スウェーデンは空中戦の覇者だ
なでしこジャパンにとって大きなヤマ場といえるのが次の準々決勝だ。スウェーデンとのゲームは、どんな展開になるだろうか?
スウェーデンは大柄な選手が揃い、フィジカルが強靭だ。そのためハイボールの競り合いを得意としている。ただしなでしこのような細かなテクニックはない。大味なチームだ。
とすればスウェーデンは個人の技術を争う地上戦は避け、決勝トーナメント1回戦のアメリカ戦のときのように、とにかくボールを高く蹴り上げて空中戦に持ち込んでくるだろう。自分たちの高さを生かすためだ。
となればサイドからのアーリークロスやハイクロス、最終ラインからの縦へのロングボールなどで、フィジカルと高さを武器に激しい競り合いを仕掛けてくるだろう。
特に彼らのフィニッシュは、ほぼサイドからのハイクロスなのだ。
こうした肉弾戦に、小柄ななでしこがマトモに付き合うと絶対的に不利になる。
ポゼッションスタイルで相手にボールを渡さない
とすればひとつの考え方として、「スウェーデンにはボールを持たせない」という方法がある。徹底したポゼッションスタイルを使った地上戦で、ボールをずっと保持して相手に渡さない。
なでしこらしい小回りの利くアジリティを生かし、動いてパスコースを作り続ける。そして浮いたボールはなるべく避け、カットされにくい強くて速いグラウンダーのパスを繋ぐのだ。「結果的」に日本のポゼッション率を少しでも長くする、という対策である。なでしこの技術力なら、ある程度は実現できるだろう。
これにより失点のリスクを下げると同時に、自分たちだけがフィニッシュするチャンスを数多く作る。
ただしポゼッションするといっても、「ボールを保持すること」が自己目的化してはいけない。悪い意味でのティキタカになってはダメだ。あくまで目的は「ゴールを奪うこと」である。ボール保持のためのポゼッションスタイルに陥っては本末転倒だ。
また逆にグループリーグ第3節のスペイン戦のときのように、ボールを放棄し引いて戦うカウンター戦術はスウェーデン相手には絶対に避けたほうがいい。
彼らを相手にそれをやれば、日本の守備ブロックの頭上に遠くからロングボールを放り込まれ、高さとフィジカルのある大柄なスウェーデンの選手とまともにハイボールを競り合うハメになる。
これでは勝ち目がない。
敵がクロスを入れる前につぶす
とはいえずっとボールを保持するといっても、当然、限界はある。スウェーデンのボールになるときは必ず来る。そのときは前の記事にも書いたように、クロスを上げようとする相手選手に強くプレスをかけて未然に防ぐ。潰してしまう。これでハイボールを入れさせない。その前に決してマークを外さない。
これを徹底するしかない。
ただそれでも何本かは、サイドからハイクロスを入れられることはあるだろう。そのときは基本通り、競り合う相手にカラダを押っ付けラクにボールを処理させないようにしたい。
空中戦に勝つコツは、まずロングボールの落下地点をいち早く読むこと。そしてボールが落ちる場所にすばやく移動し、敵より先に競り合いに有利な落下地点をひとりで「占有すること」だ。
これでボールを競り合う敵の選手は、ジャストの落下地点から微妙に外れた位置から中途半端にへっぴり腰でボールを競ることになる。これだけでハイクロスの競り合いが断然、有利になる。実は浮き球の競り合いには、ポジショニングが重要なのだ。フィジカルの問題だけじゃない。
ハシェックに学んだ競り合いのコツ
昔話になるが90年代半ばのサンフレッチェ広島に、イワン・ハシェックというチェコの名選手がいた(現サッカー指導者)。彼は94年のファーストステージ制覇に大きく貢献したいい選手だった。
このハシェックは、なぜか空中戦にめっぽう強かった。理由はよくわからないのだが、なぜだかいつもハイクロスの競り合いになると必ず勝っていた。非常に不思議だった。
なぜ彼は空中戦の競り合いに勝てるのだろう? そんな疑問をもち、彼の競り合いの映像を何度もスロー再生して分析してみた。するとポジショニングの問題なのだとわかってきた。つまりコツは前述した通り、ボールの落下地点の素早い読みと、その落下場所をいち早く占有することなのだとわかった。
なでしこの選手たちも、この点に気をつけてハイクロス攻撃を防いでみてはどうだろうか。
秘密兵器を使うテは?
またスウェーデンのサイドからのクロスを防ぐ手として、秘密兵器を使う方法もある。
たとえば攻撃はいいが守備がやや軽い左ウイングバックの遠藤純に代え、同じポジションの杉田妃和をスタメンで起用するのだ。これによりサイドの守備力を補強する。
杉田はなでしこジャパンのほかの選手たちと違って、ボディコンタクトをまったく怖がらない。ボールの奪い合いでは、むしろ自分のほうから相手にカラダを強く押っ付けて激しく球際で競る。
こうした彼女の高い守備能力を考えれば、一案だろう。
当の遠藤は攻撃面ではまさに「サイドのレジスタ」と言ってもいい活躍をしており使えないのは痛いが、天王山であるスウェーデン戦をしのぐためには、ひとつ杉田に賭けてみてもいいのではないか?
そんな気がしている。
なでしこジャパンにとって大きなヤマ場といえるのが次の準々決勝だ。スウェーデンとのゲームは、どんな展開になるだろうか?
スウェーデンは大柄な選手が揃い、フィジカルが強靭だ。そのためハイボールの競り合いを得意としている。ただしなでしこのような細かなテクニックはない。大味なチームだ。
とすればスウェーデンは個人の技術を争う地上戦は避け、決勝トーナメント1回戦のアメリカ戦のときのように、とにかくボールを高く蹴り上げて空中戦に持ち込んでくるだろう。自分たちの高さを生かすためだ。
となればサイドからのアーリークロスやハイクロス、最終ラインからの縦へのロングボールなどで、フィジカルと高さを武器に激しい競り合いを仕掛けてくるだろう。
特に彼らのフィニッシュは、ほぼサイドからのハイクロスなのだ。
こうした肉弾戦に、小柄ななでしこがマトモに付き合うと絶対的に不利になる。
ポゼッションスタイルで相手にボールを渡さない
とすればひとつの考え方として、「スウェーデンにはボールを持たせない」という方法がある。徹底したポゼッションスタイルを使った地上戦で、ボールをずっと保持して相手に渡さない。
なでしこらしい小回りの利くアジリティを生かし、動いてパスコースを作り続ける。そして浮いたボールはなるべく避け、カットされにくい強くて速いグラウンダーのパスを繋ぐのだ。「結果的」に日本のポゼッション率を少しでも長くする、という対策である。なでしこの技術力なら、ある程度は実現できるだろう。
これにより失点のリスクを下げると同時に、自分たちだけがフィニッシュするチャンスを数多く作る。
ただしポゼッションするといっても、「ボールを保持すること」が自己目的化してはいけない。悪い意味でのティキタカになってはダメだ。あくまで目的は「ゴールを奪うこと」である。ボール保持のためのポゼッションスタイルに陥っては本末転倒だ。
また逆にグループリーグ第3節のスペイン戦のときのように、ボールを放棄し引いて戦うカウンター戦術はスウェーデン相手には絶対に避けたほうがいい。
彼らを相手にそれをやれば、日本の守備ブロックの頭上に遠くからロングボールを放り込まれ、高さとフィジカルのある大柄なスウェーデンの選手とまともにハイボールを競り合うハメになる。
これでは勝ち目がない。
敵がクロスを入れる前につぶす
とはいえずっとボールを保持するといっても、当然、限界はある。スウェーデンのボールになるときは必ず来る。そのときは前の記事にも書いたように、クロスを上げようとする相手選手に強くプレスをかけて未然に防ぐ。潰してしまう。これでハイボールを入れさせない。その前に決してマークを外さない。
これを徹底するしかない。
ただそれでも何本かは、サイドからハイクロスを入れられることはあるだろう。そのときは基本通り、競り合う相手にカラダを押っ付けラクにボールを処理させないようにしたい。
空中戦に勝つコツは、まずロングボールの落下地点をいち早く読むこと。そしてボールが落ちる場所にすばやく移動し、敵より先に競り合いに有利な落下地点をひとりで「占有すること」だ。
これでボールを競り合う敵の選手は、ジャストの落下地点から微妙に外れた位置から中途半端にへっぴり腰でボールを競ることになる。これだけでハイクロスの競り合いが断然、有利になる。実は浮き球の競り合いには、ポジショニングが重要なのだ。フィジカルの問題だけじゃない。
ハシェックに学んだ競り合いのコツ
昔話になるが90年代半ばのサンフレッチェ広島に、イワン・ハシェックというチェコの名選手がいた(現サッカー指導者)。彼は94年のファーストステージ制覇に大きく貢献したいい選手だった。
このハシェックは、なぜか空中戦にめっぽう強かった。理由はよくわからないのだが、なぜだかいつもハイクロスの競り合いになると必ず勝っていた。非常に不思議だった。
なぜ彼は空中戦の競り合いに勝てるのだろう? そんな疑問をもち、彼の競り合いの映像を何度もスロー再生して分析してみた。するとポジショニングの問題なのだとわかってきた。つまりコツは前述した通り、ボールの落下地点の素早い読みと、その落下場所をいち早く占有することなのだとわかった。
なでしこの選手たちも、この点に気をつけてハイクロス攻撃を防いでみてはどうだろうか。
秘密兵器を使うテは?
またスウェーデンのサイドからのクロスを防ぐ手として、秘密兵器を使う方法もある。
たとえば攻撃はいいが守備がやや軽い左ウイングバックの遠藤純に代え、同じポジションの杉田妃和をスタメンで起用するのだ。これによりサイドの守備力を補強する。
杉田はなでしこジャパンのほかの選手たちと違って、ボディコンタクトをまったく怖がらない。ボールの奪い合いでは、むしろ自分のほうから相手にカラダを強く押っ付けて激しく球際で競る。
こうした彼女の高い守備能力を考えれば、一案だろう。
当の遠藤は攻撃面ではまさに「サイドのレジスタ」と言ってもいい活躍をしており使えないのは痛いが、天王山であるスウェーデン戦をしのぐためには、ひとつ杉田に賭けてみてもいいのではないか?
そんな気がしている。