いよいよ、今日は今回のトレッキングの目標点となるトロン・パス越えとなる。
朝4時半出発することになっているので、3時半に寝袋を出てパッキングを始める。
3時過ぎに外へ出ると直ぐ横にある岩壁の上にオリオン座が煌々と輝いている。
どうやら天気は良さそうだが、寒い!
歩く度に足元の雪がキュッ!キュッ!と鳴る。
雪がこの音を出すのはマイナス5度以下の時だと以前聞いたことがある。
風がないので体感ではそれほど寒いとは感じないが、吐く息は白く、空気が薄いせいか足の疲れが回復していないのか足取りが重い。
4時頃に食堂へ入るが、他のお客さんの姿は見えない。
ヌードルスープを食べて身支度を整える。
外は寒いので、ダウンのジャケットを着てその上にゴアの雨具を重ね着する。
もちろんズボンの下には股引を穿く。
4:35分、ハイキャンプを出発する。
ビビさん、私、Oくん、ハボンさんの順で歩く。
ヘッドライトに照らし出される登山道には所々雪が残っている。
その雪の上を歩くとキュッ!キュッ!と鳴る靴音が寒空に響いていく。
ビビさんが「昨夜のガイド部屋は人が一杯でよく眠れなかった。」とこぼしている。
でも、足取りはしっかりしている。
寒いので休憩をほとんど取らずに歩く。
1時間を超えると足の動きが重くなるので、200まで数を数え、数え終わったところで15回ほど深呼吸をしてまた歩く。
これを繰り返しているとビビさんが先行して歩いているので、私が遅れ、Oくんとハボンさんが一緒に休んでくれる。
3人が一緒になって歩いていくとだんだん回りが明るくなってくる。
6時を過ぎるとヘッドランプ無しでも歩けるようになってきたので、ランプを消す。
下の方を見ると次から次に歩いてくる人達のヘッドランプに光が列になって見えている。
山の向こうが明るくなってくる。
そろそろトロンパスではないかと思い歩いていると、小高い丘にタルチョンが幾重にも重なってはためいているのが見えてきた。
トロンパスだ。
7:00分、まだ陽の当たらないトロンパスにようやく到着する。
トロンパス(5,416m)、今回のトレッキング最高到達点。
トロンパスに上がると正面から強い風が吹いてくる。
その風が冷たい!
ドンドン身体の熱が奪われていく。
トロンパスにある茶店の小屋に避難しようとするが、小屋は鍵が掛かっていて入ることが出来ない。
仕方がないので小屋に風下に身体を寄せて風に当たらないようにする。
汗をかいた身体に少し風が当たるだけでドンドン冷えていくので体が震えだす。
やっと、トロンパスに陽が差してくる。
タルチョンが重なるトロンパスの標識にも陽が当たる。
登ってくる人がドンドン増えてくる。
すっかり陽が当たるようになったトロンパスで記念写真を写しあう。
陽が当たるようになったが風も強くなってくる。
小屋の陰で風を避けているとハイキャンプの方からザックを持たない人がトコトコと歩いてくる。
この人が小屋の鍵を開けて中へ入っていく。
どうやら小屋番のようだ。
さっそく小屋の中へ入ったが、小屋の中は風が当たらないだけでここも寒い。
小屋番がストーブに火を付けてお湯を沸かす。
そのお湯で作ったブラックティーを飲むが、この程度では体が温まってこない。
小屋の中に煙るが充満してノドが痛くなってくる。
外は寒いし小屋の中は煙い。
どこにも居場所がなくなってきたので、峠を下りることにする。
今回のトレッキングにおいて最大の目標であったトロンパスに来たというのに
寒さのためバタバタして何の感慨もなく峠を下ることになってしまった。
峠の向こうはまだ陽が差していない。
その道を下り出すが、向こうにはダウラギリヒマールが白く輝いて私達を待ってくれている。
日陰の雪道を下る。
ほんの少し下っただけで風は止んでしまう。
そうすると身体がドンドン暖かくなってくる。
でも、油断は出来ない。
日陰の雪道の所々が凍っている。
その部分の見極めが日陰なのでうまくできない。
凍った部分に足を取られると滑って転んでしまう。
注意しながら下っていく。
しかし、急な下りが際限なく続いている。
づーと下の方まで見えているのでどこまで下ればいいのかと見ているとウンザリしてしまう。
4,700mまで下って一休みする。
この辺りまで下ると雪がなくなってザラザラの登山道となっている。
このザラザラ道も気を付けて下らないと足を取られてしまう。
ビビさんは先にドンドン下っていっているので、私はゆっくり下ることにする。
9:40分、4,195m地点にある宿「ポカラ」で一休みする。
ムクチナートはここから1時間くらいだといわれ、ちょっとホッとする。
ダウラギリヒマールの山々がドンドン近くなってくる。
ムクチナートの町が左手の尾根越しに見えてくる。
その向こうに三角錐を空に突き上げるような大きな山が見えている。
ビビさんが、ダウラギリだという。
手前に広がる町がムクチナート
今回のトレッキングで初めて目にする8千メートル級の山、ダウラギリ8,167m、世界第7位の山。
ダウラギリというのはサンスクリット語で白い山という意味らしい。
その名の通り白い山が空に突き出ている。
10:55分、やっとムクチナートに着く。
宿に入ったが昼食を食べる気がしない。
それより早く身体を横にしたかった。
ビビさんに昼食は13:00からといって頼み、寝袋を広げてベットで横になる。
ウトウトしているだけで、身体が休まる。
小1時間ほどウトウトしている寝ていると部屋の外で日本語が聞こえてくる。
男性の声がしている。
日本人数人がこの宿で昼食を取るようだ。
ベットから起きて部屋を出ると60~70代の男性3人が昼食を取っている。
挨拶をして話を聞くと来るまでムクチナートまで来たという。
ここにある、ヒンデゥー教の寺院を見学しに来たという。
今日中にジョムソンまで下がり、明日は飛行機でポカラへ行くという。
歩いている人には申し訳ない行程だ。などと話してくれる。
昼食を食べてから宿の前にある通りに店を出している露天を見に行く。
ムクチナートは一番奥にあるヒンデゥー教の寺院の他にチベット仏教の寺院もあり、聖地として大事にされているという。
5~6月には聖地巡礼として沢山のインド人などがこの地を訪れるようだ。
今は巡礼の時期ではないので、町の中も閑散としている。
宿の前の道はカクベニ→トロンパスに繋がる1本道のメーンストリート。
両側に露天が出ており、仏具を中心に首飾り、ストール、帽子、アンモナイトまで売っている。
宿の直ぐ前の露天に横に機織り機があり、おばさんがコトリコトリと動かしている。
この機織り機があちらこちらの露天横にあり、町の女性が店番をしながら動かしている。
午後になるとトロンパス方面から歩いてくる人が多くなる。
トロン・フェデェから歩き出してトロン・パスを越えた人達なのだろう。
疲労の色が濃い顔をしている。
少し休んで体の調子が良くなってきたので、洗濯をしてしまう。
トロンパスを越えてここまで下ってしまうと太陽に光も強く感じる。
洗濯物も乾きやすく感じ、シャツや靴下などを洗って外に干す。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
今日の行動
4:35分 ハイキャンプ発
7:00分 トロン・パス着
8:50分 4,700m地点で休憩
9:40分 ポカラで休憩(4,195m)
10:55分 ムクチナート着
今回のトレッキングは、トロン・パスを越えるのが大きな目標だった。
トロン・パスは、カイラス山のドルマ・ラ(5,600m)より低いが、ネパールのトレッキングでは高い標高まで上がらなければならないコースとなっている。
エベレストベースキャンプは5,200メートルほどだから、それより高いところまで登ったことになる。
3年半前にドルマ・ラを越えたせいなのか、今回のトレッキングではまったく高度障害らしい症状は出てこなかった。
足の動きは悪かったが、これは連日歩いていることの疲れだ大きな原因だと思う。
息苦しさなどは全くなかったので、普段、山へ登ったりジョギングしている効果が出ているかも知れない。
アンナプルナヒマールで8千メートルを超えているのはアンナプルナⅠ峰だけだ。後のⅡ、Ⅲ、Ⅳ峰は、いずれも8千メートルには達していない。
今まで歩いて来たコースではアンナプルナⅠ峰は見えていない。
だから、ムクチナートに来て見えたダウラギリが私が初めてみた8千メートを超える山ということになる。
朝4時半出発することになっているので、3時半に寝袋を出てパッキングを始める。
3時過ぎに外へ出ると直ぐ横にある岩壁の上にオリオン座が煌々と輝いている。
どうやら天気は良さそうだが、寒い!
歩く度に足元の雪がキュッ!キュッ!と鳴る。
雪がこの音を出すのはマイナス5度以下の時だと以前聞いたことがある。
風がないので体感ではそれほど寒いとは感じないが、吐く息は白く、空気が薄いせいか足の疲れが回復していないのか足取りが重い。
4時頃に食堂へ入るが、他のお客さんの姿は見えない。
ヌードルスープを食べて身支度を整える。
外は寒いので、ダウンのジャケットを着てその上にゴアの雨具を重ね着する。
もちろんズボンの下には股引を穿く。
4:35分、ハイキャンプを出発する。
ビビさん、私、Oくん、ハボンさんの順で歩く。
ヘッドライトに照らし出される登山道には所々雪が残っている。
その雪の上を歩くとキュッ!キュッ!と鳴る靴音が寒空に響いていく。
ビビさんが「昨夜のガイド部屋は人が一杯でよく眠れなかった。」とこぼしている。
でも、足取りはしっかりしている。
寒いので休憩をほとんど取らずに歩く。
1時間を超えると足の動きが重くなるので、200まで数を数え、数え終わったところで15回ほど深呼吸をしてまた歩く。
これを繰り返しているとビビさんが先行して歩いているので、私が遅れ、Oくんとハボンさんが一緒に休んでくれる。
3人が一緒になって歩いていくとだんだん回りが明るくなってくる。
6時を過ぎるとヘッドランプ無しでも歩けるようになってきたので、ランプを消す。
下の方を見ると次から次に歩いてくる人達のヘッドランプに光が列になって見えている。
山の向こうが明るくなってくる。
そろそろトロンパスではないかと思い歩いていると、小高い丘にタルチョンが幾重にも重なってはためいているのが見えてきた。
トロンパスだ。
7:00分、まだ陽の当たらないトロンパスにようやく到着する。
トロンパス(5,416m)、今回のトレッキング最高到達点。
トロンパスに上がると正面から強い風が吹いてくる。
その風が冷たい!
ドンドン身体の熱が奪われていく。
トロンパスにある茶店の小屋に避難しようとするが、小屋は鍵が掛かっていて入ることが出来ない。
仕方がないので小屋に風下に身体を寄せて風に当たらないようにする。
汗をかいた身体に少し風が当たるだけでドンドン冷えていくので体が震えだす。
やっと、トロンパスに陽が差してくる。
タルチョンが重なるトロンパスの標識にも陽が当たる。
登ってくる人がドンドン増えてくる。
すっかり陽が当たるようになったトロンパスで記念写真を写しあう。
陽が当たるようになったが風も強くなってくる。
小屋の陰で風を避けているとハイキャンプの方からザックを持たない人がトコトコと歩いてくる。
この人が小屋の鍵を開けて中へ入っていく。
どうやら小屋番のようだ。
さっそく小屋の中へ入ったが、小屋の中は風が当たらないだけでここも寒い。
小屋番がストーブに火を付けてお湯を沸かす。
そのお湯で作ったブラックティーを飲むが、この程度では体が温まってこない。
小屋の中に煙るが充満してノドが痛くなってくる。
外は寒いし小屋の中は煙い。
どこにも居場所がなくなってきたので、峠を下りることにする。
今回のトレッキングにおいて最大の目標であったトロンパスに来たというのに
寒さのためバタバタして何の感慨もなく峠を下ることになってしまった。
峠の向こうはまだ陽が差していない。
その道を下り出すが、向こうにはダウラギリヒマールが白く輝いて私達を待ってくれている。
日陰の雪道を下る。
ほんの少し下っただけで風は止んでしまう。
そうすると身体がドンドン暖かくなってくる。
でも、油断は出来ない。
日陰の雪道の所々が凍っている。
その部分の見極めが日陰なのでうまくできない。
凍った部分に足を取られると滑って転んでしまう。
注意しながら下っていく。
しかし、急な下りが際限なく続いている。
づーと下の方まで見えているのでどこまで下ればいいのかと見ているとウンザリしてしまう。
4,700mまで下って一休みする。
この辺りまで下ると雪がなくなってザラザラの登山道となっている。
このザラザラ道も気を付けて下らないと足を取られてしまう。
ビビさんは先にドンドン下っていっているので、私はゆっくり下ることにする。
9:40分、4,195m地点にある宿「ポカラ」で一休みする。
ムクチナートはここから1時間くらいだといわれ、ちょっとホッとする。
ダウラギリヒマールの山々がドンドン近くなってくる。
ムクチナートの町が左手の尾根越しに見えてくる。
その向こうに三角錐を空に突き上げるような大きな山が見えている。
ビビさんが、ダウラギリだという。
手前に広がる町がムクチナート
今回のトレッキングで初めて目にする8千メートル級の山、ダウラギリ8,167m、世界第7位の山。
ダウラギリというのはサンスクリット語で白い山という意味らしい。
その名の通り白い山が空に突き出ている。
10:55分、やっとムクチナートに着く。
宿に入ったが昼食を食べる気がしない。
それより早く身体を横にしたかった。
ビビさんに昼食は13:00からといって頼み、寝袋を広げてベットで横になる。
ウトウトしているだけで、身体が休まる。
小1時間ほどウトウトしている寝ていると部屋の外で日本語が聞こえてくる。
男性の声がしている。
日本人数人がこの宿で昼食を取るようだ。
ベットから起きて部屋を出ると60~70代の男性3人が昼食を取っている。
挨拶をして話を聞くと来るまでムクチナートまで来たという。
ここにある、ヒンデゥー教の寺院を見学しに来たという。
今日中にジョムソンまで下がり、明日は飛行機でポカラへ行くという。
歩いている人には申し訳ない行程だ。などと話してくれる。
昼食を食べてから宿の前にある通りに店を出している露天を見に行く。
ムクチナートは一番奥にあるヒンデゥー教の寺院の他にチベット仏教の寺院もあり、聖地として大事にされているという。
5~6月には聖地巡礼として沢山のインド人などがこの地を訪れるようだ。
今は巡礼の時期ではないので、町の中も閑散としている。
宿の前の道はカクベニ→トロンパスに繋がる1本道のメーンストリート。
両側に露天が出ており、仏具を中心に首飾り、ストール、帽子、アンモナイトまで売っている。
宿の直ぐ前の露天に横に機織り機があり、おばさんがコトリコトリと動かしている。
この機織り機があちらこちらの露天横にあり、町の女性が店番をしながら動かしている。
午後になるとトロンパス方面から歩いてくる人が多くなる。
トロン・フェデェから歩き出してトロン・パスを越えた人達なのだろう。
疲労の色が濃い顔をしている。
少し休んで体の調子が良くなってきたので、洗濯をしてしまう。
トロンパスを越えてここまで下ってしまうと太陽に光も強く感じる。
洗濯物も乾きやすく感じ、シャツや靴下などを洗って外に干す。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
今日の行動
4:35分 ハイキャンプ発
7:00分 トロン・パス着
8:50分 4,700m地点で休憩
9:40分 ポカラで休憩(4,195m)
10:55分 ムクチナート着
今回のトレッキングは、トロン・パスを越えるのが大きな目標だった。
トロン・パスは、カイラス山のドルマ・ラ(5,600m)より低いが、ネパールのトレッキングでは高い標高まで上がらなければならないコースとなっている。
エベレストベースキャンプは5,200メートルほどだから、それより高いところまで登ったことになる。
3年半前にドルマ・ラを越えたせいなのか、今回のトレッキングではまったく高度障害らしい症状は出てこなかった。
足の動きは悪かったが、これは連日歩いていることの疲れだ大きな原因だと思う。
息苦しさなどは全くなかったので、普段、山へ登ったりジョギングしている効果が出ているかも知れない。
アンナプルナヒマールで8千メートルを超えているのはアンナプルナⅠ峰だけだ。後のⅡ、Ⅲ、Ⅳ峰は、いずれも8千メートルには達していない。
今まで歩いて来たコースではアンナプルナⅠ峰は見えていない。
だから、ムクチナートに来て見えたダウラギリが私が初めてみた8千メートを超える山ということになる。