井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

厳冬期のトヨニ岳(南日高)へ! その1

2012-02-26 19:45:37 | 日高山系の山
 昨年は、日高主稜線縦走を順調に終えることが出来ました。
主稜線に刻まれている縦走路を踏破してしまい残されたのは道のない尾根ばかりです。
そこで、残った主稜線は残雪期に歩くことにしていました。

 いつもの仲間の日程を調整していると何と厳冬期である3月にしか長期の休みが取れないことが分かりました。
厳冬期の日高と聞くと足がすくむ想いばかりなのですが、勇気を振り絞って挑戦することになりました。
まずは、3月初旬にトヨニ岳から北に向かって歩き何とかソエマツ岳までに焦点を絞って往復する計画を立てました。
今回はその準備山行としてトヨニ岳(1493m)まで歩いてみようということになりました。
トヨニ岳の良いところは、アプローチが容易だということです。
天馬街道にある野塚トンネル(このトンネルの上が主稜線です)の出口が出発点となります。


 2月21日の午後札幌を発ちます。
そして約5時間ほど掛かって日高にある浦河町から十勝の広尾町を繋ぐ「天馬街道」に入ります。
野塚トンネルの手前にある除雪センターとトイレのある場所で1泊します。
夜は風が強く明日の天気がどうなるか不安の1夜を過ごします。

 2月22日、心配した風も治まり良い天気です。
さっそく出発の準備をして野塚トンネルの広尾側にある駐車場へ向かいます。
この駐車場に車を駐車して登山準備を行います。
   

 登山コースは、この駐車場横から沢を渡り直ぐ横にある尾根に取り付きます。
この尾根は取り付きが急斜面なのですが、主稜線へ上がるには一番斜度が緩く感じる尾根なのです。

 7:05分、スノーシューを付けた3人と幅広の短いスキーにシールが貼り付けられたスキーを履いたOn氏の4人で登ります。
今回On氏が使っているスキーは札幌にある登山用品店「秀岳荘」オリジナルのスキーなのです。
このスキーをテストするためにOn氏が使ってみることにしました。

 スノーシュー組も初体験者2名を含みあまり慣れていないのでいきなりの急斜面に手こずります。雪の状態も悪く、表面が薄くクラストしており、これを踏み抜くと中はザクザクのザラメ雪です。
このザラメ雪には参りました。
スノーシューを支えてくれないのです。
まるで砂のように下へ崩れてしまいます。
足を上に伸ばすのですが、力を入れると元に位置へ戻ってしまいます。
これをストックで支えながら騙し騙し何とか登ります。

 On氏も苦戦しています。
シール貼り付けのスキーもこの急斜面では上手く登れないようです。
それぞれが苦労を重ねやっと尾根の上までたどり着きます。
   
 
 天気がいいのが救いです。
風もほとんど吹いていなので暑いくらいです。

 ここからは忠実に尾根を辿って登ります。
2度ほどの休みを挟んで10:15分、主稜線に到着です。

 目の前に真っ白なトヨニ岳が飛び込んできます。
後ろを振り向くとピラミダルな三角形の神威岳がこれも真っ白に輝いています。
これが日高の主稜線だ! と感慨にふけっている暇はありません。

 ここにスキーとスノーシューをデポしてツボ足にアイゼンを装着してトヨニ岳へ向かいます。
   
    心が洗われる思いがするくらい綺麗です。

 この主稜線では西風が強く左の頬が痛くなってきます。
凍傷の恐れもあるのでアウターのフードを被ります。
主稜線には東側(十勝側)に雪庇が張り出しているので気を抜いて歩くことは出来ません。
油断するとこの雪庇と共に崩れ落ちてしまいます。

 最初の難関が現れます。
狭く細い尾根に大きな雪庇が張り出しています。
ここはお互いに距離を取って20mほど間をあけて歩きます。

 トップを歩いているSz氏の直ぐ横から突然雪庇が崩れます。
ビックリしましたが、Sz氏が冷静に処理しています。
お互いの間隔をあけて歩いていたのも正解でした。

   
    雪庇の尾根を抜けたところで南側を写した写真です。

 風が吹き抜けて注意が必要といわれている1261mのポイントも無事に抜けました。
何カ所かある狭い稜線も順調に歩きます。
最初の予定では南峰と本峰の中間で雪洞を掘り1泊の予定でしたが、どうもこの調子では時間が足りないような気がしてきました。

 雪洞ポイントを探しながら南峰を目指して歩きます。
1322mを越えたところに雪洞ポイントがありました。

 13:45分、雪庇の状態を確認します。
ゾンデを差し込み雪の深さを確認しますが十分な深さの雪が溜まっています。
十勝側に少し下がって、まずはL字形にステップを作ります。
そこから雪庇の下に向かって横穴を掘ります。
   
 1mほど離れた場所で同時に横穴を2個所で掘ります。
横穴が3mほど掘ったところで横穴同士を連結します。
こうすると作業がはかどります。

今回は4人いますので2人一組になって、堀る人と掘りだした雪を谷に向かって投げる人に別れて作業します。
片方の堀口を塞ぎ、約1時間半ほどで4人が入れる雪洞が完成です。

 雪洞の中に銘々が棚を作ります。
こんな事が出来るのが雪洞の良いところです。
   
    天井の高さは、膝立ちが出来るくらいの高さです。
 
 雪洞の中は-2~3度でしょうか。
ストーブを焚いて食事の準備をするにも不自由はありません。

   
    こんな感じで寝ます。

 考えると1泊用の全装備を背負っての稜線歩き、さらに雪洞での宿泊などを行ったのは40年も前のことです。
この時には東三国岳から石狩岳までの縦走をした時、十石峠の雪庇に雪洞を掘り2泊しました。
遠い過去の出来事ですが、つい最近のように思い出しました。
あのころは若かった!!