①『ブラックホールってなんだろう?』 嶺重 慎/倉部今日子 たくさんのふしぎ7月号 福音館書店 2019
宇宙にある、謎に包まれた天体、ブラックホール。その正体やそれができるメカニズムについて、詳しく知ることのできる興味深い本です。
宇宙にはブラックホールがたくさんあり、天の川銀河だけでも100万個以上もあるそうです。地球よりも小さいのに重い天体で、まわりにあるあらゆるものを吸い込みます。かつては「こわいもの」と思われていましたが、今では少しずつ見方が変わり、宇宙にとって大事な存在かもしれないと言われています。今年4月に、初めてブラックホールの撮影も成功しました。
②『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』 木原育子/沢野ひとし たくさんのふしぎ9月号 福音館書店 2019
アメリカで見つかった「一郎君へ」と書かれた日章旗。日章旗とは、戦地に赴く兵隊さんのお守りのようなもので、たくさんの人の名前が寄せ書きされている日の丸の旗のことです。著者は新聞記者で、アメリカからの依頼を受けて、旗の持ち主である「一郎くん」をさがします。あきらめずに取材を続ける木原さんの新聞記者としての熱意が伝わります。高齢で亡くなっている人も多い中、やっと一郎君を知る人にたどり着きます。一郎君の家族についても知ることができ、一郎君の写真も入手します。1943年8月20日、ソロモン諸島、コロンバンガラ島で、22歳で戦死したことも分かりました。
この本は2014年8月、中日新聞朝刊に連載された「さまよう日章旗」の木原さんの記事がきっかけでできました。
③『バレエシューズ』 ノエル・ストレトフィールド 朽木祥訳 福音館書店 2019.2
舞台は、1930年代のロンドン。クロムウェル通りにある大きな家で、化石収集家のマシューに引き取られた3人の身寄りのない赤ちゃんが、心ある大人たちと共に暮らしながら、心豊かに成長していく物語。
3人は密かに自分たちの名前が歴史の本にのるよう努力するという誓いをたて、児童ダンス演劇アカデミーでバレエと演劇の訓練に励みます。一番小さなポゥジーはバレエの才能を認められ、特別レッスンを受けることになり、一番上のポーリィンは12才で舞台に立ち、演じる喜びを知っていきます。2番目のペトロ―ヴァはバレエよりも車や飛行機に心惹かれている自分に気づきます。
3人がそれぞれに悩みながら自分の進む道を自分の手でつかみ取っていく姿に感動できます。登場する大人たちも魅力的です。3人の幸せを思い、誰もが協力を惜しみません。人間の優しさに満ちた物語と言えます。訳は『光のうつしえ』など原爆をテーマにした作品を書き続けている朽木祥さんです。
(この紹介文は今年5月に依頼原稿で書き、『子どもの本棚』9月号に掲載されました。)
宇宙にある、謎に包まれた天体、ブラックホール。その正体やそれができるメカニズムについて、詳しく知ることのできる興味深い本です。
宇宙にはブラックホールがたくさんあり、天の川銀河だけでも100万個以上もあるそうです。地球よりも小さいのに重い天体で、まわりにあるあらゆるものを吸い込みます。かつては「こわいもの」と思われていましたが、今では少しずつ見方が変わり、宇宙にとって大事な存在かもしれないと言われています。今年4月に、初めてブラックホールの撮影も成功しました。
②『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』 木原育子/沢野ひとし たくさんのふしぎ9月号 福音館書店 2019
アメリカで見つかった「一郎君へ」と書かれた日章旗。日章旗とは、戦地に赴く兵隊さんのお守りのようなもので、たくさんの人の名前が寄せ書きされている日の丸の旗のことです。著者は新聞記者で、アメリカからの依頼を受けて、旗の持ち主である「一郎くん」をさがします。あきらめずに取材を続ける木原さんの新聞記者としての熱意が伝わります。高齢で亡くなっている人も多い中、やっと一郎君を知る人にたどり着きます。一郎君の家族についても知ることができ、一郎君の写真も入手します。1943年8月20日、ソロモン諸島、コロンバンガラ島で、22歳で戦死したことも分かりました。
この本は2014年8月、中日新聞朝刊に連載された「さまよう日章旗」の木原さんの記事がきっかけでできました。
③『バレエシューズ』 ノエル・ストレトフィールド 朽木祥訳 福音館書店 2019.2
舞台は、1930年代のロンドン。クロムウェル通りにある大きな家で、化石収集家のマシューに引き取られた3人の身寄りのない赤ちゃんが、心ある大人たちと共に暮らしながら、心豊かに成長していく物語。
3人は密かに自分たちの名前が歴史の本にのるよう努力するという誓いをたて、児童ダンス演劇アカデミーでバレエと演劇の訓練に励みます。一番小さなポゥジーはバレエの才能を認められ、特別レッスンを受けることになり、一番上のポーリィンは12才で舞台に立ち、演じる喜びを知っていきます。2番目のペトロ―ヴァはバレエよりも車や飛行機に心惹かれている自分に気づきます。
3人がそれぞれに悩みながら自分の進む道を自分の手でつかみ取っていく姿に感動できます。登場する大人たちも魅力的です。3人の幸せを思い、誰もが協力を惜しみません。人間の優しさに満ちた物語と言えます。訳は『光のうつしえ』など原爆をテーマにした作品を書き続けている朽木祥さんです。
(この紹介文は今年5月に依頼原稿で書き、『子どもの本棚』9月号に掲載されました。)