すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【女子W杯2023 分析】なでしこ、実は薄氷を踏むノルウェー戦だった

2023-08-10 05:00:03 | なでしこジャパン(ほか女子サッカー)
ノルウェーに決められた「あのゴール」を忘れるな

 明日、なでしこジャパンは準々決勝で強豪スウェーデンと対戦する。そこであえて反省材料として、決勝トーナメント1回戦のノルウェー戦をもう一度振り返っておきたい。

 ノルウェーとスウェーデンは同じ北欧の強豪であり、高さとフィジカルを武器にする点でも共通している。似た者同士だ。つまり明日戦うスウェーデンは、いわばノルウェーの「上位互換」だといえる。

 スタイルは似ているが、ノルウェーよりスウェーデンのほうが上なのだ。その意味でノルウェー戦を振り返り、反省点を明日に生かすことは重要な意味がある。

 実はあのノルウェー戦におけるなでしこジャパンの勝利は、いくつもの「もし」で成り立っている。一見、快勝に見えるが、実はいくつもの幸運にめぐまれていた。

 この試合、ノルウェーは日本が仕掛けてくるポゼッションサッカー対策として、5バックで自陣にできるスペースを消してきた。守備的な方法論としては確かに一理ある。

 だが、もしノルウェーが5-4-1のフォーメーションで守りのサッカーをするのでなく、前半からサイドを使ってハイボールやアーリークロス、縦へのロングボールを雨あられと積極的に放り込んできていたら?

 これにより日本がいちばん苦手とする、高さとフィジカルの激しい競り合いに持ち込む肉弾戦を挑んできていたらどうなっていたか?

 なでしこは、たった8分間で3点食らって1‐0から逆転負けした男子ジーコジャパンの2006年ドイツW杯豪州戦のときのように、ガタガタと崩れていたかもしれない。

 あのノルウェー戦は快勝のように見えるが、実はそうじゃない。こんなふうにたくさんの「もし」で彩られている。

 ひとつ言えることは、ノルウェーは高さという自分たちの武器を前面に出して生かそうとせず、逆に日本との勝負を5-4-1で「受けに回った」から不利に陥ったのだということだ。

前半19分に空中戦に負け同点ゴールを食らう

 もう一度書こう。

 なでしこジャパンのアキレス腱は、高さとフィジカルを駆使したハイボールの競り合いに弱いことだ。

 もしノルウェーにその高さとフィジカルの戦いに持ち込まれていたら、あの試合はどうなっていたかわからない。その証拠に、なでしこが1点リードした状況で前半19分に食らったクロスからの同点ゴールがある。

 あの場面、「厳しくプレスをかけて敵にクロスを蹴らせない」という第一の勝負に、なでしこは負けていた。

 もうひとつ、入ってきたハイボールを競り合い「敵のシュートを未然に防ぐ」という第二の勝負にもなでしこは敗北した。だからゴールされたのだ。しかも今大会、唯一の失点だ。

 正直、あのヘディングシュートで同点にされたとき、「これはわからないぞ」と思ったものだ。実際、ノルウェーの選手たちはあの同点ゴールでみるみる生気が蘇り、試合の緊張感がぐっと増すのが手に取るようにわかった。

 ハイボールによる競り合いに勝つ方法は、この記事にくわしく書いたので繰り返すのはよそう。ただ明日のスウェーデン戦は、絶対にサイドからのクロスを入れさせてはいけない。

 敵の足元にしつこくプレスをかけてクロスを蹴らせない。

 いったんハイボールを中に入れさせたら、日本はたちまちピンチに陥る。

 くれぐれもこれだけは気をつけてほしい。

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