彼らはニュースソースと「ナアナア」だ
私は記事『【U-17アジアカップ決勝】評価が難しい雨中の「凡戦」だった 〜U-17日本 3-0 U-17韓国』の中で、
「この優勝で日本の御用メディアはハデに日本賛美を報じるだろう。そして私がこの記事に書いたような日本の深刻な問題点は覆い隠され、戦勝ムードのなか消えて行くのだ」
と書いた。
そしたら案の定、笑ってしまうくらいその通りになっている。
提灯記事連発のスポーツ紙
7月3日にはアジアカップで優勝したU-17日本代表が凱旋帰国し、スポーツ紙がまるで芸能人を持て囃すかのような提灯記事を連発している。
■アジア杯で大会史上初連覇達成のU―17日本代表が帰国 MVP&得点王の名和田「得点王は狙っていた」(スポニチアネックス)
■アジア杯史上初の連覇達成、、U―17日本代表が帰国 森山監督「一番いい状態で決勝に挑むことができた」(スポーツ報知)
■U―17アジア杯Vの森山監督 チームを評価「決定力がある」「韓国にデュエル勝率60%」(東スポWEB)
■アジア得点王&MVPのU―17日本代表FW名和田我空「得点王争いも楽しめた」…帰国しW杯へ意気込み(スポーツ報知)
まあスポーツ紙は一般向けだから、こうなるのもわかる。彼らも商売だ。だが問題はサッカー専門誌である。
サッカー専門誌は業界とナアナアだ
U-17日本代表は優勝したアジアカップで、インドに4点も取られたり、かと思えば準決勝のイラン戦では「まるで人が変わった」かのように完璧な試合をした。
デキ不出来が非常に激しいのだ。
そして決勝になった韓国戦の前半では、U-17日本代表は冒頭に挙げた私の記事のなかでしつこいくらい指摘した、多くの問題点を露呈した。
だが驚いたことにサッカー専門誌は、こうしたネガティヴな要素をまったく報じない。例えば以下のような感じだ。
【サッカーマガジンWeb】【U17アジア杯リポート】日本優勝の要因になった意識改革。世界で勝つために共有した「待つのではなくアタックする守備」(文・川端暁彦氏)
【FOOTBALL ZONE】U-17日本代表、アジア杯で「株を上げた10人」 攻守で多士済々“06ジャパン”の有望株(文・河治良幸氏)
どの記事もU-17日本代表の「いいところ」「特徴」ばかりを列挙している。肝心の「問題点」に触れる記事などまったく見当たらない。
だが問題点はどこにあり、それを修正するにはどうすればいいのか? を分析してこそ、サッカーの強化につながると私などは考えるのだが、どうだろうか?
いまや「報道機関」はジャーナリズムを知らない
まあサッカー専門誌といえど商売だし、専門誌だけに「サッカー業界」とは癒着の構造にある。
だからふだんコメントを聞いている選手や「サッカー業界」にマイナスになるようなことは書きにくい、自分の物書き仕事(商売)にも差し支えるし、という人間的な心情もわかる。
そもそもサッカーメディアは「ほめる記事」でサッカー人気を煽り、媒体が売れたりアクセスアップすれば商売繁盛で言うことなし、てなスタンスだ。
しかしジャーナリズムはそれではまったくダメなのだ。
昔はサッカー界にも、毎日新聞記者(当時)の荒井義行氏のような気骨のあるジャーナリストがおられたが、いまは昔だ。
現在のサッカージャーナリズムの取材姿勢は、いまやすっかり堕落した政治メディアの世界とそっくり同じだ。岸田官邸にベッタリおべっかを使い、「よいしょ記事」しか書かない大マスコミを想起させる。
そう、いまや日本には政治であろうがサッカーであろうが、上から下まで「正しいジャーナリズムのあり方」なんぞを知っている人間自体が少ない。そもそも先輩から取材や原稿書きのセオリー、あり方を継承してない。
あるいはたとえ正しいあり方を知ってはいても、「ウチの社は商売優先で差しさわりのないやり方をしたいので」というところが多い。つまり、すべての機関がニュースソースと「ナアナア」の構造で癒着しているのだ。
だから既存メディアは「本当のこと」を報じない。
ゆえに日本という国はもう終わりかけているのだ。
韓国戦での日本のデュエル勝率が「60%」だって?
ああ話が逸れた。
で、いちばん問題だと思うのは、韓国戦における日本のデュエル勝率が「60%だった」などという「風聞」が定着しつつある点だ。
そもそも韓国は前半で退場者を出しているのに、その韓国と11人の日本との一試合を通じたデュエル勝率なんぞを鬼の首を取ったように掲げるのがおかしい。条件が同じじゃないんだから。
韓国は後半は1人少ない10人で戦っているのだから、「一試合を通した」デュエル勝率が低く出るのは当然だろう。統計のマジックだ。
それと同じ意味だが10人対11人で戦い、圧勝した後半の日本をいくらほめても意味がない。条件が同じじゃないんだから、2点取った後半は「参考外」だ。評価の対象にならない。
むしろ11対11だった「前半」の日本は韓国の激しいデュエルに気圧され、ビビって球際で競らなかった。これこそを問題にすべきだろう。
と、まあ、力みかえってみても……しょせん世の中に存在するメディアなんて、それぞれどこかしらの業界やら人脈、つまりニュースソースと「ナアナアの関係」なのだから暖簾に腕押しだろうが。
やれやれ。
私は記事『【U-17アジアカップ決勝】評価が難しい雨中の「凡戦」だった 〜U-17日本 3-0 U-17韓国』の中で、
「この優勝で日本の御用メディアはハデに日本賛美を報じるだろう。そして私がこの記事に書いたような日本の深刻な問題点は覆い隠され、戦勝ムードのなか消えて行くのだ」
と書いた。
そしたら案の定、笑ってしまうくらいその通りになっている。
提灯記事連発のスポーツ紙
7月3日にはアジアカップで優勝したU-17日本代表が凱旋帰国し、スポーツ紙がまるで芸能人を持て囃すかのような提灯記事を連発している。
■アジア杯で大会史上初連覇達成のU―17日本代表が帰国 MVP&得点王の名和田「得点王は狙っていた」(スポニチアネックス)
■アジア杯史上初の連覇達成、、U―17日本代表が帰国 森山監督「一番いい状態で決勝に挑むことができた」(スポーツ報知)
■U―17アジア杯Vの森山監督 チームを評価「決定力がある」「韓国にデュエル勝率60%」(東スポWEB)
■アジア得点王&MVPのU―17日本代表FW名和田我空「得点王争いも楽しめた」…帰国しW杯へ意気込み(スポーツ報知)
まあスポーツ紙は一般向けだから、こうなるのもわかる。彼らも商売だ。だが問題はサッカー専門誌である。
サッカー専門誌は業界とナアナアだ
U-17日本代表は優勝したアジアカップで、インドに4点も取られたり、かと思えば準決勝のイラン戦では「まるで人が変わった」かのように完璧な試合をした。
デキ不出来が非常に激しいのだ。
そして決勝になった韓国戦の前半では、U-17日本代表は冒頭に挙げた私の記事のなかでしつこいくらい指摘した、多くの問題点を露呈した。
だが驚いたことにサッカー専門誌は、こうしたネガティヴな要素をまったく報じない。例えば以下のような感じだ。
【サッカーマガジンWeb】【U17アジア杯リポート】日本優勝の要因になった意識改革。世界で勝つために共有した「待つのではなくアタックする守備」(文・川端暁彦氏)
【FOOTBALL ZONE】U-17日本代表、アジア杯で「株を上げた10人」 攻守で多士済々“06ジャパン”の有望株(文・河治良幸氏)
どの記事もU-17日本代表の「いいところ」「特徴」ばかりを列挙している。肝心の「問題点」に触れる記事などまったく見当たらない。
だが問題点はどこにあり、それを修正するにはどうすればいいのか? を分析してこそ、サッカーの強化につながると私などは考えるのだが、どうだろうか?
いまや「報道機関」はジャーナリズムを知らない
まあサッカー専門誌といえど商売だし、専門誌だけに「サッカー業界」とは癒着の構造にある。
だからふだんコメントを聞いている選手や「サッカー業界」にマイナスになるようなことは書きにくい、自分の物書き仕事(商売)にも差し支えるし、という人間的な心情もわかる。
そもそもサッカーメディアは「ほめる記事」でサッカー人気を煽り、媒体が売れたりアクセスアップすれば商売繁盛で言うことなし、てなスタンスだ。
しかしジャーナリズムはそれではまったくダメなのだ。
昔はサッカー界にも、毎日新聞記者(当時)の荒井義行氏のような気骨のあるジャーナリストがおられたが、いまは昔だ。
現在のサッカージャーナリズムの取材姿勢は、いまやすっかり堕落した政治メディアの世界とそっくり同じだ。岸田官邸にベッタリおべっかを使い、「よいしょ記事」しか書かない大マスコミを想起させる。
そう、いまや日本には政治であろうがサッカーであろうが、上から下まで「正しいジャーナリズムのあり方」なんぞを知っている人間自体が少ない。そもそも先輩から取材や原稿書きのセオリー、あり方を継承してない。
あるいはたとえ正しいあり方を知ってはいても、「ウチの社は商売優先で差しさわりのないやり方をしたいので」というところが多い。つまり、すべての機関がニュースソースと「ナアナア」の構造で癒着しているのだ。
だから既存メディアは「本当のこと」を報じない。
ゆえに日本という国はもう終わりかけているのだ。
韓国戦での日本のデュエル勝率が「60%」だって?
ああ話が逸れた。
で、いちばん問題だと思うのは、韓国戦における日本のデュエル勝率が「60%だった」などという「風聞」が定着しつつある点だ。
そもそも韓国は前半で退場者を出しているのに、その韓国と11人の日本との一試合を通じたデュエル勝率なんぞを鬼の首を取ったように掲げるのがおかしい。条件が同じじゃないんだから。
韓国は後半は1人少ない10人で戦っているのだから、「一試合を通した」デュエル勝率が低く出るのは当然だろう。統計のマジックだ。
それと同じ意味だが10人対11人で戦い、圧勝した後半の日本をいくらほめても意味がない。条件が同じじゃないんだから、2点取った後半は「参考外」だ。評価の対象にならない。
むしろ11対11だった「前半」の日本は韓国の激しいデュエルに気圧され、ビビって球際で競らなかった。これこそを問題にすべきだろう。
と、まあ、力みかえってみても……しょせん世の中に存在するメディアなんて、それぞれどこかしらの業界やら人脈、つまりニュースソースと「ナアナアの関係」なのだから暖簾に腕押しだろうが。
やれやれ。