新しく買った本
①『子どもの本で平和をつくる ―イエラ・レップマンの目ざしたこと―』
キャシー・スティンソン/マリー・ラフランス さくまゆみこ訳 小学館2021.7
1946年、まだ食糧難の続くドイツで開かれた子どもの本の展示会の様子を描いた物語。
父を亡くした姉弟が登場します。ふたりはいつもおなかをすかせていましたが、その展示会でたくさんの子どもの本を目にし、おなかのすいていることも忘れます。展示会で読んでもらった『はなのすきなうし』の絵本や紹介してもらったピッピの本に元気づけられていく姉弟の姿が印象的です。
絵本の中では名前が出ていないのですが、姉弟に本の話をしてくれた女性が戦後間もなく、大変な努力の末、世界中から4,000冊の子どもの本を集め、展示会を実現させたイエラ・レップマンです。最後に詳しい紹介が載っています。1949年、世界各国の子どもの本を集めた世界で初めての国際児童図書館をミュンヘンに創設し、国際児童図書評議会(IBBY)の創設にも大きくかかわった人です。
②『水族館 いきものとひとのいちにち』 ほりかわあさこ 福音館書店2021.7
子どもたちの大好きな水族館の中がどうなっているのか、スタッフの人たちがどんなふうに働いているのか、大型絵本の画面いっぱいの絵で詳しく語ってくれます。細部まで丁寧に描きこまれた絵からは様々なことを読み取ることができて楽しいです。
イワシの大群が音楽に合わせて一斉に泳ぎだす場面は感動的です。どうやって水槽の水をきれいにしているのか、大水槽はどんな仕組みになっているのか、舞台裏も見せてくれます。サンゴは動物か植物か、チンアナゴの面白い習性など新しい発見もありそうです。水族館ではたくさんの人が働いていることに改めて気づかされます。水族館に行きたくなる本です。
③『かくれ家のアンネ・フランク』 ヤニー・ファン・デル・モーレン 西村由美訳 岩波少年文庫2019
オランダの作家によるアンネの伝記物語です。
1929年生まれのアンネはもし生きていたら今年92歳になります。アンネがどんな時代を生き、ユダヤ人であるがゆえに受けた様々な苦難がどんなものであったか、改めて考えさせられます。
好奇心いっぱいのアンネは最後まで希望を失わず作家になる夢を持ち続けて、かくれ家での2年間、日記や童話を書き続けます。15年数ヶ月のアンネの人生をたくさんの資料やアンネたちを知る人への取材を通して、感動的に描いています。
「アンネ・フランクは、決して、過去ではない! のです。」という翻訳をした西村さんの言葉もしっかり受け止めたいと思います。
④『チョウはなぜ飛ぶか』 日高敏隆 岩波少年文庫2020.5
『チョウはなぜ飛ぶか』(1975年出版)とその後のエッセイ2編を収めています。
日高さんは虫取りに夢中だった小学校の高学年の頃、神奈川県より西にしかいないモンキチョウに住んでいた東京渋谷で出会い、チョウはどんな道を飛ぶのかという疑問にぶつかります。戦争で中断しますが、戦後もずっとその疑問を追い続け、40代半ばにこの本を出版します。
チョウによって違うのですが、ついに「チョウ道」があることにたどりつくまでの粘り強い実験、観察のようすを知ることができます。さらにオスはどのようにしてメスを見つけるのか、メスはどうやって産卵する木を見つけるか、次々と出てくる疑問にも取り組んでいきます。
チョウについての興味、関心が大きく膨らむ本です。
⑤『50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット』 くぼしまりお 角川書店2021.8
『魔女の宅急便』の作者である角野栄子さんは現在86歳です。「毎日のお洋服を考えるのが面倒になった」という角野さんの代わりに、洋服のコーディネートを始めて6年になる娘のくぼしまさんの書いた本です。
角野さんのすてきなファッションが写真とイラストで紹介され、見ているだけで楽しくなります。ページを縁取る鮮やかな色使いも模様も美しく、おしゃれでセンスのよさを感じさせるすてきな本です。シニア世代のおしゃれについてたくさんのヒントがもらえます。
くぼしまさんの『ブンダバー』(全10巻)は文庫にもあります。さし絵は佐竹美保さんです。
寄贈本 ありがとうございます。
◆長野ヒデ子さんからいただきました。
『かこさとしの手作り紙芝居と私 原点はセツルメント時代』 長野ヒデ子 石風社2021
2017年3月から10回、紙芝居文化推進協議会発行の通信に「加古里子の手作り紙芝居」と題して連載したものと、「子どもの文化」に掲載されたかこさんの追悼の原稿を一冊にまとめたものです。
1950年、60年代にセツルメント活動の中で生まれたかこさんの手作り紙芝居を取りあげ紹介した興味深い本です。絵本『どろぼうがっこう』や『わっしょいわっしょいぶんぶん』『あかいアリくろいアリ』などは、最初は紙芝居として作られたものだったことを知ることができます。かこさんとの初めての出会いは45年前、長野さんが福岡で文庫をしていた頃のことだったという話も興味深いです。
①『子どもの本で平和をつくる ―イエラ・レップマンの目ざしたこと―』
キャシー・スティンソン/マリー・ラフランス さくまゆみこ訳 小学館2021.7
1946年、まだ食糧難の続くドイツで開かれた子どもの本の展示会の様子を描いた物語。
父を亡くした姉弟が登場します。ふたりはいつもおなかをすかせていましたが、その展示会でたくさんの子どもの本を目にし、おなかのすいていることも忘れます。展示会で読んでもらった『はなのすきなうし』の絵本や紹介してもらったピッピの本に元気づけられていく姉弟の姿が印象的です。
絵本の中では名前が出ていないのですが、姉弟に本の話をしてくれた女性が戦後間もなく、大変な努力の末、世界中から4,000冊の子どもの本を集め、展示会を実現させたイエラ・レップマンです。最後に詳しい紹介が載っています。1949年、世界各国の子どもの本を集めた世界で初めての国際児童図書館をミュンヘンに創設し、国際児童図書評議会(IBBY)の創設にも大きくかかわった人です。
②『水族館 いきものとひとのいちにち』 ほりかわあさこ 福音館書店2021.7
子どもたちの大好きな水族館の中がどうなっているのか、スタッフの人たちがどんなふうに働いているのか、大型絵本の画面いっぱいの絵で詳しく語ってくれます。細部まで丁寧に描きこまれた絵からは様々なことを読み取ることができて楽しいです。
イワシの大群が音楽に合わせて一斉に泳ぎだす場面は感動的です。どうやって水槽の水をきれいにしているのか、大水槽はどんな仕組みになっているのか、舞台裏も見せてくれます。サンゴは動物か植物か、チンアナゴの面白い習性など新しい発見もありそうです。水族館ではたくさんの人が働いていることに改めて気づかされます。水族館に行きたくなる本です。
③『かくれ家のアンネ・フランク』 ヤニー・ファン・デル・モーレン 西村由美訳 岩波少年文庫2019
オランダの作家によるアンネの伝記物語です。
1929年生まれのアンネはもし生きていたら今年92歳になります。アンネがどんな時代を生き、ユダヤ人であるがゆえに受けた様々な苦難がどんなものであったか、改めて考えさせられます。
好奇心いっぱいのアンネは最後まで希望を失わず作家になる夢を持ち続けて、かくれ家での2年間、日記や童話を書き続けます。15年数ヶ月のアンネの人生をたくさんの資料やアンネたちを知る人への取材を通して、感動的に描いています。
「アンネ・フランクは、決して、過去ではない! のです。」という翻訳をした西村さんの言葉もしっかり受け止めたいと思います。
④『チョウはなぜ飛ぶか』 日高敏隆 岩波少年文庫2020.5
『チョウはなぜ飛ぶか』(1975年出版)とその後のエッセイ2編を収めています。
日高さんは虫取りに夢中だった小学校の高学年の頃、神奈川県より西にしかいないモンキチョウに住んでいた東京渋谷で出会い、チョウはどんな道を飛ぶのかという疑問にぶつかります。戦争で中断しますが、戦後もずっとその疑問を追い続け、40代半ばにこの本を出版します。
チョウによって違うのですが、ついに「チョウ道」があることにたどりつくまでの粘り強い実験、観察のようすを知ることができます。さらにオスはどのようにしてメスを見つけるのか、メスはどうやって産卵する木を見つけるか、次々と出てくる疑問にも取り組んでいきます。
チョウについての興味、関心が大きく膨らむ本です。
⑤『50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット』 くぼしまりお 角川書店2021.8
『魔女の宅急便』の作者である角野栄子さんは現在86歳です。「毎日のお洋服を考えるのが面倒になった」という角野さんの代わりに、洋服のコーディネートを始めて6年になる娘のくぼしまさんの書いた本です。
角野さんのすてきなファッションが写真とイラストで紹介され、見ているだけで楽しくなります。ページを縁取る鮮やかな色使いも模様も美しく、おしゃれでセンスのよさを感じさせるすてきな本です。シニア世代のおしゃれについてたくさんのヒントがもらえます。
くぼしまさんの『ブンダバー』(全10巻)は文庫にもあります。さし絵は佐竹美保さんです。
寄贈本 ありがとうございます。
◆長野ヒデ子さんからいただきました。
『かこさとしの手作り紙芝居と私 原点はセツルメント時代』 長野ヒデ子 石風社2021
2017年3月から10回、紙芝居文化推進協議会発行の通信に「加古里子の手作り紙芝居」と題して連載したものと、「子どもの文化」に掲載されたかこさんの追悼の原稿を一冊にまとめたものです。
1950年、60年代にセツルメント活動の中で生まれたかこさんの手作り紙芝居を取りあげ紹介した興味深い本です。絵本『どろぼうがっこう』や『わっしょいわっしょいぶんぶん』『あかいアリくろいアリ』などは、最初は紙芝居として作られたものだったことを知ることができます。かこさんとの初めての出会いは45年前、長野さんが福岡で文庫をしていた頃のことだったという話も興味深いです。