新しく買った本
①『おひめさまになったワニ』 ローラ・エイミー・シュリッツ/ブライアン・フロッカ
中野玲奈 訳 福音館書店 2020.2
勉強も縄跳びもお風呂もお休みして、1日だけでいいから、好きなことをしたいと思うコーラひめと、その願いをかなえてくれた愉快なワニの物語です。
頭に茶色のモップを乗せ、ピンクのドレスを着てコーラひめになりきるワニが愉快です。そんなワニに散々な目にあう王さまやお妃やお世話係は気の毒ですが、3人はおかげでコーラひめの気持ちを理解できるようになり、めでたしめでたしです。
一方コーラひめは、お城を抜け出して自然の中で遊び、好きなように時間を過ごすことの喜びをかみしめます。大好きなシュークリームをもらえてワニもご機嫌です。
2014年にコルデコット賞を受賞したブライアンの動きのある絵は楽しく、すてきな絵物語です。低学年の人におすすめです。
②③『はりねずみのルーチカ ―絵本のなかの冒険―』上下 かんのゆうこ/北見葉胡 講談社 2016.5
2013年から始まった『はりねずみのルーチカ』シリーズの5巻目です。今年3月には10巻目(『はりねずみのルーチカ トゥーリのひみつ』)が出版されています。シリーズ本とは知らず、たまたま書店で見つけ、北見葉胡さんの鉛筆で描かれた優しいタッチの絵が素晴らしく、購入しました。
フェリエの国に住むはりねずみのルーチカと仲間たちの冒険の物語です。ルーチカはもちろん、森の妖精の女の子のノッコも、もぐらのソルも、てんとうむしのニコも、少年トゥーリも、白猫と黒猫の双子の姉妹も、みんなとても個性的です。
今回は、朧朧(ろうろう)国のルル姫とパンダのぱん郎が登場します。絵本に入り込んでしまったルル姫をさがすぱん郎と一緒に、ルーチカたちも巨大な怪物たちの住む絵本な中に出かけていきます。3日後にトロルと結婚させられるルル姫を無事助け出すことができるかどうか、小さなルーチカたちが巨大な怪物たちと戦う姿にはらはらさせられます。ルーチカの頭の上のりんごやトゥーリの笛やノッコのジャグリングの赤い玉など、みんなの持ち物がそれぞれに窮地を救います。ぱん朗のポシェットに入っていた桃の木の妖精のちいさな桃胡(ももこ)が素晴らしい力を発揮して、最後は見事にトロルをやっつけます。
まよいの森の地図や桃胡語の50音図、桃胡の歌う「しあわせの花」の楽譜も載っています。物語をより楽しめる工夫がいっぱいです。
④『八月のひかり』 中島信子 汐文社 2019.7
おかあさんと弟の勇希と3人で暮す美貴の夏休みの物語。
足の悪い母がどんなに頑張って働いても生活は貧しく、5年生の美貴の夏休みは食事作りと洗濯、掃除、勇希の世話に追われる毎日です。電気代を節約するためテレビを消し、エアコンも寝る前の1時間だけと決めています。昼食はキャベツと人参だけの焼きそば、ひと玉を弟と二人で分けて食べます。弟はいつもお腹をすかせ、美貴だってお肉の入った焼きそばをお腹いっぱい食べたいと思うのです。体調を崩しても母は病院にも行けません。食費や光熱費を削っても貧しい、母子家庭の実態をリアルに描いていきます。ただそんな生活の中でもへこたれず、日々の小さな幸せを見つけては明るくふるまう美貴の健気さに救われます。
最後のページに記された1行の言葉にはっとさせられます。「現代の日本では、17歳以下の子どもの7人に1人、およそ270万人が貧困状態にあります。」戦争中の食糧難とは違う現代の食糧難の実態を、広島の原爆の日の8月6日から終戦記念日の前日の14日までの8日間の物語として描いたところにも作者の強いメッセージを感じます。20年ぶりに書いた長編の児童文学です。
①『おひめさまになったワニ』 ローラ・エイミー・シュリッツ/ブライアン・フロッカ
中野玲奈 訳 福音館書店 2020.2
勉強も縄跳びもお風呂もお休みして、1日だけでいいから、好きなことをしたいと思うコーラひめと、その願いをかなえてくれた愉快なワニの物語です。
頭に茶色のモップを乗せ、ピンクのドレスを着てコーラひめになりきるワニが愉快です。そんなワニに散々な目にあう王さまやお妃やお世話係は気の毒ですが、3人はおかげでコーラひめの気持ちを理解できるようになり、めでたしめでたしです。
一方コーラひめは、お城を抜け出して自然の中で遊び、好きなように時間を過ごすことの喜びをかみしめます。大好きなシュークリームをもらえてワニもご機嫌です。
2014年にコルデコット賞を受賞したブライアンの動きのある絵は楽しく、すてきな絵物語です。低学年の人におすすめです。
②③『はりねずみのルーチカ ―絵本のなかの冒険―』上下 かんのゆうこ/北見葉胡 講談社 2016.5
2013年から始まった『はりねずみのルーチカ』シリーズの5巻目です。今年3月には10巻目(『はりねずみのルーチカ トゥーリのひみつ』)が出版されています。シリーズ本とは知らず、たまたま書店で見つけ、北見葉胡さんの鉛筆で描かれた優しいタッチの絵が素晴らしく、購入しました。
フェリエの国に住むはりねずみのルーチカと仲間たちの冒険の物語です。ルーチカはもちろん、森の妖精の女の子のノッコも、もぐらのソルも、てんとうむしのニコも、少年トゥーリも、白猫と黒猫の双子の姉妹も、みんなとても個性的です。
今回は、朧朧(ろうろう)国のルル姫とパンダのぱん郎が登場します。絵本に入り込んでしまったルル姫をさがすぱん郎と一緒に、ルーチカたちも巨大な怪物たちの住む絵本な中に出かけていきます。3日後にトロルと結婚させられるルル姫を無事助け出すことができるかどうか、小さなルーチカたちが巨大な怪物たちと戦う姿にはらはらさせられます。ルーチカの頭の上のりんごやトゥーリの笛やノッコのジャグリングの赤い玉など、みんなの持ち物がそれぞれに窮地を救います。ぱん朗のポシェットに入っていた桃の木の妖精のちいさな桃胡(ももこ)が素晴らしい力を発揮して、最後は見事にトロルをやっつけます。
まよいの森の地図や桃胡語の50音図、桃胡の歌う「しあわせの花」の楽譜も載っています。物語をより楽しめる工夫がいっぱいです。
④『八月のひかり』 中島信子 汐文社 2019.7
おかあさんと弟の勇希と3人で暮す美貴の夏休みの物語。
足の悪い母がどんなに頑張って働いても生活は貧しく、5年生の美貴の夏休みは食事作りと洗濯、掃除、勇希の世話に追われる毎日です。電気代を節約するためテレビを消し、エアコンも寝る前の1時間だけと決めています。昼食はキャベツと人参だけの焼きそば、ひと玉を弟と二人で分けて食べます。弟はいつもお腹をすかせ、美貴だってお肉の入った焼きそばをお腹いっぱい食べたいと思うのです。体調を崩しても母は病院にも行けません。食費や光熱費を削っても貧しい、母子家庭の実態をリアルに描いていきます。ただそんな生活の中でもへこたれず、日々の小さな幸せを見つけては明るくふるまう美貴の健気さに救われます。
最後のページに記された1行の言葉にはっとさせられます。「現代の日本では、17歳以下の子どもの7人に1人、およそ270万人が貧困状態にあります。」戦争中の食糧難とは違う現代の食糧難の実態を、広島の原爆の日の8月6日から終戦記念日の前日の14日までの8日間の物語として描いたところにも作者の強いメッセージを感じます。20年ぶりに書いた長編の児童文学です。