ホームの豪州もあなどれないが……
オーストラリアとニュージーランドで共催されている女子ワールドカップ2023で、準決勝のカードが決まった。(1)スペイン対スウェーデン[日本時間8/15(火)17:00]、(2)オーストラリア対イングランド[同8/16(水)19:00]だ。(1)と(2)の勝者が決勝[同8/20(日)19:00]で戦う。
おそらく決勝のカードはスペイン対イングランドだろう(個人的願望込み)。ただし(2)の会場はオーストラリアのホーム、「スタジアム・オーストラリア」での開催なので、観衆の大声援を受けオーストラリアが火事場の馬鹿力を発揮するかもしれないが。
実際、フランスとの準々決勝では、オーストラリアを応援する観衆の声援がものすごく、異様な雰囲気の中で試合が行われた。内容的にはフランスが一枚上だったが、応援団がプッシュして延長・PK戦にまでもつれ込んだ。
サッカーは何があるかわからないものだ。
最終ラインからていねいにビルドアップする
そう考えると(1)のカードも、スペインのティキタカに対し4-2-3-1のスウェーデンが前から激しいハイプレスをかける、あるいは徹底したカウンター戦術に徹したりすれば、勝負はひっくりかえるかもしれない。
と、考えていたらキリがないので、仮想・決勝「スペイン対イングランド」と仮定し、イングランドについてはすでにレビューを書いたのでここではスペインについて触れておこう。
スペインは本大会でいちばん美しいサッカーをするチームだ。フォーメーションは4-1-2-3で、ハイライン・ハイプレスのスタイルである。日本と同じく、最終ラインからグラウンダーのパスをていねいに繋いでビルドアップする。
敵陣に押し込むと両サイドバックを上げ、2バックで攻める。グラウンダーのショートパスを何本も繋ぎ、フィニッシュはサイドからのクロス(アーリーまたはマイナス)や中央からの攻めもある。前線の選手の決定力と個の力は抜群だ。
激しいカウンタープレスが身上だ
特に敵GKと最終ラインの間を狙った低いクロスは秀逸だ。美しいサイドチェンジや機敏なワンタッチプレー、ワンツーには見惚れてしまう。
また彼女たちは前線でボールを失ってもリトリートせず、その場で強くプレッシングして即時奪回を狙うカウンタープレスを得意としている。逆に撤退する場合はディフェンディングサードまでリトリートし、4-4-2のブロック守備に移行する。
特筆ものなのはプレスの厳しさだ。準々決勝の強豪オランダ戦では、後ろを向いた敵ボールホルダーの背後にぴったり付いて前を向かせなかった。そのためオランダは中盤でボールを奪っても、前を向けずバックパスするしかなかった。
男子のスペイン代表がやってるティキタカは、ボールを繋ぐこと自体が自己目的化した意味のないポゼッションスタイルだ。だが女子はそうじゃない。きっちりゴールまでの絵が描かれている。
おそらく彼女たちのサッカーは、日本人がいちばん好きなタイプのスタイルじゃないだろうか。興味がある人はサイトFIFA+で試合を生中継しているので観てみたらどうだろうか(過去の試合も観られます)。
このチームが苦手とするのは、自分たちの精緻なパスワークを破壊してくる強固なスタイルのサッカーだ。おそらく決勝で当たるだろう「剛」のイングランドとは、いい勝負になるだろう。
オーストラリアとニュージーランドで共催されている女子ワールドカップ2023で、準決勝のカードが決まった。(1)スペイン対スウェーデン[日本時間8/15(火)17:00]、(2)オーストラリア対イングランド[同8/16(水)19:00]だ。(1)と(2)の勝者が決勝[同8/20(日)19:00]で戦う。
おそらく決勝のカードはスペイン対イングランドだろう(個人的願望込み)。ただし(2)の会場はオーストラリアのホーム、「スタジアム・オーストラリア」での開催なので、観衆の大声援を受けオーストラリアが火事場の馬鹿力を発揮するかもしれないが。
実際、フランスとの準々決勝では、オーストラリアを応援する観衆の声援がものすごく、異様な雰囲気の中で試合が行われた。内容的にはフランスが一枚上だったが、応援団がプッシュして延長・PK戦にまでもつれ込んだ。
サッカーは何があるかわからないものだ。
最終ラインからていねいにビルドアップする
そう考えると(1)のカードも、スペインのティキタカに対し4-2-3-1のスウェーデンが前から激しいハイプレスをかける、あるいは徹底したカウンター戦術に徹したりすれば、勝負はひっくりかえるかもしれない。
と、考えていたらキリがないので、仮想・決勝「スペイン対イングランド」と仮定し、イングランドについてはすでにレビューを書いたのでここではスペインについて触れておこう。
スペインは本大会でいちばん美しいサッカーをするチームだ。フォーメーションは4-1-2-3で、ハイライン・ハイプレスのスタイルである。日本と同じく、最終ラインからグラウンダーのパスをていねいに繋いでビルドアップする。
敵陣に押し込むと両サイドバックを上げ、2バックで攻める。グラウンダーのショートパスを何本も繋ぎ、フィニッシュはサイドからのクロス(アーリーまたはマイナス)や中央からの攻めもある。前線の選手の決定力と個の力は抜群だ。
激しいカウンタープレスが身上だ
特に敵GKと最終ラインの間を狙った低いクロスは秀逸だ。美しいサイドチェンジや機敏なワンタッチプレー、ワンツーには見惚れてしまう。
また彼女たちは前線でボールを失ってもリトリートせず、その場で強くプレッシングして即時奪回を狙うカウンタープレスを得意としている。逆に撤退する場合はディフェンディングサードまでリトリートし、4-4-2のブロック守備に移行する。
特筆ものなのはプレスの厳しさだ。準々決勝の強豪オランダ戦では、後ろを向いた敵ボールホルダーの背後にぴったり付いて前を向かせなかった。そのためオランダは中盤でボールを奪っても、前を向けずバックパスするしかなかった。
男子のスペイン代表がやってるティキタカは、ボールを繋ぐこと自体が自己目的化した意味のないポゼッションスタイルだ。だが女子はそうじゃない。きっちりゴールまでの絵が描かれている。
おそらく彼女たちのサッカーは、日本人がいちばん好きなタイプのスタイルじゃないだろうか。興味がある人はサイトFIFA+で試合を生中継しているので観てみたらどうだろうか(過去の試合も観られます)。
このチームが苦手とするのは、自分たちの精緻なパスワークを破壊してくる強固なスタイルのサッカーだ。おそらく決勝で当たるだろう「剛」のイングランドとは、いい勝負になるだろう。