寄贈本 ありがとうございます。
♣秋田の工藤千咲さんからいただきました。
『すねこたんぱこ』 子どもに贈る昔ばなし18 小澤俊夫監修 小澤昔ばなし研究所2022.2
小澤俊夫先生の昔ばなし大学終了後、秋田・茨城・宇都宮・丹後の再話コースで学んだ方々が土地言葉であるいは共通語で再話した昔話集。日本の昔話45話、外国の昔話4話を収めています。語りのテキストとして大いに役に立ちます。
新しく買った本
①『いのちの水』ブルガリアの昔話 八百板洋子再話/ベネリン・バルカノフ絵 福音館書店2022.4
王様の願いをかなえるため、遠い地の果ての日の登る国にある、いのちの水を探しに行く3人の王子たちの不思議に満ちたお話です。
道が3つに分かれているところで、末の王子は兄たちに安全な道を譲り、自分は「生きて戻れない道」を選びます。末の王子はドラゴンや金の鳥を助けながら旅を続け、美しい水の精と出会い、いのちの水を持ち帰ることができます。ところが兄たちの裏切りによって窮地に追い込まれます。最後は真実が明らかになり末の王子が幸せをつかみます。
色づかいの美しいすてきな絵本です。グリムやチェコの昔話にも同じ話があり、大枠(父王の願い、3人の息子、兄たちの裏切り、末の息子の幸福)は同じですが、どうやっていのちの水を探し求めていくか、どうやって真実が明らかになるかがそれぞれ違っていて興味深いです。
八百板さんはソフィア大学に留学していた1970年代にブルガリアの昔話に出会います。この話は実際に語り手から聞いた話をもとにしています。
②『オンボロやしきの人形たち』 フランシス・ホジソン・バーネット 尾﨑愛子訳 平澤朋子絵 徳間書店2021.10
『小公子』『小公女』『秘密の花園』の作者バーネットの作品です。『小公女』が出版された翌年の1906年に出版され、日本では初めての翻訳です。シンシアという女の子の部屋にある古い人形の家に住む6人の人形たちの楽しい物語です。それはシンシアのおばあさんが7歳の誕生日にもらった人形の家で、今は古くなり「オンボロやしき」と呼ばれています。6人の人形たちの明るく笑いに満ちた楽しい生活がとにかく愉快です。
ところがシンシアが8歳の誕生日に新しい人形の家をもらったから大変です。オンボロやしきに危機が訪れます。この物語の語り手である妖精の女王がそのたび、危機を救ってくれます。そして最後はオンボロやしきの人形たちにとって最高の幸せが訪れます。
平澤さんの描く人形たちがとても魅力的です。
③『杉原千畝とコルベ神父 生命をみつめる』 早乙女勝元 新日本出版社2021.5
2021年に出版されたこの本は早乙女さんが20年以上前に出版した『コルベ神父 ~優しさと強さと』(1983/2002復刊)と『生命をみつめる ~杉原領事とレーロチカのパン』(1998)の2冊を収めています。立場は違いますが、お二人とも第二次世界大戦のときに命がけで行動を起こした人です。
当時、リトアニアの領事代理であった杉原千畝(ちうね)さんは、ポーランドから逃れてきたユダヤ人がビザを求めて領事館に押し寄せたとき、外務省の意向に従わず、2000枚のビザを書き続けて、6000人を超えるユダヤ人の命を救います。1997年、83才の杉原夫人をたずねた早乙女さんは半年後にはリトアニアに向かい、杉原さんのゆかりの地を訪ねます。
コルベ神父がアウシュビッツ強制収容所で非業の死を遂げたのは1941年8月14日、47才の時です。コルベ神父と同じブロックにいた一人が逃亡し、その見せしめに10人が選ばれ殺害されることになった時、コルベ神父はそのうちの一人の身代わりになることを申し出て餓死室に送られます。
早乙女さんは1979年初めてアウシュビッツを訪れ、コルベ神父のことを知ります。最も極刑といわれる餓死刑の残虐な実態やアウシュビッツの歴史的な背景、150万人の尊い命が奪われた強制収容所の想像を絶する実態が語られています。日本とのかかわりを持つコルベ神父の生涯についても詳しく知ることができます。
今年5月に90才で亡くなられた早乙女勝元さんは、13才で東京大空襲を体験し、生涯にわたって平和についてたくさんの著書を残しました。文庫にも早乙女さんの本が何冊かあります。合わせて読んでみてください。
♣秋田の工藤千咲さんからいただきました。
『すねこたんぱこ』 子どもに贈る昔ばなし18 小澤俊夫監修 小澤昔ばなし研究所2022.2
小澤俊夫先生の昔ばなし大学終了後、秋田・茨城・宇都宮・丹後の再話コースで学んだ方々が土地言葉であるいは共通語で再話した昔話集。日本の昔話45話、外国の昔話4話を収めています。語りのテキストとして大いに役に立ちます。
新しく買った本
①『いのちの水』ブルガリアの昔話 八百板洋子再話/ベネリン・バルカノフ絵 福音館書店2022.4
王様の願いをかなえるため、遠い地の果ての日の登る国にある、いのちの水を探しに行く3人の王子たちの不思議に満ちたお話です。
道が3つに分かれているところで、末の王子は兄たちに安全な道を譲り、自分は「生きて戻れない道」を選びます。末の王子はドラゴンや金の鳥を助けながら旅を続け、美しい水の精と出会い、いのちの水を持ち帰ることができます。ところが兄たちの裏切りによって窮地に追い込まれます。最後は真実が明らかになり末の王子が幸せをつかみます。
色づかいの美しいすてきな絵本です。グリムやチェコの昔話にも同じ話があり、大枠(父王の願い、3人の息子、兄たちの裏切り、末の息子の幸福)は同じですが、どうやっていのちの水を探し求めていくか、どうやって真実が明らかになるかがそれぞれ違っていて興味深いです。
八百板さんはソフィア大学に留学していた1970年代にブルガリアの昔話に出会います。この話は実際に語り手から聞いた話をもとにしています。
②『オンボロやしきの人形たち』 フランシス・ホジソン・バーネット 尾﨑愛子訳 平澤朋子絵 徳間書店2021.10
『小公子』『小公女』『秘密の花園』の作者バーネットの作品です。『小公女』が出版された翌年の1906年に出版され、日本では初めての翻訳です。シンシアという女の子の部屋にある古い人形の家に住む6人の人形たちの楽しい物語です。それはシンシアのおばあさんが7歳の誕生日にもらった人形の家で、今は古くなり「オンボロやしき」と呼ばれています。6人の人形たちの明るく笑いに満ちた楽しい生活がとにかく愉快です。
ところがシンシアが8歳の誕生日に新しい人形の家をもらったから大変です。オンボロやしきに危機が訪れます。この物語の語り手である妖精の女王がそのたび、危機を救ってくれます。そして最後はオンボロやしきの人形たちにとって最高の幸せが訪れます。
平澤さんの描く人形たちがとても魅力的です。
③『杉原千畝とコルベ神父 生命をみつめる』 早乙女勝元 新日本出版社2021.5
2021年に出版されたこの本は早乙女さんが20年以上前に出版した『コルベ神父 ~優しさと強さと』(1983/2002復刊)と『生命をみつめる ~杉原領事とレーロチカのパン』(1998)の2冊を収めています。立場は違いますが、お二人とも第二次世界大戦のときに命がけで行動を起こした人です。
当時、リトアニアの領事代理であった杉原千畝(ちうね)さんは、ポーランドから逃れてきたユダヤ人がビザを求めて領事館に押し寄せたとき、外務省の意向に従わず、2000枚のビザを書き続けて、6000人を超えるユダヤ人の命を救います。1997年、83才の杉原夫人をたずねた早乙女さんは半年後にはリトアニアに向かい、杉原さんのゆかりの地を訪ねます。
コルベ神父がアウシュビッツ強制収容所で非業の死を遂げたのは1941年8月14日、47才の時です。コルベ神父と同じブロックにいた一人が逃亡し、その見せしめに10人が選ばれ殺害されることになった時、コルベ神父はそのうちの一人の身代わりになることを申し出て餓死室に送られます。
早乙女さんは1979年初めてアウシュビッツを訪れ、コルベ神父のことを知ります。最も極刑といわれる餓死刑の残虐な実態やアウシュビッツの歴史的な背景、150万人の尊い命が奪われた強制収容所の想像を絶する実態が語られています。日本とのかかわりを持つコルベ神父の生涯についても詳しく知ることができます。
今年5月に90才で亡くなられた早乙女勝元さんは、13才で東京大空襲を体験し、生涯にわたって平和についてたくさんの著書を残しました。文庫にも早乙女さんの本が何冊かあります。合わせて読んでみてください。