まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 5月

2023-05-23 21:43:16 | 文庫のページ
新しく買った本 5月
①『アグネスさんとわたし』 ジュリー・フレット 横山和江訳岩波書店 2022.12
 主人公キャセレナはカナダ先住民のひとつ、クリー族の少女です。お母さんとふたり海辺の町から田舎へ引っ越してきす。スノードロップの咲く野原の向こうに住むアグネスさんというおばあさんとの出会いを通して、大好きだった絵をまた描き始めるキャセレナの心の変化を季節の移り変わりとともに描いた静かなたたずまいの絵本。コラージュの絵本です。
 アグネスさんは豊かな自然の中でものを作る人。そんなアグネスさんとの出会いを通して、キャセレナの心にも少しずつ絵を描きたいという思いが戻ってきます。年の差を越えたふたりの友情が心に残ります。クリー族のすてきな言葉にも出会えます。
 10月の満月はクリー族の言葉で「鳥のわたりの月(ピミハウピーシム)」というそうです。
 『わたしたちだけのときは』もジュリー・フレットの絵本です。
②『せんろはつづく にほんいっしゅう』 鈴木まもる 金の星社 2021.9
 日本を12ブロックに分けて、どんな電車がどんなふうに走っているか、絵とおはなしで興味深く紹介した絵本。網の目のようにたくさんの電車が走る東京から出発し、時計回りの逆で日本一周します。日本中、線路が縦横無尽に続いていることに驚きと感動をもらえます。スピードを上げて走る新幹線はもちろん、どの電車もかっこよく、見ているだけで楽しくなります。特に海の底の青函トンネルや関門トンネルを走る新幹線は見開き一杯に描かれ感動的です。電車の型や名前、路線名、駅名、さらに駅弁の情報まで興味深い情報がいっぱいの旅の絵本です。案内役は『せんろはつづく』1作目から登場している6人の子どもたち。楽しそうに動き回る子どもたちと一緒に日本一周の旅を楽しめます。
③『鳥は恐竜だった 鳥の巣から見た進化の物語 鈴木まもる アリス館 2022.7
 ティラノサウルスの大きな顔が描かれる表紙は印象的です。裏表紙にはさまざまな形の鳥の巣が描かれています。鳥の巣研究家として活躍する鈴木まもるさんの興味深い、鳥の巣から見た進化の物語です。
 東南アジアに住むキムネコウヨウジャクの鳥の巣は人間のお母さんのおなかの中で赤ちゃんが育っていく形と似ています。キムネコウヨウジャクはどうしてこんな形の巣をつくったのか、それが恐竜から鳥への進化を考えるきっかけになったと鈴木さんは言います。鳥がどうして空を飛ぶようになったのか、なぜ恐竜は絶滅し、鳥たちは生き残ったのか、どうして恐竜から鳥へと進化したのか、今ある多様な形の鳥の巣を通して考えていきます。
 絵も文章も素晴らしく、たくさんの感動をもらえます。世界中には9000種以上の鳥がいるそうですが、この絵本で描かれた鳥はいったいどのくらいの数になるのか気になるくらい、たくさんの色さまざまな鳥たちに出会えます。
 鳥の巣の絵本を描き続けてきた鈴木まもるさんの集大成と言える本です。
④『ヒナゲシの野原で 戦火をくぐりぬけたある家族の物語 マイケル・モーパーゴ/マイケル・フォアマン 佐藤見果夢訳 評論社 2021.8
 100年前の第一次世界大戦の激戦地だったフランダース(ベルギーの北西部)は1914年
12月、イギリス兵とドイツ兵が奇跡のようなクリスマス休戦を実現した場所の一つでもあるのですが、今も赤いヒナゲシの花が何百万本も咲き誇り、あちこちに墓地や戦没者記念碑があり、不発弾が今なお残るところです。
 主人公のマルテンスはここに祖父と母と3人で暮らす男の子です。マルテンスがまだ赤ちゃんの頃(今から11年前)、マルテンスの父も不発弾の犠牲になります。祖父が孫に語る家族の長い感動の物語です。それは家の玄関に飾ってある額に入った「ヒナゲシの詩」にまつわる物語。第一次世界大戦の時、祖父の母親がまだ8歳だった時、イギリスの野戦病院の軍医だった人が書いた詩の書き損じをもらったことから始まります。その後、その詩が不思議な出会いをもたらし、代々、家族のお守りのように大事にされていく様子が感動的に語られます。
 マルテンスの父親が亡くなる直前(クリスマスの日の朝のこと)、父親はヒナゲシ畑で不思議な光景を目にします。軍服姿のイギリス兵とドイツ兵が歩み寄って握手を交わしている姿です。その後、畑に出かけた父親は不発弾で命を落とします。ヒナゲシの詩と戦争の悲惨さ、そして平和を思う父親の最後の姿をマルテンスにしっかり伝える祖父の姿が心に残ります。
 「あとがき」には、ジョン・マクレーのこの詩が世界中に知られるようになったいきさつや、その後、イギリスでヒナゲシの花が戦没者追悼のシンボルとして広まっていく様子が詳しく語られています。
⑤『ナチュラリスト 生命を愛でる人 福岡伸一 新潮文庫 2021
 少年時代の福岡さんが何に夢中になっていたか、図書館で偶然見つけた『原色図鑑 世界の蝶』との出会いやヒュー・ロフティングの『ドリトル先生航海記』との出会い、それをこよなく愛し、ずっとドリトル先生のようなナチュラリストを目指していく姿が興味深く語られています。ドリトル先生の物語の舞台を探すイギリスへの旅も興味深いです。繰り返し作品を読み返し、深い読みにも驚きます。
 ドリトル先生シリーズ12巻のすぐれた作品論です。また2014年には福岡さん自ら『ドリトル先生航海記』を翻訳(新潮社)していることも知ることができます。同じ時期、「プー」の話の新訳に挑戦していた阿川佐和子さんとの往復書簡も興味深いです。
 福岡さんの『新ドリトル先生物語 ドリトル先生 ガラパゴスを救う』(朝日新聞出版 2022.7)と一緒に楽しみたい本です。
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レンゲの会と大人のコーヒーサロン 5・6月

2023-05-23 21:28:58 | 文庫のページ
月1回、子どもの本についておしゃべりしています。どなたでも参加できます。
  今年度も、会食なしでおこないます。13:00~14:00コーヒータイム
レンゲの会  5月29日(月)10:30~13:00
絵本を持ち寄って紹介し合います。読み聞かせを楽しみましょう。
今年度の計画を立てますので、取りあげたい作家・作品を考えてきてください。
今年度から開始時間を10:30にします。会食はもう少し我慢したいと思います。そのかわり13:00~1時間、コーヒータイムを考えています。お時間のある方はどうぞご参加下さい。
 次回は6月26日(月)10:30です。取り上げる作品は6月の文庫だよりでお知らせします。

《大人のコーヒーサロン》 6月14日(水)1:00~3:00(第2水曜日)
 5月は初めて参加の方もあり、7人でおしゃべりを楽しみました。
 どなたでも参加できます。
 どうぞおしゃべりに来てください。お待ちしています。
 次回は7月12日(水)1:00です。
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いろいろのお知らせ

2023-05-16 18:27:34 | 文庫のページ
 3500回目の文庫の日を祝って   6月21日(水)と24日(土)
 特別おはなし会 4:00  昔の遊び(けん玉・お手玉・あやとり) 4:30

 週2回開いている文庫(2005年から第2土曜日はお休み)が6月21日に3500回目を迎えます。まだコロナの心配もありますので、大きな企画はできませんが、昔の遊びをいろいろ楽しみたいと思います。お友だちを誘って遊びに来てください。
 1000回目の文庫の日 1989年1月21日(土)  1500回目の文庫の日 1995年5月20日(土)
 2000回目の文庫の日 2001年11月28日(水) 2500回目の文庫の日 2008年10月1日(水)
 3000回目の文庫の日 2015年10月21日(水) 3500回目の文庫の日 2023年6月21日(水)

夏の特別おはなし会 7月22日(土)4:00です。
 年3回開いている特別おはなし会です。子どもも大人も初めての方も誰でもお話を覚えて語れる会です。詩やわらべうた、短いお話など、どうぞ覚えて語ってみませんか。子ども達もぜひ挑戦してみてください。   語る方は 7月5日(水)まで お話の題名をお知らせください。

文集「なかま」45号の原稿締め切りは5月末です。
どうぞご協力ください。夏休み明けには発行したいと思っていますので、よろしくお願いします。

ママにうれしい情報誌「ままぱれ」(奇数月発行)で
     5月号から絵本の紹介をさせていただいています。

 文庫で楽しんできたロングセラーの絵本を紹介していきたいと思っています。
今回紹介した絵本は
①『きゅっきゅっきゅっ』(林明子 福音館書店)②『タンタンのハンカチ』(いわむらかずお 偕成社)③『きつねのホイティ』(シビル・ウエッタシンハ 福音館書店)です。
「ままぱれ」は文庫にも置いてありますので、どうぞご覧ください。
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5月・6月の文庫の日

2023-05-16 18:16:33 | 文庫のページ
5月17日(水)
 4:00 おはなし「ちいちゃいちいちゃい」 松尾
 4:30 おりがみ(吹きごま)
5月20日(土)
 4:00 おはなし「おばあさんのひっこし」 武田
 4:30 おりがみ(吹きごま)
5月24日(水)
 4:00 おはなし「だめといわれてひっこむな」 松尾
 4:30 おりがみ(ミニバッグ)
5月27日(土)
 4:00 おはなし「ホットケーキ」 中村
 4:30 おりがみ(ミニバッグ)
5月31日(水)
 4:00 おはなし「鳥になりたかったこぐまの話」 武田
 4:30 牛乳パックの変身箱パズル
6月3日(土)
 4:00 おはなし「ヤギとライオン」 松尾
 4:30 紙テープのしおり
6月7日(水)
 4:00 おはなし「ヤギとライオン」 松尾
 4:30 紙テープのこま
6月10日(土)
     第2土曜日は
        文庫お休みです
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5月におすすめの絵本

2023-05-16 17:42:23 | 文庫のページ
5月におすすめの絵本、いろいろ!
 今月の詩で、小野十三郎さんの詩を選びましたので、印象深い山が登場する絵本を紹介します。
『ゆうちゃんのゆうは?』 神沢利子/田畑精一 童心社
 弟のゆうちゃんの名前が気になるお姉ちゃんの話。「ゆうゆう」の「ゆう」だと話してくれたのはお父さん。「ゆうゆう」とは「雲みたいでもあるし、広い海のようでもあるし、大きな山のようでもある」と。
 この山の絵を描くために田畑さんは浅間や乗鞍や妙高を1年かけて歩いて、どの季節の山が一番「悠々」といえるか考えます。雄大な山の絵に出会えます。
『富士山うたごよみ』 俵 万智 短歌/文 U・G・サトー絵 福音館書店
 短歌と絵で、立春から大寒までの二十四節季を興味深く紹介した本です。二十四節季と俵万智さんの短歌とU・G・サトーさんの遊び心あふれる富士の絵が、見事にコラボした世界に感動できます。「立夏」のところで俵万智さんの選んだ短歌は「自転車のカゴからわんとはみだして なにか嬉しいセロリの葉っぱ」です。U・G・サトーさんの絵からは青と緑と白がまぶしく目に飛び込んできます。真っ青な空の遠くに富士山の姿が小さく、左下にはセロリをカゴにのせて自転車を走らせる半袖姿の少年が見えます。まさに夏の始まりです。
 「母の日」にちなんで2冊紹介します。
『おかあさん』 シャーロット・ゾロトウ/アニタ・ローベル 童話屋
 自分が誕生するまでのお母さんの人生を写真でたどる女の子の幸せそうな姿が感動的です。
『おかあさんがおかあさんになった日』 長野ヒデ子 童心社
 出版されて今年で30年になります。初めての出産に不安を持つお母さんの気持ちに寄り添い、出産の場面も描かれます。子どもはこの場面が好きです。「あなたのうまれた日、おかあさんがおかあさんになった日」という最後の言葉も心に残ります。
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今月の詩 5月

2023-05-16 17:21:39 | 文庫のページ
  山頂から
              小野十三郎
 山にのぼると
 海は天まであがってくる
 なだれおちるような若葉みどりのなか。
 下の方で しずかに
 かっこうがないている。
 風にふかれて高いところにたつと
 だれでもしぜんに世界のひろさをかんがえる。
 ぼくは手を口にあてて
 なにか下の方に向かって叫びたくなる。
 五月の山は
 ぎらぎらと明るくまぶしい。
 きみは山頂よりも上に
 青い大きな弧をえがく
 水平線をみたことがあるか。
           (『詩のランドセル5ねん』らくだ出版)
 高く天を目指して伸びる枝いっぱいに広がるケヤキの若葉の美しいこと、さわやかなこと。卸町のケヤキ並木が今とても美しいですよ。そんなさわやかな5月を感じさせてくれる詩に出会いました。
 小野十三郎さんの「山頂から」という詩です。あふれんばかりの若葉緑、下の方かはかっこうの鳴き声が聞こえ、海の青と空の青が重なり合うような広大な景色。5月の山を登る「ぼく」の感動が五感に沁みるように伝わってきます。山頂よりも上に大きな弧をえがく水平線も感動的です。声に出して読みながら、5月の山の空気を胸いっぱいに味わってください。
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