①『ぶどう畑のアオさん』 馬場のぼる こぐま社 2001
黄緑の表紙が目をひきます。山吹色で縁取られた中央の枠の中に、前面にゆったり歩く青い馬と、後方にその馬を見ている猫が描かれ、配色も構図も興味深く、印象に残る表紙です。森の中で暮らす青い馬のアオさんの物語。
アオさんが夢の中で見たぶどう畑は本当に実在し、一緒に行った猫も大満足です。次の日、森の動物たちも一緒に行くのですが、乱暴なオオカミがぶどう畑を独り占めにし、オオカミを恐れた動物たちは逃げ出してしまいます。アオさんはひとりオオカミに立ち向かいます。
1980年に婦人之友社から出版された絵本ですが、絵をすべて描き直し、版型も大きくして、こぐま社から2001年に出版になりました。色校正が出た翌日、馬場さんはお亡くなりになったそうです。馬場さんの最後の絵本です。
②『巨人の花よめ スウェーデン・サーメのむかしばなし』 菱木晃子/平澤朋子 BL出版 2018
スウェーデンのラップランドを舞台にした昔話です。厳しい自然の中で、トナカイと共に生きるサーメ人の父と娘の物語。
美しく賢い娘のチャルミをお嫁にほしいという人はたくさんいましたが、チャルミはいつも断っていました。ところが高い山に住む恐ろしい巨人がチャルミを嫁にほしいと父親に迫ります。チャルミと巨人の緊張の駆け引きが始まるのですが、チャルミはだんだん追いつめられ、とうとう結婚式の日を迎えてしまいます。最後まであきらめずに、巨人に立ち向かうチャルミの勇気と知恵の物語です。
ラップランドの自然とそこに暮らす人々を描いた平澤さんの絵は美しく、心に残ります。チャルミたちの着ている民族衣装も色鮮やかで美しいです。一方、巨人は画面からはみ出すように、大きく恐ろしく描かれ、迫力があります。
③『おうさまのくつ』 ヘレン・ビル/ルイス・スロボドキン こみやゆう訳 瑞雲舎 2015
「まるで王さまが履くようなすばらしい靴」と人々にほめたたえられ、ちょっとうぬぼれてしまった靴の物語です。
靴屋さんが出かけたすきに、お城で暮そうと脱出を企てます。左足の靴が主導権を握り、右足の靴は遅れないようについていくのですが、靴の動きがコミカルで楽しいです。雨に降られてどろだらけになったり、やっとたどり着いたお城ではコックさんたちに追いかけられたり、さんざんな目にあって、靴屋に戻ってきたときには、ただの古びた靴になっていました。ところが靴屋さんのいきな計らいで、予想もしない奇跡が起き、物語は一気にハッピーエンドを迎えます。
表情豊かな動きのある線とやさしい色づかいのスロボドキンの絵が物語をより楽しいものにしてくれます。
④『大人になるっておもしろい?』 清水真砂子 岩波ジュニア新書 2015
『ゲド戦記』などたくさんの子どもの本の翻訳で知られる清水真砂子さんの、10代の若い人たちに向けた、人生についてに感動のエッセイです。
若いKさんへの手紙という形で、語られます。教師として高校生や短大生と一緒に考えたこと、家族や夫婦のこと、子ども時代のこと、たくさんの映画や本・絵本・児童書のこと、友人のことなど、幅広い観点から、人と人のかかわりを模索し、生きるということは素晴らしく、やってみる価値のあることだと繰り返し語りかけます。
清水さんの言葉は時に挑戦的で、刺激的でもあるのですが、深く心に響き、大きな感動と元気をもらえます。手紙は13通。特に11通目に感動できます。。中高生はもちろん、大人の方にもお薦めの本です。
黄緑の表紙が目をひきます。山吹色で縁取られた中央の枠の中に、前面にゆったり歩く青い馬と、後方にその馬を見ている猫が描かれ、配色も構図も興味深く、印象に残る表紙です。森の中で暮らす青い馬のアオさんの物語。
アオさんが夢の中で見たぶどう畑は本当に実在し、一緒に行った猫も大満足です。次の日、森の動物たちも一緒に行くのですが、乱暴なオオカミがぶどう畑を独り占めにし、オオカミを恐れた動物たちは逃げ出してしまいます。アオさんはひとりオオカミに立ち向かいます。
1980年に婦人之友社から出版された絵本ですが、絵をすべて描き直し、版型も大きくして、こぐま社から2001年に出版になりました。色校正が出た翌日、馬場さんはお亡くなりになったそうです。馬場さんの最後の絵本です。
②『巨人の花よめ スウェーデン・サーメのむかしばなし』 菱木晃子/平澤朋子 BL出版 2018
スウェーデンのラップランドを舞台にした昔話です。厳しい自然の中で、トナカイと共に生きるサーメ人の父と娘の物語。
美しく賢い娘のチャルミをお嫁にほしいという人はたくさんいましたが、チャルミはいつも断っていました。ところが高い山に住む恐ろしい巨人がチャルミを嫁にほしいと父親に迫ります。チャルミと巨人の緊張の駆け引きが始まるのですが、チャルミはだんだん追いつめられ、とうとう結婚式の日を迎えてしまいます。最後まであきらめずに、巨人に立ち向かうチャルミの勇気と知恵の物語です。
ラップランドの自然とそこに暮らす人々を描いた平澤さんの絵は美しく、心に残ります。チャルミたちの着ている民族衣装も色鮮やかで美しいです。一方、巨人は画面からはみ出すように、大きく恐ろしく描かれ、迫力があります。
③『おうさまのくつ』 ヘレン・ビル/ルイス・スロボドキン こみやゆう訳 瑞雲舎 2015
「まるで王さまが履くようなすばらしい靴」と人々にほめたたえられ、ちょっとうぬぼれてしまった靴の物語です。
靴屋さんが出かけたすきに、お城で暮そうと脱出を企てます。左足の靴が主導権を握り、右足の靴は遅れないようについていくのですが、靴の動きがコミカルで楽しいです。雨に降られてどろだらけになったり、やっとたどり着いたお城ではコックさんたちに追いかけられたり、さんざんな目にあって、靴屋に戻ってきたときには、ただの古びた靴になっていました。ところが靴屋さんのいきな計らいで、予想もしない奇跡が起き、物語は一気にハッピーエンドを迎えます。
表情豊かな動きのある線とやさしい色づかいのスロボドキンの絵が物語をより楽しいものにしてくれます。
④『大人になるっておもしろい?』 清水真砂子 岩波ジュニア新書 2015
『ゲド戦記』などたくさんの子どもの本の翻訳で知られる清水真砂子さんの、10代の若い人たちに向けた、人生についてに感動のエッセイです。
若いKさんへの手紙という形で、語られます。教師として高校生や短大生と一緒に考えたこと、家族や夫婦のこと、子ども時代のこと、たくさんの映画や本・絵本・児童書のこと、友人のことなど、幅広い観点から、人と人のかかわりを模索し、生きるということは素晴らしく、やってみる価値のあることだと繰り返し語りかけます。
清水さんの言葉は時に挑戦的で、刺激的でもあるのですが、深く心に響き、大きな感動と元気をもらえます。手紙は13通。特に11通目に感動できます。。中高生はもちろん、大人の方にもお薦めの本です。