メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

Tony Sheldonシドニー凱旋公演『Dirty Rotten Scoundrels』

2013年11月10日 | 国外・舶来エンタメ

スイス旅行記の途中だけど、情報がフレッシュなうちにご報告。
メガヒヨは10月終わりから11月はじめにかけて、オーストラリアのシドニーに行ってきた。
Tony Sheldon先生主演の『Dirty Rotten Scoundrels』を観るためである。

『Priscilla』のバーナデット役を2006年のシドニーオープニングから長いこと演じ続けていらしたTony先生。
2012年のB'wayクローズで役に一区切りをつけ、その後はOff B'wayの二人芝居『Art & Science』や地方劇場の『Camelot』、『Hello! Dolly』などに出演された。
スカート役から男性に戻られて一年以上。そこに満を持しての『DRS』のローレンス役である。

『DRS』は脚本、音楽、構成などとても良くできているミュージカル。
一見50~60年代の作品に見受けられるけれど、初演は意外と最近で2005年。
メガヒヨもJohn Lithgow、Norbert Leo Butz主演のものを観ている。

あらすじ
フランスの高級リゾート地リビエラ。
詐欺師のローレンスは相棒のアンドレと手を組み、ヨーロッパ小国の王子と称して金持ちの婦人たちから金をだまし取る毎日。
あるときにアメリカの詐欺師、通称ジャッカルがこの地に進出してきたという噂を聞く。

同じ頃、ひょんなことで知り合ったアメリカ人寸借サギ師のフレディから弟子入りを志願される。
ジャッカルが彼のことではないかと思ったローレンスは、フレディを受け入れることにした。

しばらくは手を組んでいたけれど、このリビエラに詐欺師は二人もいらないと気が付いた彼らは縄張りをかけて勝負をすることに。
詐欺のターゲットはアメリカからやってきた"ソープクイーン"、清純なクリスティーン。
彼女から先に50,000ドルをだまし取った方が勝者で、敗者はここから立ち去るのみ。
ローレンスとフレディ、リビエラに残るのははたしてどちらか。


Tony Shleldon先生凱旋の場は、シドニーでも屈指の劇場であるシアターロイヤル。
オーストラリアの金融の中心地である、シティにあるよ。


この劇場、なんと一階席は通路がない!!
横にはるばる続く座席の前を、自分の席めがけて行かなくてはならないのだ。
上演中トイレにでも行きたくなってしまったら、大変なことになるね!
メガヒヨは座席を選ぶときにどうしようか悩んだけれど、結局ど真ん中を選んだ。
だってTony先生のご尊顔をいい位置で拝見したいもの。
そうそう、段差はE列からやっと始まるような造り。多少の勾配はあるとは言え、D列以前は見づらいのではないかな?
ちなみにメガヒヨは一回目はE列、二回目はF列を選んだのだけど、F列はE列と段差がついていなくて見づらかった。
前方だと二列ごとに一つの段差だったみたい。後方に行くと列ごとに段差がついていたんだけどね。


(舞台写真はdirtyrottenscoundrels.com.auから拝借)
メガヒヨがTony先生を拝見するのは、Priscillaクロージング以来。
スーツ姿も格好いい!!
もちろん地元が誇るビッグスターということで、登場するやいなや場内大拍手だったよ。


このショーはTony先生の一枚看板で、フレディ役のMatt Hetheringhonさんは助演の立ち位置だったんだけど彼も良かった!
背の高いNorbertといった感じで、歌も上手いし、ループレスのシーンではブっ飛んだ演技で会場を鷲づかみにしていたよ。


こちらもループレスのシーンから。
ジョリーン役のKatrina Retallickさんもすっごく面白かった。オリジナル以上かも。
もちろん我らがTony先生のはじけっぷりも素晴らしかった。
もうお客さんの心をつかむのが上手くって、ひとつひとつの動作ごとにどっかんどっかん受けているの。
今まで彼のことをオーストラリアの坂東玉三郎と思っていたけれど、このショーに関しては中村勘三郎、もしくは欽ちゃんって感じかな。
それだけ地元ではオールマイティな存在であり、大スターなんだろうね。


こちらも抱腹絶倒もののエミール・ショウハウゼン博士のシーン。
下半身麻痺を装うフレディをこれもかといたぶる様は必見!!
そうそう。クリスティーン役のAmy Lehpamerさんもとても良かった。
角度によってはNicole Kidmanそっくりなこの美女、大いに歌って踊って笑わせてくれた。
オーストラリアには多くの才能豊かな俳優さん、女優さんが揃っているけれど、国内人口が二千万人くらいでは活躍する場が少なくて勿体ないよね。
だからTony先生を始め、チャンスを掴んだらみんなアメリカに行ってしまうのだろうけど。

さて。最後に動画をひとつ。
メガヒヨはJohn Lithgow版、鹿賀丈史版と観てきたけれど、Tony先生のローレンスは発展的な役作りがされていた。
端的にいえば、しなやかで老獪。Tony Sheldonというベースの上に、脚本から引き揚げたローレンスのフィルターがぴたりと掛っており、役者の個性と役柄が上手く溶け合っていた。
また表現力に関しても、バーナデットのときと変わらずに豊かだった。
細かな仕草を交えつつ観客の視野に膨大な量の情報を提供してくるので、メガヒヨのような英語力に問題のある観客さえも、もれなく芝居に引き込まれる。
つくづく稀有な存在の役者さんだと思うよ。

そんな訳で魅力いっぱいのオーストラリア版『Dirty Rotten Scoundrels』。
12月8日日曜日まで上演しているので、シドニーに旅行される方、もしくはシドニー在住の方がもしこのページをご覧になっていたら是非足を運んでいただきたい。
Tony先生は年が明けたらアメリカにお戻りになり、そちらでお仕事を再開されるとのこと。
日付変更線のこっち側でここまでの芸達者を観られるのは稀なので、このチャンスを逃さないでいてほしい。

本当、オーストラリアがグアムくらいの位置にあったら、あと二回か三回くらい観に行っちゃうのになぁ!!