私が尊敬してやまない打楽器奏者のひとり、ペーター・ザドロ先生が、先日お亡くなりになりました。まだ54歳なのに。早すぎます。ショックすぎて、信じられなくて、言葉が出ません。
ザドロ先生は打楽器はもちろん、マリンバの演奏も素晴らしかった。ホント、天才と言っていいほどに。まだまだその素晴らしい音楽を世界で演奏して欲しかったのに。
私が、初めて先生とお話ができたのは、先生が、来日された際の群馬でのリサイタルでした。たまたまラッキーなことに帰りの電車が一緒になったので、そこで「私、先生の大ファンです!レッスンしてください。」とお願いしたら、ふいに缶ビールを渡され、電車の中で乾杯。話が弾んで、本当にレッスンしてもらえることになったのです。
そして、ザルツブルグまで行ったのです。レッスンを受けに。
コンサートで一緒に演奏もさせて頂けて、夢のようでした。
その時にまとめた、「感動をくれる音」というレポートの一部。
忘れないためにここに、記します。
ー感動をくれる音ー (抜粋)
「共演のプレーヤーから舞台で期待以上の音楽表現が返してもらえたりすると、思わず本番であっても顔が緩んでしまう。そこで、もう一人だけ、素晴らしいアーティストを紹介したい。ドイツのペーター・ザドロ氏だ。
皆さんもご存知の通り、彼は若いうちにジュネ-ヴとミュンヘンの国際コンクールをどちらも制覇してしまった天才パーカッショニストと謳われている人だ。とにかく彼は打楽器全般何でもすごい。もちろんマリンバも。テクニックも天性の音楽性も、華もある方だ。そして、純粋に心から音楽を愛している。それだけに音楽作りに対して厳しいが、ちゃめっ気もあって、本番であってもリハーサル中でも、私がいい音楽表現ができたりすると、演奏中にわざわざこちらを見て、にっこり笑ってウインクをしてくれたりする。その後は上機嫌で、
「♪ユー アー マイ サーンシャーイン♪ マイ オンリー サーンシャーイン♪ It's you!」
と歌ってくれたりする、とても面白い人だ。彼のバックで演奏したときは、私の顔は緩みっぱなし、笑いっぱなしだった。本当に楽しかった。」
そして、このブログ内の過去の記事。 ザドロ氏来日
天才と言われた先生の凄さを心に刻んでおこう。
ザドロ先生のご冥福を心よりお祈りいたします。
関澤真由美