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ザンデルリングのマーラーを聴く。

2011年10月30日 17時29分03秒 | マーラー
先日、プロ野球ドラフト会議がありました。マリーンズ、4人の大学生を指名し交渉権を得ました。中でも1位指名の藤岡くんはは3球団が競合。西村監督あたりを引き上げました。それを聞いた藤岡くんは、涙を流して喜んでいました。いやー、これまでマリーンズの指名を受けて入団拒否した選手は幾人かいましたがねえ。藤岡くんの涙をみて私も感動しました。よかったですね。そのあとも中後、鈴木、益田といい選手を指名しました。今シーズンのどん底の状況の中で光明を見出したみたいで、ほんとに嬉しいことでありました。百点満点のドラフトでした。

さてさて、前回に引き続いて、クルト・ザンデルリンクの演奏。今回はマーラーであります。 ザンデルリングのマーラーの演奏は、1番・4番・9番・10番・大地の歌が残っています。中でも、第9番については、①ベルリン交響楽団(1979年)、②BBCフィル(1982年)、③フィルハーモニア(1992年)と3種類の録音があります。最も、多くの演奏を聴くことができる曲です。今回は、BBCフィルとの演奏。1982年7月17日マンチェスター、BBC第7スタジオでのライブ録音です。

マーラーの交響曲の中で、9番という曲は、けっこう重いです。それにはいろんな背景があったりしてなのですが、なかなかこのブログでも、これまで一回しか取り上げていないです。初めてこの曲を聴いたのは、バーンスタインのニューヨーク・フィルとのLPででした。第1楽章の出だしから、異様な世界に釘付けになりました。ワルター、バルビローリ、バーンスタイン、カラヤン、アバドなど、数多くの名盤があります。そんな中で、ザンデルリングの演奏を取り上げたのは、それほどの理由があったわけではありません。このCDも、たまたま岡山のBOOKOFFで見つけたものでした。BBCフィルというオケもほとんど聞いたことなかったですし、おそらくは、BBCのラジオ放送用の音源によるものでしょうねえ。

ということで、この演奏なんですが、まずまったく聞いたことのなかったBBCフィルが、非常にいい音を出しているんです。ザンデルリングの統率の優れたところでしょうか。優れて統制のとれた弦に、調和のとれた管と、まあ驚くほど立派なオケの演奏であります。それぞれの楽器が生気溢れる演奏に終始しています。ザンデルリングの指揮、極めてスケールの大きくダイナミック。加えてライブゆえの気迫や熱気に満ちています。そして、情念や感情的な演奏とは、一線を引いたもので、冷静な情に溺れない客観的な演奏になっています。

第1楽章、穏やかな演奏。冷徹な雰囲気が漂う。しかし、次第に曲の特徴からとライブゆえの熱気が聴かれる。堅固な曲造りで安定した演奏。そして非常に力強い。それに楽器の美しい音色が絡む。第2楽章レントラー風。弦の安定感がいいです。それが揺るぎない基盤を形成しています。それに木管などが加わり、これも素晴らしい。この楽章、私は好きです。そして第3楽章ロンド=ブルレスケ。曲調に対して非常に冷静な演奏。それで熱ぽい。ダイナミックだが、粗さは見えず、時折ドキッとするような美しさを感じる。残り3分のあたりから、盛り上がりが最高潮に。ダイナミックな狂気。それが次の楽章の前提ですね。そして、第4楽章アダージョ、極めて、客観的で美しい。弦は一糸も乱れぬダイナミックな演奏を展開。糸を引くような弱音は、心が洗われ、美の極地。うっとりしてしまう。木管は純粋。静寂の中に聞こえる響きは楽器本来の音色が生きています。金管も安定。それらすべてのバランスも完璧と思える。終末にたどり着くまでの弦を中心とした弱音の展開は、天上に世界を思わせるようです。

マーラーの9番は、やはり重い曲ですねえ。聴くのに一大決心が必要な曲です。なかなか聴く気にならないときが多いですねえ。ザンデルリングのこのCD、現在はBBC Legendsから発売されています。音質もよくなったとも言われていますが、どうなんでしょうか。
(BBC RADIO Classicd CRCB-6066 1996年 輸入盤)

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