井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

カラパタールからアイランドピークへ ・ その10

2011-12-08 21:09:37 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 11月2日  チュクン→アイランドピークベースキャンプ(5,080m)

 今日はいよいよアイランドピークのBCへ入ります。
ロッジ暮らしばかりでしたが、今夜からテントになります。

 朝食は松本さんと一緒でしたがその旺盛な食欲に脱帽です。
私はパンケーキを半分食べるのがやっとでした。
松本さんは同じパンケーキを2枚頼んでそれにハチミツをタップリ掛けてぺろりと平らげています。
その食欲の差が体力の差に現れるのを実感させられました。
この食欲あればこそ71歳でエベレストに登れるのでしょう。


 さて、いつものように7時に出発するはずでしたが、ガイドがあたふたしていてなかなか出発出来ません。
    
     そんな時、曇っていた空が一瞬にして晴れてきます。
     雲間に太陽が当たり山が輝きます。
     幻想的で綺麗でした。

 この数分後に空はすっかり晴れ渡り、クッキリとした姿を見せてくれます。
    
     この姿も良いものです。

 8時出発の松本さんが先に立っていきます。
今日はアマダブラムのベースキャンプへ行くといってましたが、4時間半ほどで行けるといってます。
そんなに短時間で行けるかちょっと疑問でした。
私はパンボチェまで降ってからアマダブラムのBCを目指すと思っていましたが、もっと手前から川を渡るコースがあるのかもしれません。
破れた靴先をガムテープを巻いて留めていたのはご愛敬でした。
ストックを両手に握り軽やかな足取りで坂を下っていきます。

 ガイドがやっと出発の準備が整ったと言ったのは8:50分になってからです。
約2時間遅れで私達もアイランドピークのBCを目指して出発です。
まずはモレンの丘を登ります。
一番上まで登るとアイランドピークがその姿を見せてくれます。
   
    ウーン、なかなか良い姿をしています。
    山頂部は真っ白に光っています。

 この先、アイランドピークの右手を目指して登っていきます。
モレーンの丘を登りきると道は平らになります。
その平原の真ん中に大きな岩が見えます。
10:10分、その岩まで歩いて一息入れます。

 岩のところに数人のポーターが休んでいます。
女性のポーターもいました。
ガイドが私のところへ来て頭痛薬がないかといいます。
どうしたのか聞くと、この女性ポーターが頭痛で苦しんでいるとのことです。
ザックの中から薬を入れてあるポーチを出してブァファリンを4錠あげます。
ガイドには1回2錠飲むように伝えます。

   
    どんどんアイランドピークが大きくなってきます。

 この先は平原になっています。
その平原のダラダラ登りを詰めます。

   
    後ろを振り返るとアマダブラムです。
    この山頂部をどうやって登るのでしょうか?

 11:45分、BCに到着です。
沢山のテントが張られています。
でも、そのテントに人がいません。
一体これはどうしたことでしょう?

 このアイランドピークBCのすぐ右手には大きな氷河湖があります。
テントサイトからは見えませんが、イムジャ湖と名前が付けられております。
このイムジャ湖は、地球温暖化に伴い水位が上がり決壊の恐れがあると言われ、監視体制が取られていると聞きました。
その関係でいろいろな国の研究期間が調査に入っているとも聞きました。
人気のないテントはこれらの人達が使っているものかもしれません。

 私達は、4~5人用のテントを2張り建てます。
1張りは私専用です。
もう1張りがガイドとポーター用ということです。
昼過ぎ、太陽がテントに当たっている時はテントの中は20度もあります。
それが、日が陰ると急に足元がスーとして10度を切ってしまいます。

 2時頃、寝袋の中でウトウトしているとガイドがやってきてユマールの使い方を教えるといいます。
外へでると白人の男女がいます。
彼らと一緒に教えてもらいます。
右手にある斜面にザイルがセットされています。
このザイルにカラビナをセットして、それからユマールをセットします。
そして、そのカラビナをいったん外してからユマールとザイルを一緒にカラビナの中に入れます。
こうするとユマールから手を離してもザイルとユマールにセットされたカラビナで落ちることはありません。

 これを固定ザイルの支点に来た時にカラビナを外して支点の上にセット、それからユマールを外して同じように支点の上にセットして、カラビナを外してユマールごとセットする。
これを繰り返して覚えます。

 さらに、下降する時はATCとカラビナのセットを教えてもらいます。
ようは、固定ザイルにカラビナかユマール若しくはATCのどちらかが必ずセットされているように教えてくれます。

 白人の男女は英国人のようでした。
男性はアンナプルナのBCへ行ったことがあると話しています。
30~40分掛けて、3~4度上り下りを繰り返して完全に出来るようにします。
私にとって、初めて使うユマールでしたので、良い勉強になりました。

 


 



カラパタールからアイランドピークへ ・ その9

2011-12-07 19:16:12 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 11月1日  ロブジェ→ディンボチェ(4,343m)→チュクン(4,730m)

 昨夜は寒かったが何とかあまり寒い思いもせず寝ることが出来た。
高度障害のせいなのか、それとも、旅行中は熟睡できないせいなのか、ウトウトして1夜を過ごしている。
まあ、横になっているだけで身体の疲れは取れるということなので、あまり気にしないことにしている。

 6:30分頃に食堂へ行ってトゥクパを頼む。
トゥクパというのはガイドさん達が食べているうどんのような食べ物です。
これはメニューには載っていないのですが、ロッジで作ってくれます。
何とかトゥクパを食べて、ミルクティを飲み、出発です。

 7:15分、まずはディンボチェに向かって歩きます。
道は全体に降りですのであまり苦労なく歩けます。
30分ほど歩くとシェルパの墓のある丘に来ます。
   
    ペリチェのあたりは雲の中です。

   
    空はどんより曇っていますが、どんどん晴れてきます。

 8:00分、トゥクタに到着です。
ここでロッジに入り休憩します。
ロッジの中は出発準備で忙しいトレッカーで一杯です。

 20分ほど休んでからさらに下ります。
吊り橋を渡るとそのまま下るのではなくてちょっと丘を横切るように進みます。
ここからは、川に下るとペリチェへ行きますが、丘をトラバース気味に歩いていくとディンボチェへ直接行くことが出来ます。

 途中でいろいろな国のトレッカーが登ってきます。
単独の日本人の人も数人いました。
正面にアマダブラムを見ながら降るのはとても気持ちが良かったです。
    
 それにしても、アマダブラムは形のいい山です。
私は知らず知らずの内にこの山に魅せられたようです。

 9:45分、ディンボチェに着きます。
休憩したロッジは2階が食堂になっていてサンルームのように陽が入っています。
その太陽を受けながらベンチの上でゴロリとしているととても気持ちよくウトウトしてしまいます。
昼食に頼んだスパゲティーも半分食べられるようになりました。
ここで2時間ほど休んでチュクンへ向けて出発です。

 12:05分、遙か彼方、モレンの丘の上を目指して今度は登ります。
途端に足の動きが悪くなります。
    
 ガイドが左手の山の上を指さし、ブルーシープがいるといいます。
目を凝らしてよく見ると確かに羊がいます。

   
    エーデルワイスのように綿毛を持っている白い花です。
 こういったものに癒されながら歩きます。

我慢して歩くのですが、堪えきれず40分ほど歩いたところで休みを入れます。
もっている水を飲んで一息つきますが、気温が下がってきているので5~6分休むと身体が冷えてきます。
身体を冷やすと動かなくなるので出発します。

 13:30分、茶店があるので一息入れます。
ブラックティーを頼んで飲みます。
冷えた身体に温かい紅茶が体を温めてくれます。
さあ、もう一息でチュクンです。

そろそろチュクンかといったところに昨夜ロブジェの食堂で話し込んだ日本人の男性が休んでいました。
とても苦しそうな表情でしたので、挨拶だけして先へ進みます。

 頑張って、頑張って14:05分、チュクンに到着です。

 チュクンの宿は、奥まった場所にあり、そこへ登る5メートルほどの坂が堪えます。
でも、食堂のストーブに火が入っているのが救いです。

 部屋は珍しくプラスチック製のドアでした。
窓もプラスチック製のサッシと今までにはない造りでした。

 食堂で休んでいると「日本人ですか?」声を掛けてくる老人がいます。
この方は松本たつおさんという方でした。
松本さんは、ブラジルのサンパウロ郊外に住んでいて、今は農業をやっているのです。
お話を聞いていると、今年の春にエベレストを登って7サミッターになったということです。
お歳は72歳、でも、山に登りだしたのは61歳ということですので、10年で7サミットを達成したようです。
今年の春のエベレストは61歳で登ったなどと話してくれます。
今回は娘さんの友達などを伴ってトレッキング組とクライミング組みに別れているようです。
クライミング組は、ロブチェイースト(6,119m)に登り、今日はアイランドピーク(6,160m)に登って降りてきたといいます。
明日からはアマダブラム(6,812m)へ向かうといいます。

 昨年は、チョ・オ・ユーにも登っているようで、72歳とは思えないくらい元気なオジイちゃまでした。
何だかんだと2時間ほどいろいろな話をしていましたが、松本さんが一番心配していたのが日本が世界の中で落ち込んでいることでした。
韓国に抜かれ中国にも抜かれかねない状況と、経済と技術の落ち込みが酷いなどと話してくれます。
その他に、教育問題から政治の話までいろいろと意見の交換をしました。
とても楽しい時間でした。

 そうそう、野口健さんとはエベレストの第3キャンプで一緒だったようです。
とてもいい青年だとほめていました。
それに引き替え、栗城くんのことはあまり良い印象ではなかったようです。
私は栗城君とは同じ札幌ですが、彼のことはまったく知りません。
テレビに出ている彼を見るくらいですので、評価する材料を持ち合わせていません。
でも、初対面の方が良い印象を持たれないのは、彼に何か問題があるからでしょう。
とても残念なことですが・・・





カラパタールからアイランドピークへ ・ その8

2011-12-05 20:09:07 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 10月31日 ゴラプシェプ→カラパタール(5,545m)→ゴラプシェプ→ロブジェ

 昨日の夜にガイドから明日の予定は5時に朝食を終えてカラパタールに登り、下山後、食事を取ってエベレストベースキャンプへ行くといっていました。

 私はこの案を疲れが酷いので却下しました。
いつもの通り7時に朝食を取ってからカラパタールに登り、エベレストベースキャンプには行かずにロブジェへ下ることを主張し、納得させました。
これで、少しは疲れを取る余裕が出てくるはずです。

 昨夜は十分に体を温めて寝袋に入ったせいか思ったより寒くなくズボンと靴下を脱いで寝ることが出来ました。
お陰で身体の負担も少なくなり寝ることが出来ました。
朝食は相変わらず食欲がないのでミルクティーを飲むのがやっとの状態でした。
外を見ると良い天気です。

 7:15分、ザックはロッジに預けてカメラだけを持ってカラパータルを目指します。
カラパタールは山というよりは丘のようなところです。
ゴレクシェプのロッジから見るとすぐ上に見えています。
それでも標高差5百メートルはあるでしょうか。
カラパタールのバックにはプモリ(7,161m)が堂々とした姿を見せてくれてます。

 歩き出すと思ったより身体が動きます。
空身のせいもあるのだと思いますが、これなら何とか行けそうな気がしてきます。
それでも、ゆっくりゆっくり歩くのだと自分に言い聞かせるようにして登ります。
1歩1歩、登るにしたがって後ろを振り向くとエベレストの姿が大きくなってきます。

 9:00分、やっとカラパタールに到着です。
   
    プモリが真っ白に輝いており眩しいくらいに光っています。

 後ろを振り向くとエベレストがハッキリと見えています。
   
    中央右手奥、黒い三角形がエベレストです。
 エベレストベースキャンプを設営するアイスフォールの下までよく見えています。
そばにある岩に腰掛けてこの光景を堪能します。
エベレストを何度もしたから山頂まで見ていると、不思議なことに私にも登れそうな気がしてきます。
   
 ローツェは、手前にあるヌプツェ(7,855m)の陰に隠れています。

   
    アイスフォールに陽が当たってきます。
    針のように尖った氷河の様子がよく見えています。

   
    エベレストの山頂部です。サウスコルが少し見えています。
このサウスコルには第4キャンプを設営して、ここから山頂まで15時間~20時間で往復するようです。

   
    いつの間にか、ロブジェ方面は雲海の中となっています。
その中でもアマダブラムの山容は異彩を放っています。

 このエベレストからヌプの姿を目に焼き付けます。
   

 20分ほどこの景観を存分に楽しんだので降ります。
岩ばかりの道ですがどんどん下れます。
もう少しでロッジに到着というところで日本人の若い男性2人が登ってきます。
挨拶を交わし立ち話をするとアイランドピークを登りカラパタールへ来たといいます。
「どちらからですか?」といわれたので、「札幌です」というと「私も札幌です」という声が帰ってきました。
こんなところで札幌から来ている人に会えるとは思いませんでした。

 ロッジでもう一杯ミルクティーを飲んでからロブジェ目指して下ります。
1時間ほどゆっくり休んだのでゴレクシェプを出発します。
疲れた身体ですが、さすがに降りは早いです。
1時間40分ほどでロブチェに到着です。

 昼食を軽く取って、何よりも休憩ですので寝袋に潜り込みます。

 夕食を取るために食堂へ行くと日本人の男性が1人います。
話を聞くと東京在住の64歳の男性でした。
今回はガイドも連れずに1人で歩いているとのことです。
アイランドピークを見に行ってきたと話してくれます。
私がこれからアイランドピークへ行くと話すと、山を見たけれどとても登れるような山だとは思えなかったといってます。
今回の経費などの話をするので、私がアサヒトレックに支払った費用などを話すとそのぐらいの金額で登れるなら考えてみるかななどといっています。

 普段は本州の山を登っているようですが、友達を誘ってみたが誰も一緒に来ると入ってくれないので一人で来たのだといっています。
10月の誕生日で再就職先も退職し、完全年金暮らしになったのでこれが最後かと思って出掛けてきたなどと話してくれます。

 この話を聞くと人ごとではありません。
この人は私より丁度1歳年上ですので、来年の私の姿を見るような思いに駆られました。

 今日は今回の目標の一つであるカラパタールからエベレストを見ることが出来ました。
さあ、今度はアイランドピークに登らなければなりません。
気持ちを新たにして、取り敢えずはこれまでの疲れを取るのが先決です。

 夕食後もそうそうに寝袋に入って身体を休めます。

カラパタールからアイランドピークへ ・ その7

2011-12-04 18:52:23 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 10月30日 ペリチェ(4,213m)→ロブジェ(4,930m)→ゴレクシェプ(5,140m)

 昨夜は寒かった。
けっこう遅くまでガイドと宿の女性とのマシンガントークが続いていた。
宿の選択はガイドが決めている。
どうやって決めているか見ていると、まず知り合いがやっている宿を優先しているようだ。
これは、知り合いの宿だとお客を紹介すると自分の宿代が無料になることがあるからだと思う。
アンナプルナサーキットを歩いた時にガイドから聞いた話では、エベレスト街道はガイドやポーターも宿代や食事代を払うようになってきたと言っていたが、知り合いとなれば別のことだと思う。
そうでなければ、あまりお客のいない宿に泊めることはないように思う。

 さて、食堂へ行ったが、まだ食事が出来るには時間が掛かるようなので外へ写真を写しに行く。
外の水たまりが凍っていた。
どおりで寒いはずだ。
   
   
    川下は、アマダブラムが朝日に輝いている。

 そして上流を見ると広い川原の向こうに今日歩くコースが見えている。
   

 左手にはタゥテセが光り輝いている。
    
 どこを見ても神々しい光景が広がっている。

 川原は一面真っ白になっている。
これは花崗岩の白い色によるものです。
この辺りは花崗岩が多いせいか、一面白い色をしています。

 寒くなったので食堂へ戻ります。
   
    左端の女性がガイドのパサンとマシンガントークをしていた女性です。
    右の2人はポーターさんです。

 7時頃になるとヘリコプターが飛んできて私達の宿に直ぐ川上にあるヘリポートに止まります。
どうやら高山病で下に降ろす人を運ぶようです。
20分ほどするとまた飛んできます。
こんな事を3~4回繰り返しています。

 ペリチェは、4,243mあります。
高山病の症状は、寝ていると呼吸が浅くなるので強く出てきます。
それで、朝一に下山させることになるのでしょう。

 7:15分、私達はロブチェに向かって出発します。
谷間のため朝日が当たらず寒いのでダウンジャケットを着込んで手袋もして歩きます。

 45分ほど歩くと、やっと陽が当たるようになります。
すると暑くなるのでダウンを脱いでフリースに換えます。
    

 コースが右に曲がり登り坂となります。
前方に吊り橋が見えてきます。
この吊り橋を渡ったところがトゥクラでロッジが1軒あります。
    
     トゥクラのロッジとタゥテセです。
 このロッジで休憩します。 

 川下を見るとアマダブラムからタムセルクなどの山が見えています。
    

 トゥクラからゆっくりとした坂道を登ります。
すると前方にモレンの丘が見えてきます。
この丘を登って言う途中で日本人の若い女性が下ってきます。
ガイドを伴っていますが1人のようです。
立ち話をすると、今日のカラパタールは晴天でエベレストがよく見えていたと話してくれます。
そして、明日も大丈夫でしょうと言ってくれます。
日焼けで黒くなった顔が印象的な女性でした。

 このモレンの丘には、シェルパの墓が沢山あります。
一番大きな墓の前で、しばし合掌!
パサンは手持ちぶさたに立っています。
この辺のメンタリティーが私には理解の出来ないところです。
パサンにとって先輩達が眠る場なのに、とくに感傷的になるわけでもありません。
シェルパの世界にも現代っ子現象があるのでしょうか?

 11:00分、ロブジェに到着です。
ロッジの中で昼食を取り、ノンビリします。
日当たりのいい場所でウトウトして身体を休めます。

1時間ほど休んでいたでしょうか。
パサンが出発するといいます。
どこへ行くか聞くとゴレクシェプまで行くといいます。
あわててザックに荷物を詰めて出発します。
今日はロブジェまでと思っていた私には理解の出来ない行動です。
でも、ガイドが進むというのですから何かあるのでしょう。
しかしここからの登りがきつかった。
 
   
    左手の山はヌプツェです。

 しばらく登ると左手から流れてくる氷河の末端部に出ます。
この末端部を登ったり下ったりを何回も繰り返さなければなりません。
この上り下りですっかり消耗してしまいました。

   
    川下を見るといつの間にか雲海で埋まっていました。

 14:40分、やっとゴレクシェプに到着した時は疲労困憊の状況でした。
最初のロッジは満員で断られ、2軒目のロッジはドミトリーしか空いていません。
そのドミトリーでも良いかといわれ、それしかないのでは贅沢はいえません。

 2軒目のロッジの食堂で身体を休めます。
幸いに食堂にはストーブが燃えていました。
そのストーブのそばに椅子を持っていってミルクティーを飲みながら身体を休めましたが、3時間ほどこの場所を動くことが出来ませんでした。

 夕食に頼んだヌードルもほとんど食べることが出来ずに水分補給をしなければと思って飲んだのはブラックティーだけです。
取り敢えず、体を温めて疲れを取るのが先決です。

 明日は、朝一でカラパタールへ登り、ヒルからエベレストベースキャンプへ行ってからロブチェまで降りるとガイドがいいます。

 私は、そこまで歩けるか疑問でしたので、全ては明日の朝、目を覚ましてから体調を見て行動予定を考えることにしました。
 
 それにしても疲れた1日でした。
今日は、1日で約千メートルほど登ってきています。
これはオーバーペースです。
ガイドは、何を考えてゴレクシェプまで足を伸ばしたのでしょうか?
   
       

カラパタールからアイランドピークへ ・ その6

2011-12-03 19:41:37 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 10月29日 タンボチェからペリチェ(4,243m)へ

 朝6時半に食堂へ行きます。
今日も良い天気です。
ちょっと外へ出てみるとタムセルクがヒマラヤンブルーの空に青白く輝いています。
澄んだ冷たい空気の中でこの山を見ていると心が洗われるような気がします。
   

 アマダブラムもその天を突き上げるような姿で青白く輝いています。
   
どちらを見ても神々しい!の一言で、ため息が出るばかりの美しさです。
その山の下でゾッキョの背に荷物を付けて出発の準備をしています。
   

 エベレスト方面は太陽が当たり日差しのない谷とは対照的に明るく輝いています。
   

 7:10分、タンボチェのロッジを出発します。
谷には日が当たっていないので寒いです。
手袋をつけてフリースも着込んで歩きます。
道は降り坂なのでどんどん下ります。
40分ほど歩くと吊り橋がありここから右岸に渡り、今度は少しずつ登っていきます。
   

 後ろを振り返るとナムチェ方面がよく見えます。
   
 
 登るにしたがって少しずつ太陽の日差しが当たるようになってきます。
太陽が当たるようになると暑くなるのでフリースを脱ぎます。

 8:30分、パンボチェに到着です。
パンボチェは、次々とロッジがあります。
少し歩いたところで2人組の日本人を見つけました。
随分ゆっくりした足取りで歩いています。
一人の荷物はガイドが胸に抱くようにして持っています。
「おはようございます!」と声を掛けて少し話します。

 この人達は10人ほどのグループで来ているようですが、お二人を残して元気な人達はディンボチェ目指して先に歩いているようです。
お二人はディンボチェまで、あとの人達はカラパタールからレンジョパスを回るようです。

 15分ほど歩いたところで休憩します。
少し汗ばんだ身体ですので冷やさないようにします。
フリースを着込んでお茶を飲んでいると先ほどの二人組が直ぐ隣のロッジで休むようです。
少しお話を聞きに行きます。
お二人は75歳と80歳の男性です。
これが最後のトレッキングかもしれないなどと話してくれます。
それにしても、80歳でこの高度を歩くのは大変なことだと思います。
昔来たことがあるとのことでしたが、頭が下がります。

 30分ほど歩いたシュモレで昼食とします。
シュモレは、標高4,010mです。
今回のトレッキングで初めて4千メートルを超えました。
今のところ体調は問題ありません。
多少の疲れがあるくらいです。
 
   
    マニ石とエベレスト、よく似合う風景です。

   
    エベレストが手前にあるポカルデ(5,806m)の陰に隠れるようになります。

 しばらく歩くとペリチェとディンボチェの分岐となる二股が見えてきます。
   
    右手がディンボチェ方面で、この奥にアイランドピークがあります。
 私達は左手に進みます。
このような分岐でもハッキリした標識があるわけではありません。
気を付けて歩けば分かるのですが、ガイド無しで歩いたりすると道に迷いそうです。

   
    アマダブラムが歩く度にその姿を変えて私達の目を楽しませてくれます。

   

 11:45分、今日の宿があるペリチェに到着です。
ここは広い川原の右岸にロッジが建っています。
ガイドの友達がやっているロッジに泊まりますが、私以外の客は誰も来ません。
今日も私一人のようです。

 ガイドはロッジの娘さんと、それこそ息つく間もないくらいのマシンガントークをしています。
このトークが延々と続いています。

 身体を休めるために日の当たる間は食堂で横になって身体を休めます。
この時間が一番安らぐ、至福の時間です。     
  

カラパタールからアイランドピークへ ・ その5

2011-12-01 22:07:04 | エベレスト街道を歩きカラパタールからアイランドピークへ
 10月27日 ナムチェからタンボチェ(3,860m)

 さあ、トレッキングの再開です。
今日はタンボチェまで歩きます。
いつものように、6:30分に起きて、食堂へ行きます。

 朝食はパンケーキとミルクティーです。
朝は、このパターンが多いです。
7:00分、青空が広がる良い天気の中を出発です。
最初は、昨日歩いたところを歩きます。
ナムチェの町を右下に眺めながらゆっくりゆっくり歩きます。

 昨夜も特に高山病の予兆は出ていません。
体調はまあまあです。
大きなストーパを越えてどんどん歩きます。
   
    谷の奥、右手の小高い丘がタンボチェです。

 8:50分、集落が見えてきます。
サナサに到着です。
ここから谷に向かって降ります。
降り終えたところに吊り橋があります。 
   

 この吊り橋を越えたところにパンキテンガという数軒の集落があります。
まだ9:25分なのに昼食を食べようとガイドがいいます。
私は、このペースならタンボチェまでいってから昼食でもいいかと思っていました。

 ガイドは、ここからズーと登りになるのでタンボチェまで2~3時間は掛かるといいます。
私は、ここからタンボチェまでは標高差5百メートルくらいだから1時間半もあれば十分だと思っています。
出も、ここはガイドの顔を立てるのとネパールの人達は1日2食と聞いているのでお腹がすいたのかと思って昼食を取ることにしました。

 あまりお腹がすいてもいないので軽いものにします。
川のそばにあるテーブルに腰掛けてタムセルクとカンティガへ続く谷を見て日向ぼっこです。
   

 坂の上の方から子供の鳴き声が聞こえてきます。
4~5歳くらいの白人の男の子が左の耳を押さえながら泣いて歩いてきます。
父親が一生懸命になだめていますが泣きやみません。
どうしたのでしょうか?
そのうち母親も降りてきました。
さらに同じ様な子供を2人連れています。
こんな子供がトレッキングで歩いているのは初めて見ました。
ザックは担いでいませんが、タンボチェから歩いてきたようです。
私の横にある椅子に座って食事を取るようです。
母親からアメをもらって少し落ち着いたようです。

 食事を済ませ、さあいよいよ5百メートルの登りです。
その前に軍隊のチェックポイントがありました。
ガイドが許可証を見せます。
背の高い兵士が日本語で「お疲れさま!」と声を掛けてきます。
私は、「ありがとうございます!」と返して歩きます。
ここで日本語の挨拶が聞けるとは思いませんでした。

 つづら折りの坂道をゆっくりゆっくり登っていきます。
途中で休んでいると追いついてきたグループのガイドが「覚えていますか?」と声を掛けてきます。
「おや?」と思ってそのガイドの顔を見ると、何とルクラまで飛んできた飛行機の中で声を掛けてきたガイドでした。
彼は、日本に留学していたので日本語がペラペラです。
どこまで行くか聞くと、ゴーキョピークからレンジョパスを抜けてくる予定だと教えてくれます。

 さあ、休憩も終わったのでさらに登ります。
11:30分、タンボチェに到着です。
   
 タンボチェには大きなお寺があります。
坂道を登りきるとこの寺の直ぐ前に出ます。
そして目の前にはエベレストが見えています。
   

 お寺の正面から見ると本当に大きなお寺でした。
   

 宿に荷物を置いてからこの寺を見学に来ました。
正面の門から入り階段を上がると回廊に囲まれた中庭があります。
その奥に本殿があるので入ってみます。
入口に寄付を入れる箱があるので少しのお金を入れます。
左手に若い僧がいたので、写真を写しても良いか聞くとOKとのこと。
   

 正面に大きな仏像が安置されてます。
   
 入口側にも小さな祭壇があります。
   
  
   
  
 このように極彩色に彩られた寺院です。
このお寺は年に1回盛大なお祭りがあると聞いていましたが、この日から1週間ほど後に行われたようです。

   
    宿の前に置いてあったソーラー湯沸かし器です。
チベットでも見たことがありますが、こんなに大きく立派なのは初めて見ました。

 お寺の見学も終わってしまうと後はやることがありません。
外のテーブルに座ってノンビリとミルクティーを飲んで、日記を書きます。
今回もノートを用意して日記を書いています。
そうでもしないと時間をもてあましてしまうからです。
後で読み返してみるとどうっていうことのない内容ですが、これも記念になります。