私ごとで恐縮でありますが、先日異動の内示がでまして、職場が変わることになりました。新しい職場は、今の勤務先から南へ約70キロのところ。明石海峡を臨む高台にあります。自宅からは、10キロほどで、車では20分くらいでしょうか。非常に近くなってホッとしています。ただ、今までの職場とはまったくタイプの違うところと、職員の平均年齢が前に比べると非常に高いのです。まあ慣れるまで大変でしょうが、頑張っていきたい思います。た
そんなことで、残務整理で帰宅して夕食がすめば即寝るという毎日でして、なかなかつらい一週間でございました。なかなか今の職場は、年代も若く少人数でみなさんにもよくしていただきました。まあ、そんなところで、今回は、ブラームス。交響曲第3番ヘ長調作品90であります。このブラームスの3番、許光俊さんによれば、ブラームスの4つの交響曲の中では一番地味で、演奏回数も少ないそうです。その理由は、コンサートの前半に演奏するには重みがありすぎ、後半用とすれば盛り上がりに欠ける、そうであります。まあどっちつかずというのでしょうねえ。ただ、一昔前はこれをメインにやる場合もあったように思います。近年、マーラーやブルックナーなどの超重量級がもてはやされていることで、許さんの言われるようになったのだろうと思います。
たしかにこの曲は、そんなにも聴くわけでもないかな、と思います。そんな中、たまたま聴いたのが朝比奈隆さんの演奏でありました。2001年2月26日サントリーホールでの新日本POとの録音。朝比奈さんの最晩年のライブ。朝比奈さんは、前年の2000年9月からこの年3月まで、このコンビでブラームス・チクルスを行っています。管見の限りでは、朝比奈さんは、1990~92年の新日フィル、1994~95年の大阪フィルに続いての三度目のブラームスの全集になります。
実は、ブラームスの交響曲は、最近聴いていなかったし、あまり聴く気にならなかったのです。そこで、朝比奈さんのを聴いたところ、うーんやはり朝比奈さんの演奏は好きだなあ、と思った次第であります。この重低音が充実した恰幅のいい演奏。音は分厚く、気宇壮大なブラームス。そして、これほど気持ちの入ったブラームスもないなあ、と思い、聴きながら、いいなあ、やはりこうでなければ、と思ったのです。新日フィルは、私は大フィルよりはいいと思うのですが、オケの切れ味や技量や精度は、やはり欧米のオケに比べると見劣りするし、朝比奈さんのオケのバランスなどけっしてスマートではないのです。しかし、この演奏は我々日本人の琴線に触れるというか、心に染み込んでくるのでありました。
第1楽章の出だしから、朝比奈さんの分厚く雄大なブラームス。キャンパスにいっぱい絵を描くような展開がうれしい。そして、朝比奈さんのブラームスの音楽への心酔しきったところが我々にもびしびしと伝わってきます。特に、低音がずんずんと心に染み込んできます。第2楽章、木管と弦が気持ちのこもった演奏。そして、オケの全体がうねるように展開して、ブラームスの援徐楽章の理想のようであります。第3楽章、甘美なメロディが印象的ですが、朝比奈はこれをむせぶように歌わせます。弦には泣きが入り、決して過剰でお涙頂戴ではないのですが、ここでも心に響く、そして感傷的な演奏になっています。そして第4楽章。第3楽章から一転して、オケの全精力を使い切るような力感に満ちた展開。金管が無神経な音色で演奏するように思える箇所もあるのですが、終わりに向けての充実感大したものでありますねえ。以前にも、2番を取り上げましたが、それに続く今回でありました。
朝比奈さんの演奏って、欧米ではどう聴かれているのでしょうか。日本のようにCDが入手できるとは思えませんし、あまり聴かれてないのでしょうかねえ。日本人には支持され続けるものがあるのでしょうねえ。
(fontec FOCD9206/8 2004年)
そんなことで、残務整理で帰宅して夕食がすめば即寝るという毎日でして、なかなかつらい一週間でございました。なかなか今の職場は、年代も若く少人数でみなさんにもよくしていただきました。まあ、そんなところで、今回は、ブラームス。交響曲第3番ヘ長調作品90であります。このブラームスの3番、許光俊さんによれば、ブラームスの4つの交響曲の中では一番地味で、演奏回数も少ないそうです。その理由は、コンサートの前半に演奏するには重みがありすぎ、後半用とすれば盛り上がりに欠ける、そうであります。まあどっちつかずというのでしょうねえ。ただ、一昔前はこれをメインにやる場合もあったように思います。近年、マーラーやブルックナーなどの超重量級がもてはやされていることで、許さんの言われるようになったのだろうと思います。
たしかにこの曲は、そんなにも聴くわけでもないかな、と思います。そんな中、たまたま聴いたのが朝比奈隆さんの演奏でありました。2001年2月26日サントリーホールでの新日本POとの録音。朝比奈さんの最晩年のライブ。朝比奈さんは、前年の2000年9月からこの年3月まで、このコンビでブラームス・チクルスを行っています。管見の限りでは、朝比奈さんは、1990~92年の新日フィル、1994~95年の大阪フィルに続いての三度目のブラームスの全集になります。
実は、ブラームスの交響曲は、最近聴いていなかったし、あまり聴く気にならなかったのです。そこで、朝比奈さんのを聴いたところ、うーんやはり朝比奈さんの演奏は好きだなあ、と思った次第であります。この重低音が充実した恰幅のいい演奏。音は分厚く、気宇壮大なブラームス。そして、これほど気持ちの入ったブラームスもないなあ、と思い、聴きながら、いいなあ、やはりこうでなければ、と思ったのです。新日フィルは、私は大フィルよりはいいと思うのですが、オケの切れ味や技量や精度は、やはり欧米のオケに比べると見劣りするし、朝比奈さんのオケのバランスなどけっしてスマートではないのです。しかし、この演奏は我々日本人の琴線に触れるというか、心に染み込んでくるのでありました。
第1楽章の出だしから、朝比奈さんの分厚く雄大なブラームス。キャンパスにいっぱい絵を描くような展開がうれしい。そして、朝比奈さんのブラームスの音楽への心酔しきったところが我々にもびしびしと伝わってきます。特に、低音がずんずんと心に染み込んできます。第2楽章、木管と弦が気持ちのこもった演奏。そして、オケの全体がうねるように展開して、ブラームスの援徐楽章の理想のようであります。第3楽章、甘美なメロディが印象的ですが、朝比奈はこれをむせぶように歌わせます。弦には泣きが入り、決して過剰でお涙頂戴ではないのですが、ここでも心に響く、そして感傷的な演奏になっています。そして第4楽章。第3楽章から一転して、オケの全精力を使い切るような力感に満ちた展開。金管が無神経な音色で演奏するように思える箇所もあるのですが、終わりに向けての充実感大したものでありますねえ。以前にも、2番を取り上げましたが、それに続く今回でありました。
朝比奈さんの演奏って、欧米ではどう聴かれているのでしょうか。日本のようにCDが入手できるとは思えませんし、あまり聴かれてないのでしょうかねえ。日本人には支持され続けるものがあるのでしょうねえ。
(fontec FOCD9206/8 2004年)
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