバックを有効に使い、ハイプレスをかけたかと思えば自陣に押し込まれるとディフェンディングサードにコンパクトなローブロックを作る守備をする。

アクシデントに近い1点目で試合は決まった

 均衡が破れたのは一種の事故だった。前半33分、チェルシーのペドロが真ん中のフリースペースをドリブルで攻め上がり、左のウィリアンにパス。ウィリアンが左サイドで1人かわしてマイナスのクロスを入れ、ファーサイドでカンテがダイレクトでゴールした。

 ハダースフィールドはペドロのドリブルの直前にプレッシングの関係で陣形が(彼らから見て)左寄りになってしまい、中央にスペースを空けてしまったためそのスペースをペドロにドリブルでうまく使われた。続く前半44分にはジョルジーニョがPKを沈め、チェルシーが2点リードし前半を折り返す。あとから見れば試合の趨勢は、アクシデントに近い1点目で決まってしまったようだ。

 後半、ハダースフィールドはハイプレスをやめ、相手ボールになるとリトリートしてディフェンディングサードにブロックを作ることが多くなる。こうなればチェルシーは喉から手が出るほど欲しかったスペースが得られ、高い位置でラクにボールを回せるようになった。これでチェルシーのペースに変わった。ただチェルシーはポゼッション率が高く点も取れたが、内容的には点差ほどの開きはなかった。彼らは組織の構築にまだ時間が必要だろう。

 一方、ハダースフィールドの課題はフィニッシュだ。ハイプレスでせっかくボールを奪っても攻撃の枚数が足りず点が取れない。初失点の直後にポストを叩いた惜しいシュートがあったが、もしあれが決まり同点になっていれば試合はどうなっていたかわからない。フィニッシュさえ変われば彼らは台風の目になるかもしれない。さて両チームは今後、修正点をどう克服するのだろうか。目が離せない。

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