すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【セリエA 23/24 分析】鎌田とゲンドゥージは共存できる

2023-09-07 05:00:41 | その他の欧州サッカー
両者はまったく特徴が違う

 ラツィオにあのMFマテオ・ゲンドゥージがレンタル移籍すると知ったとき、「来たー」と胸が高鳴った。ゲンドゥージといえば彼を認めて引き立てたウナイ・エメリ監督のアーセナル時代、彼が大活躍するのを食い入るように観ていたからだ。あれは2019年。ゲンドゥージはまだ20歳だった。

 その後、彼は後任のミケル・アルテタ監督とモメて構想から外れ、所属クラブが二転三転してオリンピック・マルセイユ経由でラツィオに来た。フランス代表だ。なんでもウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラからも、彼は具体的なオファーを提示されていたという。

 ゲンドゥージはセントラルMFとして、攻守両面で精度の高い仕事ができるプレーヤーだ。ボックス・トゥ・ボックスの選手で前へも飛び出せる。

 彼の右足から放たれる強くて速いロングパスは非常に正確だ。アタッカーの足元にすっぽり点で収まる。受け手がどちらの足でトラップするのが有利かまで計算して出せる。

 これを警戒して相手の最終ラインがもし下がれば、今度は敵MFとのライン間にできたスペースにグラウンダーのパスも打てる。穴のないマルチなプレイヤーだ。

鎌田は攻撃的、ゲンドゥージは組み立て役だ

 巷間、「鎌田大地とゲンドゥージは併存できない」などと言われているが、まったくそんなことはない。両者はまるで特徴がちがうからだ。

 鎌田は中盤・前寄りの攻撃的な選手であり、ゲンドゥージは中盤のより低いゾーンで生きる組み立て役の選手である。

 なのに「両者は併存できない」説がなぜ流れるのか? それは4-3-3のフォーメーションを取るマウリツィオ・サッリ政権下では、アンカーのダニーロ・カタルディと左インサイドハーフのルイス・アルベルトの2人は鉄板だと考えられているからだ(少なくともサッリの脳内では)。

 ゆえにMFの鎌田とゲンドゥージは必然的に、残る右インサイドハーフのポジションを奪い合うことになる。で、「同時起用できない」説が乱れ飛ぶのだ。

 だがもしサッリがその認識を改めたとしたら、鎌田は右IH、ゲンドゥージはアンカーでことは丸く収まる。機能的にはまったく何の問題もない。

右IHで時間差起用もアリ

 ゲンドゥージの得意な仕事は最終ラインに落ちてビルドアップを助けるプレイや、全体のバランスを取る動き、ゾーンのギャップを突くポジショニングからの縦横へのドリブルやパス出しなどだ。

 そんなゲンドゥージが中盤の底からのプッシュアップ役なら、鎌田は中盤から前へ飛び出しゴールを取る騎馬武者タイプ。これだけキャラがちがえば同時起用できる。

 ただしサッリが「アンカーのカタルディは絶対に動かさない」とがんばるなら、今季第3節のナポリ戦みたいに鎌田とゲンドゥージを右IHで時間差起用すればいい。

 先発は鎌田だ。彼が点を取り、リードして逃げ切りたい場面になればゲンドゥージと「ご苦労さん交代」する。で、手堅く試合を終わらせる。

 これなら2人ともフル出場せずに済み、インテンシティが落ちることはない。長いシーズンにも耐えられる。あとは2人いっしょに「小さな盾」(スクデット)を高く掲げるだけである。

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