新しく買った本の紹介 3月

①『あの路』　山本けんぞう/いせひでこ　平凡社
母を亡くし、おばに引き取られた孤独な少年と誰からも見向きもされない三本足の黒い犬の物語。少年は三本足と友だちになるが、ある雪の日、両足を縛られ、ぐったりしている三本足を見つける。少年の腕の中で息を吹き返す三本足。三本足は元気になっていくが、やがて少年との別れがやってくる。ちょっとせつない物語。ジャーナリストで詩人の山本さんの『きみは金色の雨になる』に出ていたこの物語を読んで、伊勢さんがぜひ絵本にしたいと山本さんに新たに絵本の文章をお願いしてできあがった絵本。キャンバスに水彩で描いた伊勢さんの絵が素晴らしいです。2009年出版。
②『水仙月の四日』　宮沢賢治／伊勢英子　偕成社
　冬の日の吹雪の凄まじさが賢治の幻想的な文章からも伊勢さんの絵からも恐いくらい伝わってくる絵本です。雪婆んご（ゆきばんご）や雪童子、雪狼（ゆきおいの）が走り回って猛吹雪を起こす日が水仙月の四日。その日、山の家に向かって歩いていた男の子を見つけた雪童子はなんとかその子を助けようとします。一面青と白で描かれた世界の中に、男の子の着ていた毛布（ケット）の赤と雪狼の舌の赤がとても印象的です。和紙にアクリルと水彩で描いた伊勢さんの絵をどうぞご覧ください。1995年出版。3月31日まで、今、世田谷文学館で「旅する絵描き　いせひでこ展」が開かれています。3月8日、見てきました。すばらしい原画展でした。2月の文庫だよりで伊勢さんの『にいさん』の絵について「油絵」と書いたのですが、油絵ではなくアクリルだそうです。キャンバスに描いてあって、重厚なタッチでしたので油絵だと思ったのですが違いました。（『はくちょう』の絵も油絵ではなくアクリルです。）

文庫からのお知らせとお願い

文集「なかま」33号に原稿をお寄せください！
　1月の文庫だよりで、原稿の締め切りを3月末とお知らせしましたが、〆切の時期を延期します。
　　子どもは4月13日まで、大人は4月末まで。
　まだ生活が落ち着いていない中でなかなか文章を書く余裕もないかもしれませんが、どうぞご協力よろしくお願いします。ＦＡＸでかまいません。
　＜子どもたちへ＞
　①おもしろかった本を5冊あげてください。
　②作文――文庫のこと、本のこと、あやとりのことなどどんなことでも自由に書いてください。文庫に用紙を置いておきますので、文庫に来たとき書いてください。
　＜大人の方へ＞
　「ひろば　―お母さんたちのページ―　」に原稿をお寄せください。文庫のこと、本のこと、レンゲの会のこと、今回の地震のことなど何でもかまいません。長さは自由です。


2011年度のレンゲの会は5月から、あそびの学校は6月から始めます。
＜レンゲの会＞　　5月30日（月）　3月に予定していたテーマで
　　　　　　　　　――　石井桃子さんの『幻の朱い実』を取りあげて　――
＜あそびの学校＞　6月18日（土）　3月に予定していた「8個組のくるんくるんサイコロ」を完成させます。
　　※　2回目以降の予定については4月の文庫だよりとブログでお知らせします。

今月の詩 3月

　　　は　は　はるだよ　　　　与田凖一

　一の山、
　二の山、
　三の山、

　わらびの　たろうが
　目を　さます、
　わらびの　じろうが
　目を　さます、
　わらびの　さぶろうが
　目を　さます。
　
　あっちで、
　こっちで、
　は　は　はるだよ。
　は　は　はるだよ。

　3月11日、大きな大きな地震がありました。みんな、大丈夫でしたか。お家を失くされた方や家族をうしなった方などたくさんの方々が大きな悲しみの中にいます。せめて暖かい春が一日でも早く来てほしいと思わずにいられません。道端に咲いているおおいぬのふぐりやひめおどりこそうを見て、確実に春は来ていると思うのですが、まだまだ寒いです。春よ来い！早く来い！　そんな願いを込めて、与田凖一さんの詩を選びました。

今日23日、文庫を開きます！

　16日（水）19日（土）は文庫をお休みしましたが、今日23日（水）は今年度最後の文庫の日ですので、開くことにしました。遠方の方は難しいと思いますが、せめて近くの子どもたちに来てもらえたらと思っています。たくさん本を貸し出しますので、どうぞ借りに来てください。4月9日（土）まで文庫の春休みですが、本を借りたい人にはその期間でも水曜日と土曜日は本の貸し出しをしますので、どうぞ声をかけてください。
　4月13日（水）から新年度の文庫を始めます。お友だちを誘って遊びに来てください。
＜文庫の予定＞
3／23（水）　3：30　おはなし「ひなどりとねこ」松尾
　　　　　　　4：00　新聞紙のヨーヨー
3／26（土）～4／9（土）　文庫の春休み
4／13（水）　3：30　おはなし「ちいちゃいちいちゃい」松尾
　　　　　　　4：00　おりぞめ
4／16（土）　3：30　おはなし「三びきのくま」（松尾）
　　　　　　　4：00　紙テープのしおり

まつお文庫へのたくさんのお見舞いありがとうございます。

東日本大震災で亡くなられたたくさんの方々のご冥福をお祈りしますとともに、ご家族を亡くされた皆様へ心からお悔やみを申し上げます。
　まつお文庫に対しましては、いつもご支援してくださっている県内の皆様や他県の（遠くは栃木、愛知、九州の）方々からお見舞いと励ましのお言葉をたくさんいただきました。若林区では多くの方々が甚大な被害に会われたことに加えて、15日（火）まで電話がつながりませんでしたので、ずいぶんご心配をおかけしたようです。お電話口で「無事でよかった！」と喜んでくださる声に、熱いものがこみあげてくることが何度もありました。本当にありがとうございました。本棚から本が落下して散乱し、文庫の部屋も廊下もめちゃくちゃになってしまいましたが、おかげさまで、それ以上の大きな被害はありませんでした。
　本が本棚に戻って、文庫はすっかりもとの元気を取り戻しましたが、震災の被害はまだまだ深刻な状態ですので、文庫は16日（水）と19日（土）はお休みします（ただし、本を借りたい人には貸し出しをします）。今年度最後の文庫の日なので23日（水）はいつもどおり２時から文庫を開きます。また、19日（土）の大人の「あそびの学校」はお休みにします。なお、新年度（11年度）の文庫は4月13日（水）から始めます。