2020年度の文庫が開けない状態が続いています。早く開きたくて、おばさんは気がせいているのですが……。
せめて「新しく買った本」の紹介をすることにしましょう。
新しく買った本
今日は4冊の本の紹介をします。
①『「へてか へねかめ」おふろでね』 宮川ひろ/ましませつこ 童心社 2019.10
祖父とお風呂を楽しむ男の子の物語。
そうたの家では、お風呂からあがる時、「へてか へねかめ」を3回唱えてあがることになっています。これはおじいちゃんのお母さんからずっと続いてきたことでした。
「へてか へねかめ」が何ページにもわたって唱えられる場面の絵は楽しく、思わず口に出してみたくなります。意味は不明ですが、リズムがあって、お風呂で唱えたら最高に盛りあがりそうです。
30年以上前、宮川さんが近所に住んでいた方から教えてもらったお風呂での楽しい唱え言葉です。いつか形にしたいと思い、ましまさんのすてきな絵で絵本になりました。宮川さんの『おとうさんのつうしんぼ』にもこの唱え言葉が出ていたのを思い出します。
②『ずるやすみにかんぱい!』 宮川ひろ/小泉るみ子 童心社 2010
今日は学校に行きたくないと思う、そんな子どもたちへの応援歌のような作品です。
みんなにからかわれ、学校に行きたくない気持ちの雄介にお父さんはずる休みを提案します。楽しいことをいっぱいやって力をもらおうと、お父さんは言います。お父さんの親友の青おじさんのところに出かけ、普段できないことをいっぱい体験し、おしゃべりもいっぱいして、雄介の心はどんどん元気を取り戻していきます。
すてきな大人たちが登場する物語です。
③改版『ちいさいおうち』 バージニア・リー・バートン 岩波書店 2019.11
1909年生まれのバートンは、昨年生誕110年を迎えました。改版された『ちいさいおうち』には息子のアリスがあとがきを寄せています。また表紙に、これまでの日本語版にはなかった『HER-STORY」という文字が入りました。バートンは時の流れを「HIS-STORY」ではなく、「HER-STORY」と表現しています。中表紙の次のページの、ひな菊の花で縁取られた円の中にあった夫への献辞も再現されています。さらに絵の色を細部まで見直し、原画や原書の初版の色あざやかさを再現したといいます。これまでのものと比べるとその違いに気づきます。緑やオレンジ、白や黄色など、どの色もくっきりあざやかに目に飛び込んできます。星のまたたく夜空の明るい群青の色も印象的です。今まで以上に絵に深みと奥行きを感じます。
表紙とカバーの絵が違うことにも、今回初めて気づくことができました。
④『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』 アラン・グラッツ さくまゆみこ訳 福音館書店 2019.11
さまざまな事情で難民として生きなければならなくなった3人の子どもたちの苛酷な運命の物語です。
1939年、ナチスのユダヤ人迫害を逃れるため、家族とセントルイス号でキューバに向かうドイツの13歳の少年ヨーゼフ。
1994年、食糧難の続くキューバからアメリカをめざして家族とボートで脱出する11歳の少女イサベル。
2015年、内戦で住む家を失い、家族とドイツをめざすシリアの12歳の少年マフムード。
3人は、それぞれに容赦なく襲いかかる困難と向き合い、大切な家族の一人との突然の別れに戸惑いながらも、のこされた家族と自分を守るため、どう生きるか模索していく姿が心に残ります。物語が進むにつれ、接点のないはずの3人の物語が時を超えて交差していく展開に、驚きと感動がもらえます。ヨーゼフの物語が、後の時代を生きるイサベルやマフムードの人生にどうかかわっていくのか、とても興味深いです。
知らない地名もたくさん出てきますが、3人のたどった旅の足跡を知ることのできる地図も最後に載っています。作者のあとがきには3人の置かれた国の状況がさらに詳しく語られています。難民の問題は今まさに世界の大きな課題だと気づかされます。
せめて「新しく買った本」の紹介をすることにしましょう。
新しく買った本
今日は4冊の本の紹介をします。
①『「へてか へねかめ」おふろでね』 宮川ひろ/ましませつこ 童心社 2019.10
祖父とお風呂を楽しむ男の子の物語。
そうたの家では、お風呂からあがる時、「へてか へねかめ」を3回唱えてあがることになっています。これはおじいちゃんのお母さんからずっと続いてきたことでした。
「へてか へねかめ」が何ページにもわたって唱えられる場面の絵は楽しく、思わず口に出してみたくなります。意味は不明ですが、リズムがあって、お風呂で唱えたら最高に盛りあがりそうです。
30年以上前、宮川さんが近所に住んでいた方から教えてもらったお風呂での楽しい唱え言葉です。いつか形にしたいと思い、ましまさんのすてきな絵で絵本になりました。宮川さんの『おとうさんのつうしんぼ』にもこの唱え言葉が出ていたのを思い出します。
②『ずるやすみにかんぱい!』 宮川ひろ/小泉るみ子 童心社 2010
今日は学校に行きたくないと思う、そんな子どもたちへの応援歌のような作品です。
みんなにからかわれ、学校に行きたくない気持ちの雄介にお父さんはずる休みを提案します。楽しいことをいっぱいやって力をもらおうと、お父さんは言います。お父さんの親友の青おじさんのところに出かけ、普段できないことをいっぱい体験し、おしゃべりもいっぱいして、雄介の心はどんどん元気を取り戻していきます。
すてきな大人たちが登場する物語です。
③改版『ちいさいおうち』 バージニア・リー・バートン 岩波書店 2019.11
1909年生まれのバートンは、昨年生誕110年を迎えました。改版された『ちいさいおうち』には息子のアリスがあとがきを寄せています。また表紙に、これまでの日本語版にはなかった『HER-STORY」という文字が入りました。バートンは時の流れを「HIS-STORY」ではなく、「HER-STORY」と表現しています。中表紙の次のページの、ひな菊の花で縁取られた円の中にあった夫への献辞も再現されています。さらに絵の色を細部まで見直し、原画や原書の初版の色あざやかさを再現したといいます。これまでのものと比べるとその違いに気づきます。緑やオレンジ、白や黄色など、どの色もくっきりあざやかに目に飛び込んできます。星のまたたく夜空の明るい群青の色も印象的です。今まで以上に絵に深みと奥行きを感じます。
表紙とカバーの絵が違うことにも、今回初めて気づくことができました。
④『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』 アラン・グラッツ さくまゆみこ訳 福音館書店 2019.11
さまざまな事情で難民として生きなければならなくなった3人の子どもたちの苛酷な運命の物語です。
1939年、ナチスのユダヤ人迫害を逃れるため、家族とセントルイス号でキューバに向かうドイツの13歳の少年ヨーゼフ。
1994年、食糧難の続くキューバからアメリカをめざして家族とボートで脱出する11歳の少女イサベル。
2015年、内戦で住む家を失い、家族とドイツをめざすシリアの12歳の少年マフムード。
3人は、それぞれに容赦なく襲いかかる困難と向き合い、大切な家族の一人との突然の別れに戸惑いながらも、のこされた家族と自分を守るため、どう生きるか模索していく姿が心に残ります。物語が進むにつれ、接点のないはずの3人の物語が時を超えて交差していく展開に、驚きと感動がもらえます。ヨーゼフの物語が、後の時代を生きるイサベルやマフムードの人生にどうかかわっていくのか、とても興味深いです。
知らない地名もたくさん出てきますが、3人のたどった旅の足跡を知ることのできる地図も最後に載っています。作者のあとがきには3人の置かれた国の状況がさらに詳しく語られています。難民の問題は今まさに世界の大きな課題だと気づかされます。