雨の夜と下弦の月

毎日を静かに、穏やかに生きていきたいと思う日々。
そのわりにはジタバタと暮らすワタクシの毎日を綴っております。

「横道世ノ介」読了。

2012-12-02 14:15:44 | books&magazine


今日の東京は真冬並みの冷え込みとかで、さっき買い物に外に出たら街全体が冷蔵庫に入っているような冷たさでした。

明日の事務所はさぞかし冷えているだろうと思いながら、今日は家の中でぬくぬくと過ごしています。
2週間ぐらい前に買ったまま積読状態だった、吉田修一の「横道世ノ介」を3時間半ぐらいで読了しました。
「悪人」や「さよなら渓谷」など、吉田修一はここのところ重たい小説が多かったのですが、「横道世ノ介」はスラスラと読めました。

80年代半ばに大学進学のために長崎から上京してきた主人公・横道世ノ介くん18歳の、大学1年生の1年間の物語です。
ワタクシも似たような時期に、似たような場所から上京してきた人間なので、あの時代の空気とかを懐かしく感じました。
横道くんは気の弱さと図々しさ(?)を兼ね備えた男の子で、周囲の友人たちとの学生生活はまさに青春そのものだと思いました。

その友人たちの現在の暮らしが時々挟み込まれており、それも今の自分とダブるような気がして面白かったです。
最終的には、横道くんは本当に彼らしいいなくなり方をしているのですが、それが何とも言えず重たいものを残します。
横道くんのお母さんから、彼の昔のガールフレンドにあてた手紙でこの物語は終わります。
そのお母さんが「悪人」の主人公の祖母とダブって見えて、最後だけはやっぱり泣きたくなりました。

でも、全編を通して明るく楽しい青春小説です。
80年代に学生をやっていた方々にとっては、結構共感するところが多いんじゃないかな?と思いますよ。